大人のアトピー性皮膚炎の医療機関での治療
大人のアトピー性皮膚炎の治療は、自己判断で市販薬などを使うより、皮膚科やアレルギー科など専門医のいる医療機関を受診することをおすすめします。
アトピー性皮膚炎の治療の多くは、健康保険が適応されます。
アトピー性皮膚炎の治療は、皮疹の症状の重さが考慮されます。
重症度 |
皮疹や症状の特徴 |
軽微 |
皮疹や症状の特徴 |
軽症 |
炎症症状に乏しく乾燥症状が主体 |
中等症 |
中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などが主体 |
重症 |
高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などが主体 |
軽微・軽症の場合の治療法
ヘパリン類似物質、尿素、ワセリンなどの保湿剤の外用薬(塗り薬)を使ってバリア機能を保護することでアトピー性皮膚炎の症状の改善を図ります。
ただし、かゆみが強い場合には、には抗アレルギー剤の内服を行います。抗アレルギー薬の多くは、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬が使われます。
代表的な抗ヒスタミン薬は、エバスチン(製品名:エバステル)、エピナスチン塩酸塩(製品名:アレジオン)、オロパタジン塩酸塩(製品名:アレロック)、セチリジン塩酸塩(製品名:ジルテック)などがあります。
また、中等症に近い軽症でステロイド外用薬を使う場合は、最も効果がマイルドなタイプ(Ⅴ群=ウィーク)が使われます。
これらには、プレドニゾロン(0.5%)(製品名:プレドニゾロン)や酢酸ヒドロコルチゾン(1%)(製品名:コルテス)があります。
<参考記事>
中等症の場合の治療法
アトピー性皮膚炎が中等症以上の場合はステロイドの外用薬を使います。
ステロイドの種類は、主に3群(ストロング)や4群(ミディアム)のものが使われます。
ストロングには、吉草酸ベタメタゾン(0.12%)(製品名:リンデロンV・VG、ベトネベートN)やプロピオン酸ベクロメタゾン(0.025%)(製品名:プロパデルム)、プロピオン酸デキサメタゾン(0.1%)(製品名:メサデルム)などがあります。
ミディアムには、吉草酸酢酸プレドニゾロン(0.3%)(製品名:リドメックス)やトリアムシノロンアセトニド(0.1%)(製品名:ケナコルトA、レダコート)、酪酸ヒドロコルチゾン(0.1%)(製品名:ロコイド)などがあります。
重症の場合の治療法
重症のアトピー性皮膚炎の治療は、より強い1群(ストロンゲスト)や2群(ベリーストロング)のステロイド外用薬を使うこともあります。
ストロンゲストのステロイド外用薬には、0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル(製品名:デルモベート)や0.05% ジフロラゾン酢酸エステル(製品名:ダイアコート)などがあります。
ベリーストロングのステロイド外用薬には、0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル(製品名:フルメタ)や0.05% ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(製品名:アンテベート)などがあります。
また、必要に応じてステロイドの内服薬を短期間だけ使ったり、免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏(製品名:プロトピック軟膏)が使われることもあります。
さらに、とびひを併発した場合は抗生剤、カポジー水痘様発疹症の場合は抗ウイルス剤、カンジダを併発した場合は抗真菌剤を使用します。
紫外線療法がアトピー性皮膚炎に用いられること
紫外線治療は、免疫抑制力を活用したアトピー性皮膚炎や乾癬などの治療法です。ステロイド外用薬などの塗り薬だけでは改善しない場合に用いられます。
PUVA(プーバ)療法、ナローバンドUVB療法、エキシマライト、エキシマレーザーによる紫外線治療の4つがあります。
照射回数や紫外線量は、重症度、個人の症状によって異なります。
<参考記事>