免疫力低下による老化予防対策に生薬フアイアと生活習慣が大切

オックスフォード大学医学博士
新見正則医院 院長
新見 正則先生

外科医×免疫学者×漢方医

■略歴
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年〜 慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科
1991年〜1993年 水戸赤十字病院
1993年〜1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程(免疫学)
1998年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)
2013年 イグノーベル医学賞(脳と免疫)
〜2020年 帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)
2020年〜 新見正則医院院長

■資格
医師免許
労働衛生コンサルタント
アメリカ外科学会フェロー(FACS)
外科学会専門医・指導医
消化器外科指導医
日本体育協会公認スポーツドクター
東洋医学会専門医・指導医(〜2024年)

新見正則医院院長の新見正則先生に免疫力のことや免疫低下による老化予防対策としての生薬フアイアの効果やエビデンス、生活習慣のあり方に関してメッセージをいただきました。また、ご自身のフアイアを愛用されている体験や実感についてもお話を伺いしました。

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生息するフアイア

免疫とは

免疫とは、簡単に言えばウイルスや細菌などの異物や、自分自身の体から生まれる老化物質などから体を守る仕組みのことです。
免疫には、大きく2つの役割があります。

  • 体の外から侵入したウイルスや細菌などから体を守る
  • 体内の老廃物や変異をした細胞(がん細胞など)を処分・排除し健康を維持する

免疫には人が生まれながらに持っている「自然免疫」と、ウイルスなどの異物を一度取り込むことで後天的に備わる「獲得免疫」の2種類があります。

1)自然免疫とは?

自然免疫では、免疫細胞がウイルス、寄生虫、細菌など異物である病原体などをいち早く認識し、攻撃・排除するシステムです。
また、老廃物やがん細胞など変異した細胞の排除を行います。

自然免疫では以下の免疫細胞が働きます。

好酸球:白血球の一種で寄生虫や細菌を処理する
好中球:白血球の一種で処理した細胞を消化し殺菌する
単球・マクロファージ:侵入した異物を処理する
樹状細胞:異物の侵入をT細胞に伝える
NK(ナチュラルキラー)細胞:細胞内の異物(ウイルスやがん細胞など)を処理する

2)獲得免疫とは?

獲得免疫は、自然免疫で対応しきれない小さな異物や、すでに細胞に入り込んでしまった異物を取り除くシステムです。

獲得免疫には一度侵入した異物の情報を記憶することで、再び同じ異物が侵入したときにはより早く対処できるようになります。
はしかなどに一度かかるとほぼかからなくなるのも獲得免疫のはたらきです。また、ワクチンなどは獲得免疫を活用した感染症の予防法です。

獲得免疫では以下の免疫細胞が働きます。

B細胞:異物(抗原)に対する抗体を作る
形質細胞:B細胞が成熟したもので、抗体を量産し自然免疫の働きを助ける
ヘルパーT細胞:異常な細胞を発見しほかの免疫細胞へ連絡や指示を出す
キラーT細胞:ヘルパーT細胞の指示を受けてウイルスに感染した細胞を攻撃する

免疫力低下と体や肌の老化・肌トラブル

1)免疫力低下でがんや認知症のリスクがアップ

加齢(エイジング)に伴って人の体や肌は老化します。
「加齢=老化」ではありませんが、個人差はあってもだれもが年を重ねると体や肌の見た目や機能の低下を感じることからもおわかりいただけると思います。

加齢が進むと、免疫力、特に自然免疫の力が低下していきます。そのため、生活習慣病やがん、認知症などの病気にかかりやすくなります。

がん細胞は、加齢に伴ってある年齢を過ぎると毎日数千個発生していると言われています。
自然免疫の力が十分発揮できているときは、自らがこれを排除することでがんの発症を防ぐことが可能です。
しかし、加齢などでがん細胞の発生に対して、免疫システムのはたらきが追いつかない状態になると、がんが発症してしまうのです。

認知症のひとつであるアルツハイマー型認知症はアミロイドβの脳内への蓄積で発症します。アミロイドβも「異物」なので、免疫システムが十分のはたらいている場合は、除外することが可能です。
しかし、加齢が進むと排除しきれなくなって、アルツハイマー型認知症が発症してしまうのです。

このように加齢による免疫低下は、がんや認知症をはじめさまざまな病気のリスクを高めるのです。

一方、免疫低下自体が老化の原因の1つになると言われています。

2)免疫力低下は肌にも悪影響を及ぼす

免疫機能は肌にも備わっています。そして、健やかな美しい肌を守るためにはたらいています。
肌の免疫の中で大きな役割を果たすのが、ランゲルハンス細胞です。ランゲルハンス細胞は表皮にあり、肌を守るはたらき他の細胞に指令を出すはたらきを担っています。

具体的には、ランゲルハンス細胞は、細菌やウイルスなどの有害な物質や花粉、ちり、ほこりなどのアレルギー物質を発見して排除します。 また、ランゲルハンス細胞は枝を伸ばしたような触手があり、これが異物を感知します。そして、免疫細胞へ異物を排除するように指令を出すのです。 さらに、ランゲルハンス細胞は、紫外線や外気の乾燥などの刺激に対する反応をおさえることで、肌を健やかに保つっています。

しかし、ランゲルハンス細胞が加齢などで肌の免疫が低下すると、花粉などのアレルゲンやほこりなど刺激によって、肌荒れや炎症を引き起こすリスクが高くなってしまいます。

このように免疫の低下と肌の老化も深く関わっているのです。

免疫力低下を防ぐ生薬フアイアとは?

ここでは、免疫力の低下を防ぎ健康やアンチエイジング、がんなどの予防、美肌に役立つ「フアイア(huaier)」について紹介します。

フアイアの子実体

1)ファイアとは?

フアイアとは、学術名「Trametes Robiniophila Murr」というキノコの菌糸体から抽出された生薬です。

フアイアは、1993年に中国では抗がん新薬に認定されました。それがきっかけとなって、フアイアは乱獲されました。
その影響もあって、今ではフアイアのキノコ(子実体)は絶滅しており、天然で採取することはできません。

現在では、人工培養したフアイアの薬用菌糸体から成分を抽出し、顆粒やタブレットに加工しています。
そのため、農薬や重金属などの汚染の心配がなく、高品質のものを永続的に提供可能となっています。

そんなフアイアは、日本では漢方薬ではなく生薬になります。
なぜなら、日本で漢方薬と正式に名乗るための「一般用漢方製剤製造販売基準」に掲載が無く、保険適用漢方エキス製剤としても認可が無いからです。

つまり、フアイアは。日本では医師の処方せんがなくても入手可能な「食品(サプリメント)」として流通しています。

2)フアイアのエビデンス

フアイアは世界初の明らかな抗がんエビデンスを獲得した生薬です。
明らかな抗がんエビデンスと言える根拠は1000例規模の肝臓がん手術後の患者さんの生存率をエンドポイントにしてランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。
エビデンスのレベルとしては、米国腫瘍学会のエビデンスピラミッドの頂点です。
その研究論文は、2018年、消化器系医療学術ジャーナルとしては世界最高峰の権威を持つ英文医学雑誌「Gut」に掲載されました。

また、乳がんや大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がんなどでも現在、臨床研究が進行中です。
フアイアの臨床研究はアメリカの大規模臨床研究登録サイトであるClinical Trials.govで「huaier」と入力すると2023年7月の時点では21件を確認できます。

<エンドポイントとは>
エンドポイントとは、治験(臨床試験)における治験薬の有効性や安全性をはかるための評価項目のこと。治験薬に有効性があると客観的に判断できるか、また結果に普遍性が認められることが重要です。
エンドポイントは治験実施前に、治験実施計画書(プロトコル)に記載されるものです。
<ランダム化試験とは>
ランダム化試験とは、研究の対象者を2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分けて、治療法などの効果を検証する試験のことです。これによって、検証したい項目以外の要因がバランスよく分かれるため、客観的な比較が可能になります。

<参照論文>
「Effect of Huaier granule on recurrence after curative resection of HCC: a multicentre, randomised clinical trial(肝細胞癌根治切除後の再発に対するフアイアグラニュールの効果:多施設ランダム化臨床試験)」

3)フアイアの作用機序(メカニズム)は?

簡単に言えば、フアイアには免疫力を高めるはたらきがある一方で、過剰に更新した免疫を正常に戻す働きがあります。
これは、フアイアが「免疫中庸」にはたらくことを意味します。
つまり免疫低下の状態なら、それを引き上げ、免疫過剰の状態であれば、それを引き下げるメカニズムを持っているのです。
その作用機序は、さまざまで実験でもいろいろな生化学的経路に影響することが確認され、多数の英文論文として公開されています。

4)フアイアに美肌効果はある?

肌に関して言えば、アトピー性皮膚炎や花粉症による皮膚炎などのアレルギー疾患、乾癬といった自己免疫疾患は免疫の亢進で起こります。
フアイアはステロイド外用薬や抗アレルギー薬などのように、これらの皮膚の病気の症状を直接的に抑えるはたらきはありません。
しかし、免疫へのアプローチによって予防や改善の可能性があります。
実際、アトピー性皮膚炎(*1)や乾癬(*2)ではエビデンスがあります。

他のフアイアを飲んでいる方からは、うるおいがアップしたといった話や化粧ノリが良くなったなど美肌効果がったとの体験談もあります。
ただし、個人差がありますし、臨床試験をしているわけではないので実際の美肌効果はわかりません。
また、動物では毛並みが良くなる研究報告(*3)などがあります。

<参照論文>
(*1)中国語で論文があります。
(*2)BioMed Research International, Volume2018, Article ID 2372895
(*3)https://huaier-v.org/wp2/wp-content/uploads/2022/12/2212_%E7%97%87%E4%BE%8B%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E.pdf

生薬ファイアを体験や患者さんでの効果

1)新見先生やご家族の体験

私と妻は、新見正則医院開院後、毎日、4年間のみ続けています。
私も妻もすこぶる健康で、インフルエンザや新型コロナウイス感染症にもかかっていません。
また、医院を病気で休んだことはありません。
家族では、義父は80代の前立腺がんの患者ですが、飲み続けていて、がんは進行していません。
全てがフアイアのおかげかどうはわかりませんが、副作用もなく辞めたいという方もいません。

2)患者さんでの効果

新見正則医院では、自費診療でフアイアを使ってがんの治療を行っています。
単独ではなく、抗がん剤治療と併用しています。
フアイアは、食品ですがクリニックから購入されると医療費控除の対象になります。
臨床研究をしているわけではないのですが、開業前を含めて15年間で1,000名以上の患者さんに使っています。
副作用は、まれに下痢が起こりますが、それ以外の副作用はありません。

効果に関しては、抗がん剤治療との併用なのでフアイアそのもの効果をお伝えすることはできません。
実際の状況としては、クリニック全体では、主治医が考えている平均余命の3倍以上生きておられる方が、約80%います。
ただし、がんが治ったり腫瘍が無くなるわけではなく、悪化が進まずがんと共存していると考えています。

免疫力低下を防ぐ生活習慣

1)散歩などの適度な運動

運動不足は免疫低下の原因になります。また、激しすぎる運動も同様です。そのため、散歩をはじめ汗を軽くかく程度や自分が心地よいと感じる程度の適度な運動がおすすめです。
運動を続けることで、基礎代謝が高まり、体温も上がりやすくなります。体温が上がると血流もよくなります。その結果、免疫にも良い影響を及ぼします。

2)適度の日光浴

日光を浴びることでビタミンDが作られます。ビタミンDは、骨の生育に必要となるカルシウムの血中濃度を高めるほか、免疫を高めるはたらきがあります。
ビタミンDを作るために、1日15分程度、日光浴を行いましょう。
ただし、紫外線の浴びすぎはシミやしわなどの肌老化、皮膚がんの原因になります。
必要以上の日光浴は控えましょう。

3)バランスよい食事(タンパク質を多めに、炭水化物を控えめに)

免疫の低下を抑えるためには、バランス良く食事を摂ることが大切です。
タンパク質を多めに炭水化物を控えめに摂りましょう。また、ビタミンやミネラルも積極的に摂りましょう。
さらに、近年、免疫力を高めるために腸が重要な働きをしていることがわかってきました。免疫力を高めるためには、腸の状態を健やかに保つことが大切です。
納豆や味噌、ヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維、オリゴ糖などの栄養素は、腸内細菌叢の状態を良くしますので、意識的に摂りましょう。

4)十分な睡眠

質の高い十分な睡眠は、免疫低下を防ぐことが可能です。
睡眠中は、成長ホルモンやメラトニンといったホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは、細胞を修復したり、体全体の疲労を回復させることで、免疫にも良い影響を与えます。
メラトニンには睡眠を促進する役割があります。
体をしっかりと休ませて免疫力アップにつなげてくれる物質です。

5)ストレスの軽減、またはストレスに強い体を作る

ストレスは、自律神経と深く関係しています。自律神経は交感神経と副交感神経という二つの神経から成り立っています。体が活動的に動いている時には交感神経が働き、逆に体がリラックスしている時には副交感神経が働いています。
ストレスが続くと交感神経が優位な時間が長くなって、体が休まらず疲れが出て免疫力低下につながります。
また、過度なストレスは、酸化の促進や血行の悪化の原因になるため、シワやくすみなど肌老化の原因になってしまいます。
逆にストレスが少ないリラックスした状態なら、副交感神経が優位になって、疫細胞であるリンパ球が増加することで、免疫に良い影響を与えます。

また、ストレスに強い体を作ることも大切です。この章で挙げた適度の散歩などの運動、適度の日光浴、バランスの良い食事、十分な睡眠はストレスに強い体づくりに役立ちます。
さらに、楽観的に生きることや自分を褒める、認める、笑いのある生活を送るなど可能なことを実践しましょう。

これらに加えて、フアイアは継続的に取り続けることで免疫に良い影響を与えます。
健康やアンチエイジング、美肌には生活習慣とエビデンスのあるフアイアがおすすめです。

まとめ

新見正則医院院長の新見正則先生に免疫力のことや免疫低下による病気や老化との関係について教えていただきました。また、免疫中中庸のメカニズムを持つ生薬フアイアの効果やエビデンス、ご自身の体験などについても教えていただきました。
さらに、生活習慣のあり方に関してメッセージをいただきました。
免疫は人の体や肌の健康や病気、老化と深く関わっています。そのため、免疫力を高めたり、維持することはとても大切です。
エイジングケア化粧品によるスキンケアに加えて、内側からの免疫力アップも意識していただけますと幸いです。

<「免疫力」という表現について>
本記事では「免疫力」という表現が使われています。人体の免疫機構は数値で測定できないため、かつてはこの表現に関しては論争がありました。
しかし、本庶佑先生が2018年にがん治療薬「オプジーボ」の開発につながる研究でノーベル医学・生理学賞を受賞されたのを契機に、NHKなどのメディアでも「免疫力」とういう表現を使用するようになりました。
「免疫力」という言葉は、人体の免疫機構を総合的に向上させる状態を示すのにわかりやすい言葉であるため、本記事でもこの表現を使用しています。
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