脱毛の施術前後や期間中のスキンケアのコツ

◆保有資格
皮膚科専門医
医学博士

◆経歴
獨協医科大学医学部卒業後、都内での初期研修を経て順天堂大学浦安病院 皮膚科教室に入局。
主に、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚腫瘍などの一般皮膚科疾患などを診察し、皮膚科専門医を取得。加えて、皮膚の加齢性変化に関して大学院にて研究を行い医学博士を取得。
また、入局と同時期につくば・土浦鶴町皮膚科クリニックにて非常勤医師として勤務開始し、一般皮膚科のみならず、美容皮膚科診察も開始。
2023年4月よりにつくば・土浦鶴町皮膚科クリニックの副院長として常勤勤務を開始。
皮膚科・美容皮膚科を通じて、健康で美しい肌の実現を目指して、肌の悩みをトータルにサポートできるよう診療を行っている。

現在では女性だけではなく男性も医療脱毛を行っている方は多くなってきました。
医療脱毛は、手間が省けるだけでなく、女性の顔の産毛剃りや男性の髭剃りによる肌ダメージを無くすことで、美肌をキープできるというメリットがあります。

しかし、脱毛の前後や期間中のスキンケアやエイジングケアでは気をつけるべきポイントがあります。

ここでは医療脱毛の前後や期間中のスキンケケアやエイジングケアのコツをご紹介します。

医療脱毛とは

まず、最初に医療脱毛について簡単に説明します。
医療脱毛とは、脱毛レーザーを照射したり針で電気刺激を与えたりして毛根組織にダメージを与えて、全体的な毛量を減らす脱毛方法です。
最近では、脱毛レーザーによる医療脱毛が主流です。

医療脱毛は、医師または看護師といった医療の専門資格を持つ人がいる医療機関でなければ施術を受けられません。(*1)

医療脱毛は、永久脱毛とも呼ばれます。
永久脱毛とは、FDA(アメリカ食品医薬品局)によると「複数回の施術後に再生する毛の数を安定的・長期的に減らすもの」とされています。(*2)
「永久」という名前ですが、すべての毛が永に生えて来ないのではなく、長期的に脱毛できる施術です。

<医療脱毛とエステ脱毛の違い>

医療脱毛とエステ脱毛の違い [提供:つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック]
<参考記事>

脱毛前のスキンケアやエイジングケア

1)丁寧な保湿ケアで肌を健やかな状態に

医療脱毛は、医療用のレーザーを照射して肌ダメージを与えるので、バリア機能の低下をもたらす可能性があります。
また、発生した熱によって肌が乾燥しやすくなります。
そのため、脱毛前においては肌をバリア機能が正常な健やかな状態にしておくことが大切です。
そこで最も大切なのが、脱毛前には丁寧な保湿ケアを行うことです。
普段以上に意識してスキンケアやエイジングケアを行い、しっかり保湿を行いましょう。

新たしいものを使うと肌に合わないリスクがあるので、使うアイテムは普段使っているもので構いません。
化粧水や美容液、乳液、保湿クリームを肌の状態に合わせて使いましょう。
おすすめのスキンケアアイテムとしては、高い保湿作用がありアルコールフリーなど刺激の少ないものです。

全身脱毛を行った場合は、ボディやVIOの保湿も大切です。
ボディは塗りやすく伸びがいい保湿ジェルやローションがおすすめです。
VIOはデリケート部位なので、肌にやさしいアイテムを使いましょう。

ただし、普段のスキンケアやエイジングケアを行い肌が健康な場合には、それ以上に特別なことをする必要はありません。
なぜなら、過度なスキンケアやエイジングケアはかえって肌のバリア機能の低下を招き、ターンオーバーの乱れにつながるからです。

また、潤いのある健康な肌であれば、ある程度高い出力のレーザーを照射されることも可能です。
その結果、高い脱毛効果や回数の軽減などに繋がります。

2)日焼けを防ぐ

医療脱毛で使う脱毛レーザーは、黒い色に反応するためも毛根組織だけでなく、メラニンにも反応します。
つまり、日焼けした肌にもレーザーが反応してしまいます。
そのため、日焼け直後の肌やひどく日焼けした肌にレーザーを照射してしまうと熱が加わり、痛みを感じやすくなったり、火傷のリスクが高くなります。
そのため、レーザーを用いた医療脱毛が受けられなくなる可能性があります。

<火傷>

火傷の写真 [提供:つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック]

最近では、色黒の肌でも脱毛可能なレーザーもありますが、施術前にはしっかり紫外線対策を行い、日焼けをしないようにしましょう。
外出時は、日焼け止めの使用はもちろん、帽子や衣類など物理的に紫外線をカットすることも大切です。
また、日焼け止めを選択する際には、アレルギー反応や刺激が少ないとされているノンケミカル(紫外線吸収剤フリー)の物がおすすめです。

医療脱毛後や期間中のスキンケアや注意

脱毛後に正しいスキンケアを行った女性

脱毛直後は、レーザーのダメージで肌のバリア機能が一時的に低下し敏感になっている状態です。
適切なスキンケアやエイジングケアが行えなかったり、注意事項が守れないと肌へのダメージが増し余計に乾燥肌が進行し、結果的肌荒れにつながる可能性があります。
また、乾燥が原因で小じわになったり、他の肌トラブルに見舞われることもあります。

ここでは医療脱毛の施術後や脱毛継続期間中におけるスキンケアや注意事項について解説します。

)1保湿や紫外線対策は大切

脱毛前と同様に保湿や紫外線対策は大切です。
スキンケアアイテムは、高保湿で刺激の少ないものを使いましょう。
また、特に施術した部位に紫外線が当たることを避けましょう。
帽子、衣類、アームカバー、UVカットサングラス、日焼け止めなどさまざまな手段を用いて、しっかり紫外線をブロックしましょう。

保湿アイテムや日焼け止めは、敏感肌でも使えるアイテムを選ぶのも良い方法です。

また、医療脱毛は1回では終わらず数回、場合によっては10回以上の継続的な施術が必要なこともあります。
その期間中も肌を潤いのある健康な状態に保つために、保湿と紫外線対策をしっかり行いましょう。

2)施術当日はシャワーで済ます

医療脱毛の施術当日は、シャワーだけで済ませましょう。
なぜなら、医療脱毛の施術当日に体を温めすぎると赤みや腫れが目立つ可能性があります。
そのため、入浴やサウナは施術当日には控えましょう。

3)洗顔や洗体は優しく

医療脱毛後の洗顔や洗体はいつも以上に優しく行いましょう。
先ほども触れた通り、医療脱毛後の肌はバリア機能が低下し、刺激に対して敏感になっています。
そのため、洗顔や洗体で擦るなどで摩擦を与えると更にダメージを与えてしまいます。
なお、洗顔や洗体後は、しっかり保湿することが大切です。

4)激しい運動は避ける

医療脱毛の施術当日には、体温が上がるような激しい運動は控えましょう。
そのため、施術当日は運動や肉体労働などはなるべく避けるように予定を調節しておくと良いでしょう。

5)飲酒は控える

医療脱毛後の当日の飲酒は控えましょう。
お酒に含まれるアルコールは血行を促す作用があるため、施術直後やあまり時間が経過しない間に飲酒すると赤みやかゆみなどのリスクが高くなります。
もちろん、施術の直前に飲酒するのもNGです。

6)自己処理はできるだけ控える

医療脱毛の施術後、すぐに毛が抜け落ちるわけではありません。個人差はありますが、約2~3週間かけて自然に毛が抜け落ちます。
この期間に施術した箇所にダメージを与えると埋もれ毛や毛穴の炎症などのリスクになります。
この期間は、毛抜きやカミソリなどによるムダ毛の自己処理は控えましょう。

医療脱毛後、こんな時どうする?

医療脱毛後のアドバイスを行う看護師さん

1)赤みや腫れが出た場合

医療脱毛の直後に、赤みや腫れがある場合は、施術後にクリニックから渡されている軟膏がある場合にはそれを塗りましょう。
多くの場合は軽度の炎症なので、2、3日以内で治まります。
しかし、症状が改善しない場合は、炎症がひどい場合はすぐに施術を受けたクリニックを受診しましょう。

2)どうしても無駄毛を自己処理したいときは?

ムダ毛が生えてきてどうしても自己処理したいときは、電気シェーバーを使いましょう。
電気シェーバーは直接刃が肌に触れることがないので、肌への影響が少ないです。
毛抜きやカミソリによる自己処理は、肌ダメージが大きい上に、レーザーが反応しなくなり、脱毛効果が小さくなるリスクもあります。
脱毛期間中の自己処理は、電気シェーバーを使いましょう。
もちろん、電気シェーバーで自己処理を行った後は、しっかり保湿することが大切です。

まとめ

今や医療脱毛は若い女性だけではなく、男性や40代、50代の女性も当たり前に施術を受ける時代になっています。
また、介護脱毛を受ける中高年の方も増えてきました。
これは医療脱毛のメリットが多くの方に理解されてきたことによるものです。
しかし、脱毛レーザーで高いエネルギーを肌に照射するという医療脱毛の特徴から、施術期間中のスキンケアやエイジングケア及び紫外線対策など日常生活では気を付ける点がいくつかあります。
高い脱毛効果を得るためや肌トラブルを避けるために、医療脱毛の施術前後や期間中は、正しいケアや生活を続けましょう。

<参考記事>

<謝辞>

本記事作成に関して、つくば・土浦鶴町皮膚科クリニックに大変ご尽力いただきました。また、医療脱毛に関するイラスト及び症例写真をご提供いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。

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