脳・腸・皮膚相関から考える美肌のコツ~薬剤師の中田早苗さんのメッセージ~
1)「腸」は、肌(皮膚)や脳と密接に関係している
便秘や下痢などで腸の調子が悪い時、やたらと肌荒れを起こしてしまう経験のある方は多いのではないでしょうか。
便秘になると、腸内に溜まった有害物質が全身をめぐり、肌トラブルを引き起こしてしまいます。
こうしたことから、腸内環境と肌(皮膚)は密接に関係していることがわかります。
また、緊張やストレスなどが原因で下痢や便秘になりやすいことも知られています。
これは、脳と腸がお互いに影響し合って起こるとされていて、これを「腸脳相関」といいます。
最近では、腸内細菌をはじめ神経系や内分泌系に関する医学的な研究が進み、脳と腸と肌(皮膚)に相互関係があることが分かってきました。
これは、「脳・腸・皮膚相関」と呼ばれます。
そのため、健康的な体や美肌のためにも、エイジングケア化粧品を使うだけではなく、精神状態を健康に保つことや腸内環境をよくすることが大切なのです。
2)腸管免疫を高めて美肌を手にいれる
今回は、腸活サポート薬剤師が、腸内環境を整えて美肌を手に入れるポイントについて紹介します。
通常、病原菌となるウイルスや細菌は⼝や⿐から体内へ侵⼊します。
そのため、腸までの消化管は常に危険にさらされており、こうした病原体の侵入をブロックするために、腸には免疫機能が備わっています。それが、「腸管免疫」です。
腸には免疫細胞の約70%が集まっていて、”腸は最大の免疫器官”とも呼ばれます。
そして、その免疫細胞は、腸内細菌によって活性化されるといわれています。
そのため、腸内細菌のバランスが良いほど免疫力アップにつながり肌の調子も整うというわけです。
3)美肌のために必要な栄養素は?
腸内細菌のバランスをよくする事は、免疫力アップに繋がり、お肌にも嬉しい効果をもたらすことが分かりました。
では実際に美肌を叶えるためにはどんな栄養素を摂れば良いのでしょうか?
具体的には、タンパク質やビタミンA,C,E、亜鉛やセレンなどのミネラルをバランス良く摂ることです。
これらの栄養素は免疫力アップが期待できます。
ビタミンC、Eは、免疫細胞の働きをサポート、ビタミンAは、病原菌による抵抗力を高めるはたらきがあります。
また、たんぱく質は皮膚を作る原材料となるため美肌には欠かせません。
それ以外にも次のようなはたらきがあります。
- ビタミンC:酸化を防いだり肌弾力に大切なコラーゲンの生成を助けるはたらきがあります。
- ビタミンA:目や肌の粘膜の健康を維持したり、肌のターンオーバーの正常化をサポートするはたらきがあります。
- ビタミンE:酸化を防いだり、血行を促進するはたらきがあります。
- 亜鉛:タンパク質の合成や、免疫の調節に作用します。また、亜鉛は皮膚や髪の健康維持に必要です。
- セレン:強い抗酸化作用を持ち、老化予防やがん予防につながるといわれています。
4)健康的な体と美肌を手にいれるには腸内細菌のバランスがカギ
ストレスによる便秘や下痢を繰り返さないためにも、肌トラブルで悩まないためにも腸内細菌のバランスを整えることは非常に重要です。
善玉菌が優位となる腸内環境は、腸内の免疫細胞が活性化され、感染症にかかるリスクを下げます。
健康的な体とお肌のためにも、腸内環境を整える食生活や生活習慣を取り入れてみてください。
美肌のためには、スキンケアやエイジングケアも大切ですが、ぜひ、腸へのアプローチにも目を向けていただければ幸いです。
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