免疫力低下を防ぐ生薬フアイアとは?
ここでは、免疫力の低下を防ぎ健康やアンチエイジング、がんなどの予防、美肌に役立つ「フアイア(huaier)」について紹介します。
1)ファイアとは?
フアイアとは、学術名「Trametes Robiniophila Murr」というキノコの菌糸体から抽出された生薬です。
フアイアは、1993年に中国では抗がん新薬に認定されました。それがきっかけとなって、フアイアは乱獲されました。
その影響もあって、今ではフアイアのキノコ(子実体)は絶滅しており、天然で採取することはできません。
現在では、人工培養したフアイアの薬用菌糸体から成分を抽出し、顆粒やタブレットに加工しています。
そのため、農薬や重金属などの汚染の心配がなく、高品質のものを永続的に提供可能となっています。
そんなフアイアは、日本では漢方薬ではなく生薬になります。
なぜなら、日本で漢方薬と正式に名乗るための「一般用漢方製剤製造販売基準」に掲載が無く、保険適用漢方エキス製剤としても認可が無いからです。
つまり、フアイアは。日本では医師の処方せんがなくても入手可能な「食品(サプリメント)」として流通しています。
2)フアイアのエビデンス
フアイアは世界初の明らかな抗がんエビデンスを獲得した生薬です。
明らかな抗がんエビデンスと言える根拠は1000例規模の肝臓がん手術後の患者さんの生存率をエンドポイントにしてランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。
エビデンスのレベルとしては、米国腫瘍学会のエビデンスピラミッドの頂点です。
その研究論文は、2018年、消化器系医療学術ジャーナルとしては世界最高峰の権威を持つ英文医学雑誌「Gut」に掲載されました。
また、乳がんや大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がんなどでも現在、臨床研究が進行中です。
フアイアの臨床研究はアメリカの大規模臨床研究登録サイトであるClinical Trials.govで「huaier」と入力すると2023年7月の時点では21件を確認できます。
<エンドポイントとは>
エンドポイントとは、治験(臨床試験)における治験薬の有効性や安全性をはかるための評価項目のこと。治験薬に有効性があると客観的に判断できるか、また結果に普遍性が認められることが重要です。
エンドポイントは治験実施前に、治験実施計画書(プロトコル)に記載されるものです。
<ランダム化試験とは>
ランダム化試験とは、研究の対象者を2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分けて、治療法などの効果を検証する試験のことです。これによって、検証したい項目以外の要因がバランスよく分かれるため、客観的な比較が可能になります。
<参照論文>
「Effect of Huaier granule on recurrence after curative resection of HCC: a multicentre, randomised clinical trial(肝細胞癌根治切除後の再発に対するフアイアグラニュールの効果:多施設ランダム化臨床試験)」
3)フアイアの作用機序(メカニズム)は?
簡単に言えば、フアイアには免疫力を高めるはたらきがある一方で、過剰に更新した免疫を正常に戻す働きがあります。
これは、フアイアが「免疫中庸」にはたらくことを意味します。
つまり免疫低下の状態なら、それを引き上げ、免疫過剰の状態であれば、それを引き下げるメカニズムを持っているのです。
その作用機序は、さまざまで実験でもいろいろな生化学的経路に影響することが確認され、多数の英文論文として公開されています。
4)フアイアに美肌効果はある?
肌に関して言えば、アトピー性皮膚炎や花粉症による皮膚炎などのアレルギー疾患、乾癬といった自己免疫疾患は免疫の亢進で起こります。
フアイアはステロイド外用薬や抗アレルギー薬などのように、これらの皮膚の病気の症状を直接的に抑えるはたらきはありません。
しかし、免疫へのアプローチによって予防や改善の可能性があります。
実際、アトピー性皮膚炎(*1)や乾癬(*2)ではエビデンスがあります。
他のフアイアを飲んでいる方からは、うるおいがアップしたといった話や化粧ノリが良くなったなど美肌効果がったとの体験談もあります。
ただし、個人差がありますし、臨床試験をしているわけではないので実際の美肌効果はわかりません。
また、動物では毛並みが良くなる研究報告(*3)などがあります。
<参照論文>
(*1)中国語で論文があります。
(*2)BioMed Research International, Volume2018, Article ID 2372895
(*3)https://huaier-v.org/wp2/wp-content/uploads/2022/12/2212_%E7%97%87%E4%BE%8B%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E.pdf