腸内環境が美肌のカギを握る~脳・腸・肌は影響し合っている~

腸内環境が美肌のカギを握る~脳・腸・肌は影響し合っている~

薬剤師

中田早苗さん

薬科大学卒業後、約7年間病院薬剤師として勤務。
相談薬局へ転職後、食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。
現在は、薬に頼らない体づくりと健康についてsns(Instagram・TikTok)で積極的に情報発信を行なっている。

薬剤師 中田早苗さんのInstagram

薬剤師 中田早苗さんのTikTok

薬剤師の中田早苗さんに腸と肌、脳が関係していることについて、また美肌のために腸内環境を整えるコツや大切な栄養素についてメッセージをいただきました。また、ナールスからは腸と皮膚疾患や肌悩みの関係や最新の研究を紹介します。

腸内環境と腸活

腸内環境とは、その名のとおり「腸の中の環境」のことです。
腸内に生息する細菌が腸内環境に大きな影響を与えています。 腸内環境が良い状態とは、腸内に生息する腸内細菌がバランス良く生息している状態です。
一方、腸内環境が悪い状態とは、腸内に生息する腸内細菌のバランスが乱れている状態です。
人の腸内には、細菌がおよそ1,000種類、総数100兆個以上生息していると言われています。
そんな腸内細菌が菌種毎に集合体を作って生息しています。
腸内細菌の集合体は、お花畑のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
腸内環境は、腸内フローラの状態で変化します。
そんな腸内フローラを作る細菌は、そのはたらきによって善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない日和見菌の3グループに分けられます。
まだこれらのすべてのはたらきは解明されていませんが、腸内細菌は互いに密接な関係を持って活動しています。
腸内細菌の種類や数は遺伝によって個人差が大きく、食事や住んでいる国や地域などでも異なります。また、年齢や抗生物質の服用などの要因でも変化します。
腸内環境の悪化は、ニキビや肌荒れなどの原因になりますが、肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などのリスクにもなることがわかってきました。
最近では、肌(皮膚)と脳と腸が密接に関わっていることが明かになってきましたが、健康や美肌のために、生活習慣を整えることにより腸内の環境を改善するための活動、いわる「腸活」が注目されるようになってきました。

3種の腸内細菌のはたらきは?

腸内細菌の中で一番数が多いのは、日和見菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。
これらの分け方は、その役割がわかっているものを便宜上分類していますが、まだまだ分からないことも多いです。

善玉菌

善玉菌とは腸内環境にプラスにはたらく菌の総称です。
善玉菌は乳酸や酢酸などを作ることで、腸内を酸性にします。その結果、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動が活発になり、便秘を防ぐなど腸内環境が健やかに保たれます。そのため、便秘による肌荒れやニキビなどになりにくい肌をサポートします。
また、病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。
さらに善玉菌は、免疫機能を高めたり、コレステロールを低下させる効果も報告されています。
善玉菌の代表格としてビフィズス菌や乳酸菌などが有名です。

悪玉菌

悪玉菌とは腸内環境を悪化させる細菌です。 悪玉菌は、タンパク質を分解して有害物質を増加させます。その結果、便秘や肌荒れ、肥満などの原因となります。
悪玉菌が増えすぎると、腸内環境が乱れ生活習慣病や皮膚の病気や肌悩みの増加のリスクいが高くなります。
悪玉菌の代表格にはブドウ球菌や大腸菌、ウェルシュ菌などがあります。

日和見菌

日和見菌とは、善玉菌でも悪玉菌でもない腸内細菌です。
日和見菌の多くは、まだその働きがわかっていません。
一般的には、腸内に善玉菌が多い状態の場合には悪影響を及ぼさず、悪玉菌が増えると有害物質を増加させることで腸内環境にマイナスの影響を及ぼすと考えられています。
日和見菌には、クテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌などがいます。

腸内環境を正常な状態に保つためには、善玉菌・悪玉菌・日和見菌といった腸内フローラのバランスが保つことが大切です。
そのための手段が「腸活」ですが、正しい知識を持って行うことが大切です。

<参考記事>

脳・腸・皮膚相関から考える美肌のコツ~薬剤師の中田早苗さんのメッセージ~

1)「腸」は、肌(皮膚)や脳と密接に関係している

便秘や下痢などで腸の調子が悪い時、やたらと肌荒れを起こしてしまう経験のある方は多いのではないでしょうか。
便秘になると、腸内に溜まった有害物質が全身をめぐり、肌トラブルを引き起こしてしまいます。
こうしたことから、腸内環境と肌(皮膚)は密接に関係していることがわかります。

また、緊張やストレスなどが原因で下痢や便秘になりやすいことも知られています。
これは、脳と腸がお互いに影響し合って起こるとされていて、これを「腸脳相関」といいます。

最近では、腸内細菌をはじめ神経系や内分泌系に関する医学的な研究が進み、脳と腸と肌(皮膚)に相互関係があることが分かってきました。
これは、「脳・腸・皮膚相関」と呼ばれます。

そのため、健康的な体や美肌のためにも、エイジングケア化粧品を使うだけではなく、精神状態を健康に保つことや腸内環境をよくすることが大切なのです。

2)腸管免疫を高めて美肌を手にいれる

今回は、腸活サポート薬剤師が、腸内環境を整えて美肌を手に入れるポイントについて紹介します。
通常、病原菌となるウイルスや細菌は⼝や⿐から体内へ侵⼊します。
そのため、腸までの消化管は常に危険にさらされており、こうした病原体の侵入をブロックするために、腸には免疫機能が備わっています。それが、「腸管免疫」です。

腸には免疫細胞の約70%が集まっていて、”腸は最大の免疫器官”とも呼ばれます。
そして、その免疫細胞は、腸内細菌によって活性化されるといわれています。
そのため、腸内細菌のバランスが良いほど免疫力アップにつながり肌の調子も整うというわけです。

3)美肌のために必要な栄養素は?

腸内細菌のバランスをよくする事は、免疫力アップに繋がり、お肌にも嬉しい効果をもたらすことが分かりました。
では実際に美肌を叶えるためにはどんな栄養素を摂れば良いのでしょうか?

具体的には、タンパク質やビタミンA,C,E、亜鉛やセレンなどのミネラルをバランス良く摂ることです。

これらの栄養素は免疫力アップが期待できます。 ビタミンC、Eは、免疫細胞の働きをサポート、ビタミンAは、病原菌による抵抗力を高めるはたらきがあります。

また、たんぱく質は皮膚を作る原材料となるため美肌には欠かせません。

それ以外にも次のようなはたらきがあります。

  • ビタミンC:酸化を防いだり肌弾力に大切なコラーゲンの生成を助けるはたらきがあります。
  • ビタミンA:目や肌の粘膜の健康を維持したり、肌のターンオーバーの正常化をサポートするはたらきがあります。
  • ビタミンE:酸化を防いだり、血行を促進するはたらきがあります。
  • 亜鉛:タンパク質の合成や、免疫の調節に作用します。また、亜鉛は皮膚や髪の健康維持に必要です。
  • セレン:強い抗酸化作用を持ち、老化予防やがん予防につながるといわれています。

4)健康的な体と美肌を手にいれるには腸内細菌のバランスがカギ

ストレスによる便秘や下痢を繰り返さないためにも、肌トラブルで悩まないためにも腸内細菌のバランスを整えることは非常に重要です。
善玉菌が優位となる腸内環境は、腸内の免疫細胞が活性化され、感染症にかかるリスクを下げます。
健康的な体とお肌のためにも、腸内環境を整える食生活や生活習慣を取り入れてみてください。
美肌のためには、スキンケアやエイジングケアも大切ですが、ぜひ、腸へのアプローチにも目を向けていただければ幸いです。

<関連記事>

腸内環境と皮膚の病気や肌悩みの関係

最近では、腸内環境の悪化が表皮に悪影響を与え、バリア機能を低下させることがわかってきました。
また、ニキビやアトピー性皮膚炎、乾癬、酒さ、しわなどにも関係しているという研究報告もあります。

ニキビと腸内環境

かつては否定されていたニキビと食べ物の関係があるとの研究報告が登場し、腸内環境がニキビに影響を与えている可能性があると議論されています。
また、小腸における消化不良もニキビに悪影響を及ぼすという研究も進みつつあります。

<参考記事>

アトピー性皮膚炎と腸内環境

アトピー性皮膚炎では、フィーカリバクテリウム プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)という有益な酪酸を産生する腸内細菌が少なく、腸上皮の炎症を起こしています。
アレルギーやかゆみの発生機序には食事との関係も示唆されています。
また、プロバイオティクスによって湿疹が改善したとの研究報告もあります。
こうしたことからアトピー性皮膚炎も腸内環境との関係がある可能性が指摘されています。

<参考記事>

乾癬と腸内環境

乾癬と腸内環境に関しては、2024年8月現在では、1つしか医学論文がありません。
その研究では、プロバイオティクスを含む混合物を摂取すると乾癬の重症度が低下することが報告されています。
また、研究終了6か月の追跡調査で、プロバイオティクスを含む混合物を摂取することで、乾癬の再発リスクが下がるという結果が出ています。
これだけでは、乾癬と腸内環境に関係が明かであるとは言えませんが、腸内環境を整えることはプラスにはたらく可能性がありそうです。

酒さと腸内環境

酒さに関する腸内フローラの研究では、いくつかの種類の細菌が多いことが報告されています。
酒さの場合は、胃に生息するヘリコバクターピロリを抗菌薬で除菌することで重症度が減少することがわかっています。
これはヘリコバクターピロリが減ったことか、直接、抗菌薬が酒さを改善したかがはっきしりないようです。

<参考記事>

しわと腸内環境

女性で赤身肉やスナック類の摂取多い人にしわが多く、一方で果実の摂取が多い人にしわが少ないという研究報告があります。
これが腸皮膚相関かどうかは不明ですが、今後の研究の進展が待たれます。

<参考記事>

ナールスのおすすめの菌ドックと腸活サプリ

ナールスでは、腸内環境を把握するための腸内DNA検査「菌ドックと」腸活サプリ「BIOPORT」を提供しています。
ぜひ、健康と美肌のためにお役立てください。

菌ドック

腸内細菌叢は、一人一人でその状態は異なります。
自身の腸内細菌を検査して、どんな菌がどのくらいの割合で保有しているかを知ることで、食生活の改善やどんな栄養素・腸活サプリメントを摂れば良いかなどを知るヒントが得られます。

腸活サプリ

腸活サプリ「BIOPORT」は、お一人お一人の腸内環境に合わせてオーダーメイドで組み合わせることができる9種のサプリメントです。
「BIOPORT」は、組み合わせによって腸内に善玉菌を直接届ける「プロバイオティクス」と腸内に住む善玉菌のエサとなるオリゴ糖・食物繊維を摂取し、腸内環境を元気にする「プレバイオティクス」を同時に摂ることが可能です。
また、腸内細菌叢を介さず体に直接働きかけて、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用などを発揮するバイオジェニクスを摂り入れることが可能です。

まとめ

sheepmedical株式会社で腸活アカデミー講師種市綾香さんに「腸活は正しく進めることが大切!間違った常識で失敗しないために」と題したメッセージをいただきました。
また、ナールスからエイジングケアは内側と外側の両方が大切であることや腸活サプリ「BIOPORT」、菌検査も紹介しました。
エイジングケアやスキンケアに加えて、腸内環境を良くする活動「腸活」でも健康と美肌を目指しましょう。

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