ホクロが気になり、除去したいと思っているエイジングケア世代の女性も多いのではないでしょうか。
ホクロは化粧品や医薬品で取り除くことができません。そのため、皮膚科や美容皮膚科で除去することが必要です。
しかし、傷跡が心配な方もたくさんいます。
そこで、今回は、名古屋のさかえクリニック院長の末武信宏先生に、傷跡を極力残さないホクロの除去方法について教えていただきました。
ホクロとは?
施術内容 |
電気分解法によるホクロ除去 |
費用 |
3mm 24,000円(税別) ※当時の価格で現在とは異なる場合があります。 |
考えられるリスク・副作用 |
瘢痕、赤み、色素沈着、再発、凹み、施術部位の腫れ、出血、感染 |
[提供:さかえクリニック]
ホクロは、メラニン色素を含む細胞の塊で、60%が水分、40%がタンパク質で構成されています。シミと異なり表皮のみならず真皮にまで色素の集合体が存在しています。
医学的には「母斑細胞母斑」、または「色素性母斑」と呼ばれています。
その原因は、生まれつき、紫外線による影響が大きいと考えられています。
ホクロの多くは、黒色や茶色に見えますが、皮膚と同色で盛り上がったものや、真皮層でメラノサイトが増殖した場合は青色に見えることもあります。(青色母斑)
幸いホクロは良性で、放置しても健康上の問題はありません。
しかし、ホクロのように見えてもイボ(尋常性疣贅)やシミ(脂漏性角化症)、軟繊維腫の場合もあります。肉眼では診断がむつかしい場合もあります。
この場合はダーマスコープという診断機器で診断可能です。(診察、診断のみであれば保険が適応されます)
また、ホクロのように見えても 基底細胞がん(BCC)や有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)のような放置してはいけない皮膚がんであることも。
これは、肉眼では鑑別診断ができないことも多いです。
急にホクロが目立ってきた、形がいびつなどの場合は、皮膚科・美容皮膚科を受診することをおすすめします。特に拡大傾向にあったり、出血したり、するような状態では必ず専門医の診察をお勧めします。
がんとはいかないまでも前癌状態である日光性角化症、ボーエン病とよばれる異形細胞が存在する皮膚のホクロ様状態もあるため注意が必要です。
美容外科医では診断が困難で皮膚科医や専門医への診察をお勧めします。
なお、良性のホクロと悪性黒色腫の違いを表にまとめますので、参考にしてください。
|
良性のホクロの特徴 |
悪性黒色腫の特徴 |
形 |
ホクロの形が左右対称 大きさや色の濃さが均一 |
形がギザギザ いびつ |
大きさ(直径) |
6mm未満であることが多い 大きさにほとんど変化なし |
直径が6mm以上 大きくなるペースが速い |
毛 |
あり |
ない場合が多い |
ホクロの治療法の種類
ホクロの治療法には多くの種類があります。
ホクロ切除(手術)
ホクロ切除は、切開を行う手術による治療法です。
深い部分の母斑細胞まで残さず取り除くことができ、再発の心配は少ない処置です。ただし、キズが深くなるので、大きなホクロの場合にはキズを縫いよせる必要があります。手術の場合、ある程度の傷跡が残ってしまいます。
ホクロ切除には、くりぬき法と切開切除法があります。
①くりぬき法
くりぬき法とは、メスでホクロをくり抜いて除去する方法です。トレパンという器具を用いたりメスでくり抜く場合もあります。
患者様へのメリットはほとんどなく、悪性腫瘍を疑わない限り行うべきではない治療法で
【毛髪内のホクロの除去】→電気分解法による蒸散
施術内容 |
頭部毛髪内のホクロ除去 |
費用 |
8,000円~40,000円(税別)(大きさによる)
※当時の価格で現在とは異なる場合があります。 |
考えられるリスク・副作用 |
瘢痕、赤み、色素沈着、再発、凹み、腫れ、出血、感染 |
[提供:さかえクリニック]
②切開法
切開法は、ホクロを含む正常な皮膚を紡錘形に切除して縫合する方法です。
メリットは確実にホクロが消失させることができることと、再発の可能性がないことです。
また、病理検査が容易にできて、悪性腫瘍とわかった後でも対応が可能な点もメリットです。
しかし、傷跡がホクロの直径より大きく残ることや、ダウンタイムがあり抜糸が必要なために通院しなければならないことなど、デメリットがあります。
高周波熱エネルギーによる除去(電気分解法)
電気メスの原理を応用し、高周波により発生する熱によってホクロの細胞を蒸散させる治療です。
施術は短時間で、施術後は、通院の必要もない点がメリットです。
ダウンタイムは数日間です。
上皮化するまで医療用テープでの創部の保護が必要になります。
赤みは3-4か月で消失してほとんど目立たなくなります。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーによる治療では、ホクロの盛り上がり部分を炭酸ガスによる熱エネルギーで組織を蒸散させて削り取って、平らにすることができます。
炭酸ガスレーザーは手術と比較してキズが浅いため、傷跡も大きくなく、目立たなくなるメリットがあります。未熟な医師が行うと熱傷の痕が醜く残ることもあります。
しかし、ホクロが深い場合は再発する可能性があります。それを避けるために、ホクロを深く取りきろうとすると、凹みが大きくなるリスクがあります。
Qスイッチレーザー
Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーは、メラニン色素に特異的に反応します。
そのため、盛り上がりがないホクロの黒い色を消す場合に適応が可能です。
この治療法には、麻酔が必要ないこと、治療後に絆創膏を貼る必要がないこと、同時に複数個所の治療ができることなどのメリットがあります。その反面、1回の治療効果が弱いので、ホクロの黒い色が消えるまでレーザー照射を繰り返し(1~3カ月ごとに数回)行う必要があり、治療に要する期間は長くなります。
当院がおすすめする傷跡が少ないホクロの治療法
さかえクリニックで行っている傷跡が残らないホクロの治療法は2つあります。
高周波(ラジオ波)を発するサージトロンとツリウムレーザーという水に吸収されるレーザー光線を発するラビアンです。
いずれの場合も瘢痕が目立ったり、周りだけ黒く残ることはありません。
サージトロン
サージトロンとは、ラジオ波という特殊な波長でホクロの組織を蒸散させて除去する機器です。ラジオ波メス(RFナイフ)とも呼ばれます。
サージトロンを使うメリットは、一般的な電気メスのおよそ10倍の高周波数帯であるため、ホクロの周囲の組織の熱変性や炭化、出血が少ないことです。また、火傷の心配もありません。
そのため、傷の治りが早く、傷も目立ちません。
サージトロンによる治療法は皮膚への負担が少なく、効率的な治療が可能です。
熟練した専門医が行えば炭酸ガスレーザーによる除去法よりもはるかに短時間で綺麗に確実に除去可能です。
ラビアン(ツリウムレーザー)
ラビアンは、韓国製のフラクショナルレーザーです。
ツリウムを光源としていますが、この波長のレーザーは水分吸収が適度であるため、表皮の奥から真皮の上部の層に最も吸収されます。
これを使ったホクロ除去は、取り残しが少なく治療が容易になりました。また、治療時間も1~2分と短く、負担の少ない点もメリットです。
しかし真皮深くに色素が存在するホクロの場合は適応にはなりません。
ホクロ除去後のアフターケア〜良い経過のための〜
ホクロは除去後、通常、顔の場合は4カ月程度、ボディの場合は6カ月程度赤みが残ります。
この期間のケア、特に除去後の傷跡が上皮化する除去後1週間のケアが大切です。
この章では、ホクロ除去後の適切なアフターケアについて解説します。
1)施術後の創部へのケアのポイント
① 傷は消毒しない
② 傷には、直接ガーゼを当てない(創傷被覆材の上からなら大丈夫です)
③ 傷はすぐに水道水で洗い、できる限り異物を除去する
④ 絆創膏は閉鎖性のもののみを使って傷を乾燥させない
⑤ 傷は抗生剤軟膏とステロイド含有軟膏を塗って医療用創傷被覆材で覆う
⑥ 傷の処置の準備として、ビタミンC誘導体配合のジェルなどを塗る(ビタミンC誘導体には、線維芽細胞のはたらきを高めて傷の治癒を促進し、色素沈着を抑制する効果がある)
⑦ 出血は単純に圧迫
⑧ 傷にクリームは絶対使用しない。クリームは界面活性剤が含まれていてダメージを与える
⑨ 原則、翌日からシャワー、入浴を許可。創面を濡らしても問題はない
2)除去直後から1週間のケア
施術直後の状態は、擦り傷のような状態で赤みが出現します。上皮が欠損していて真皮がむき出しています。
感染予防と炎症を抑えるために、抗生剤入りのステロイド軟膏を塗布します。
また、早く上皮化ができるように、その上に医療用創傷被覆材を1週間ほど貼ります。
これでホクロ除去後の傷痕が被覆され、湿潤状態になります。
その後、上皮ができてきます。
なお、特に気をつける必要があるのは、目の周り、口の周り、下顎部など動きのある部位です。この部位はしっかり術後にケアしても傷跡が盛り上がって治癒する可能性が高い部位です。
3)除去後4カ月は紫外線対策を徹底する
ホクロ除去後は、バリア機能が低下しています。
そのため、紫外線を患部に受けてしまうとよりダメージが大きくなり、色素沈着が長期に残るリスクがあります。
だから、日焼け止めによる紫外線対策が大切です。
ただし、バリア機能が低下している状態であるため、肌への負担が少なく、低刺激の日やけ止めによって紫外線から皮膚を守る必要があります。
日焼け止めの成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類がありますが、肌に優しい紫外線散乱剤だけを使ったノンケミカル処方のアイテムがおすすめです。
ナールスのおすすめはノンケミカル処方の日焼け止め「ナールス ヴェール」
ホクロ除去後の大切な紫外線対策におすすめしたいのは、優しい日焼け止め。
一方、春や夏など日差しが強い際には、高い紫外線ブロック力も大切です。
さらに、今、話題の有害光線ブルーライトをカットできるならなおさらベター。
そんな3つの条件を兼ね備えた日焼け止めが「ナールス ヴェール」です。
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ホクロの傷跡を目立たないようにするには専門医を選ぶことが大切
ホクロをしっかり除去するとともに、傷跡をできるだけ目立たないようにするためには、ホクロの存在場所、大きさ、色素の深さ、状態のすべてを総合的に診断し、キレイに除去できるかどうかを判断しなければいけません。(悪性、良性の診断をダーマスコープでしっかり行っていただける専門医に治療を必ず受けてください。)
また、ホクロ除去後の処置を正しく行うことも大切です。
たとえば、一般的には炭酸ガスレーザーとでは、ホクロの傷跡が残りにくいのは、熟練した専門医に施術を受ける電気蒸散(分解)法です。
治療法を選ぶことよりも、技術レベルの高い美容クリニックで治療を受けることのほうが大切なのです。(ホクロの種類によって最も適した治療法を実施していただけます)
ホクロ除去の治療を受ける場合、医師の実績や症例の写真、除去後のアフターケアなどについての情報を確認してみましょう。
まとめ
ホクロはチャームポイントとも考えられます。しかし、コンプレックスと感じている人も少なくありません。
そのため、ホクロ除去を考えている方もたくさんおられます。
そんな方は、できれば、痛みも小さく短時間で済み、傷跡も極力残らない、ダウンタイムが少ない方法でホクロを除去したいですね。
今回は、日本美容外科学会認定専門医でもある 名古屋のさかえクリニック院長の末武 信宏先生に、傷跡を残さないホクロの除去方法であるサージトロンやラビアンを使った施術をご紹介いただきました。
また、ホクロ除去後に大切な術後のアフターケアについても解説していただきました。
ホクロ除去後は4カ月程度で赤みが引きますが、施術後からそれまでの間は紫外線対策が普段以上に大切になります。
優しい日焼け止めで対策しましょう。
ホクロ除去は、スキンケアやエイジングケアでは対応できないので、気になる方は皮膚科や美容皮膚科で相談しましょう。
<謝辞>
本記事の症例及び医療機器の写真は、すべてさかえクリニック様にご提供いただきました。本記事のメッセージ提供と併せて深く感謝申し上げます。