エイジングケア世代も取り入れたいアロマセラピーで美肌作り

◆ 学歴
浜松医科大学医学部医学科 卒業
オーストラリア シドニー大学医学部 Pain management修士課程 卒業

◆ 主な資格
日本医師会認定産業医
日本麻酔科学会認定医
日本アロマセラピー学会認定医
IFAアロマセラピスト

◆ 略歴
学生時代にアロマセラピーに興味を持ち資格を取得。
岡山医療センターで初期研修後、大阪大学医学部麻酔科学教室入局。後期研修後、オーストリア、メルボルン、Aldred Healthにて麻酔、ICU、痛みの臨床研修を経て、シドニー大学院へ入学。卒後、神戸市内の医療機関にて麻酔科医として働いたのち、M&K産健を設立し企業の嘱託産業医として活動中。
主な著書「産業医がお勧め!在宅ワークのためのアロマセラピー(睡眠・集中力・首、肩、腰の痛み緩和)」(まんがびと出版)

桐田泰江先生のブログ

M&K産健 代表の桐田泰江先生にアロマテラピーとは何か、またスキンケアやエイジングケアへの活用法や注意点についてメッセージをいただきました。 また、ナールスからエイジングケアやアンチエイジングに取り入れたい精油の種類や特徴を紹介します。

アロマテラピーに使う精油は吸入と希釈で肌へも使える

リラックスしている女性

アロマテラピーで使う精油は直接、吸入して体へ取り入れることも希釈して肌へ塗ることが可能です。
その香りによってリラックスすることで、ストレス解消にもつながり、肌へも良い影響をもたらします。
また、希釈して使うことで直接的なスキンケアやエイジングケアのアイテムとしても使えます。
アロマテラピーや精油を上手に取り入れることで心身の健康とエイジングケアやアンチエイジングにも役立ちます。

<参考記事>

アロマテラピーとエイジングケアでの活用法・注意点~桐田泰江先生からのメッセージ

日常生活にアロマセラピーを取り入れることで、健康増進はもちろん、リラクゼーションや美容の手法として生活を豊かにすることができます。
アロマセラピーはわざわざ資格を取ったりサロンに行かなくてもご自身で自宅でも簡単に始められることがメリットです。
ぜひ、30歳以上のエイジングケア世代の皆様に取り入れていただきたいと思います。

1)アロマセラピーと美容の歴史

アロマセラピーは1928年、フランスの学者ルネ・モーリス・ガットフォセが考案した言葉で、自然の恵みにより心身の健康を増進することを目的とした療法です。
アロマセラピーを美容法として紹介したのがオーストリア生まれのマルグリット・モーリーで、キャリアオイル(植物油)にエッセンシャルオイル(精油)を希釈して塗布する手法を広めました。
1964年に著書の「The Secret of Life and Youth」(生命と若さの秘密)」がイギリスで広まり、美容分野へとアロマセラピーが発展するきっかけとなりました。

その後、日本にアロマセラピーが初めて紹介されたのは約40年前、1985年です。
イギリス人、ロバート・ティスランドの書いた「アロマテラピーの理論と実践」が翻訳されたのがきっかけでした。
日本でも英国と同じように美容を中心に若い女性を中心にブームになったのをきっかけに普及していき、わずか十数年で定着しました。

2)日頃のスキンケアとして

お肌の保湿や引き締め、角質ケアなど、毎日のスキンケアやエイジングケアとしてアロマセラピーを取り入れるのと良いでしょう。

<例> 乾燥肌、敏感肌:ネロリ、ローズ 脂性肌:ゼラニウム、ベルガモット 混合肌:イランイラン 角質ケア:レモン お肌の引き締め:スイートオレンジ、レモン

3)お肌のトラブルのケアとして

日焼けやニキビなど、一時的なお肌のトラブルのケアにもアロマセラピーはおすすめです。 日頃のスキンケアやエイジングケアのプラスアルファのケアを取り入れると良いでしょう。

<例> うっかり日焼け後の火照り:ティートリー、ラベンダー ニキビ:殺菌作用のあるティートリー、ラベンダー フケや脱毛など頭皮のお悩み:ローズマリー

4)スキンケアで精油の香りを楽しむことのメリット

精油は主に呼吸器系と肌から成分が吸収されます。
呼吸器系から吸収された精油は鼻からダイレクトに、または肺から血流に乗って脳へ届きます。
自律神経系や内分泌系、免疫系の不調があるときにもスキンケアをしながら香りで同時にアプローチできることがメリットです。

5)お肌に使用する前の注意事項

最後に精油を使うときの注意事項についてご説明します。

①直接皮膚に塗布せず希釈しましょう

希釈の上限は顔用なら0.5%、ボディ用なら1.0%が推奨されており、作り方の目安は次の通りです。

ローション
お好みの精油を単独、またはブレンドして、肌のタイプに合わせて市販の無香料のローション、精製水(+無水エタノール ※)などで希釈します。
※精製水を材料とする場合のローション50ml分の材料は、精製水45ml +無水エタノール5ml です。

トリートメントオイル
お好みの精油を単独、またはブレンドして、お肌のタイプに合わせてキャリアオイルに希釈します。
顔用   1滴の精油+10mlキャリアオイル
ボディ用 1滴の精油+5mlキャリアオイル

いずれも遮光性の容器に入れ、1ヶ月以内に使い切るようにして下さい。

②1日の使用量をまもりましょう

成人の1日の精油の使用量は最大6滴まで(1滴0.05ccの場合)です。

③必ず100%植物性を選び、なるべくオーガニックの精油をアロマセラピー専門店でお求め下さい

パッケージや瓶の表示をチェックし、100%天然のものを使用します。
可能ならばオーガニック(有機栽培)認証の精油やキャリアオイルをお勧めします。
なるべくアロマセラピーの専門店で購入しましょう。
雑貨店などで、全て均一価格で売られているものは、合成オイルの可能性が高いので注意して下さい。

④光毒性や皮膚刺激のある精油に注意しましょう

光毒性のあるベルガプテンを含む精油をご使用の際は日光に当たらないようにご注意下さい。
刺激を感じたらすぐに使用を中止して下さい。

⑤パッチテストをしましょう

必ず使用前にパッチテストを行なって下さい。

パッチテストの手順は以下の通りです。
1.使用する精油をキャリアオイルなどで1〜2%まで希釈する。
2.肘の内側など皮膚が薄く目立たない部位につけ、24時間放置する。
3.時間がたったらテストした部位を確認し、異常がなければ使用OKです。

肌の異常が見られた場合は、使用しないでください。

⑥乳幼児や妊娠中、持病がある人、高齢者には慎重に使用しましょう

0歳までは精油の使用はおすすめしません。妊娠中に注意が必要な精油があります。
高齢者は代謝が落ちているため、精油の使用量を調整します。
また、精油が苦手なペットを飼っている場合は使用しないようにしましょう。

⑦油には引火性があるので火気・乾燥機の使用に注意しましょう

美容においてアロマセラピーが有効であることは、多くの研究でも示されています。
エイジングケア化粧品と併せてアロマセラピーを取り入れて、美しい肌を目指しましょう。

<関連記事>

精油の吸入が女性ホルモン(エストロゲン)を増やす

アロマテラピーで使うゼラニウム精油とローズオットー精油の香りによる刺激で、女性ホルモンであるエストロゲン濃度が増加したという実験報告があります。
エストロゲンは、女性の心身の健康と美しさに大きな影響を与えます。子宮内膜を厚くするなどの生殖に関する作用に加えて、く、睡眠、脳機能、心のバランスにも影響を与えます。
また、肌の潤いやコラーゲン産生にも関わっている女性にとって大切なホルモンです。
しかし、エストロゲンは、30代半ばからその分泌量は低下し、40代になると大きく減少します。

女性ホルモン量の年齢による変化

そのため乾燥肌やシワなどの肌老化が進む原因の1つとなります。
特に40代からはその傾向が顕著です。
そのため40代からはそれまで以上にエイジングケアが大切ですが、精油やアロマテラピーでエストロゲンを増やすことで、その一助になるのです。

<参照論文>
K. Shinohara et al.: Effects of essential oil exposure on salivary estrogen concentration in perimenopausal women. (Neuroendocrinology Letters, Vol.37, No.8, 2017: pp 567-572)」

<参考記事>

エイジングケアにおすすめの精油の種類・特徴

アロマテラピーに使われる精油の中には、肌老化の予防などエイジングケアやアンチエイジングに良い効果が期待できるものがあります。
ナールスのエイジングケア化粧品ではほとんど精油は使っていませんが、ここではいくつかの種類と特徴や効果を紹介します。

ローズ

ローズは、世界三大美女としても有名なクレオパトラが愛していた花のひとつ。

ローズの精油は、優雅な香りが特徴で、心身をリラックスさせるはたらきがあります。
また、女性ホルモンのバランスを整えるはたらきから、エイジングケアにもおすすめです。

女性ホルモンが整うことで、エストロゲンのはたらきが活発になり、肌の潤いアップやコラーゲン産生をサポートします。
そんなローズの中で、特に豊潤な香りがあるのが「ダマスクローズ」です。
ダマスクローズの精油は「エッセンシャルオイルの女王」とも呼ばれます。

ダマスクローズはオイル以外でもダマスクローズ水(ダマスクバラ花水)としても使われます。
ナールスのエイジングケア化粧品ではダマスクローズの精油が使っていませんが、ダマスクバラ水は、ハンドジェル「ナールスロゼ」クレンジングジェル「ナールスエークレンズ」エイジングケア保湿クリーム「ナールスユニバ」に使用しています。

<参考記事>

ゼラニウム

ローズゼラニウムとも呼ばれるゼラニウムは、ハーブ由来の精油です。
ゼラニウムは、フウロソウ科ペラルゴニウム(テンジクアオイ)属の植物で、化粧品成分としても利用されています。
ゼラニウムは、ハーブ系の爽やかな香りの中に、ローズに似た甘いフローラルの香りがします。
ゼラニウムには、保湿、抗菌、皮脂コントロール作用があり、エイジングケアやスキンケアをサポートします。
ナールスのエイジングケア化粧品では、「ナールスリジェパーフェクトマスク」に使っています。

<参考記事>

パルマローザ

パルマローザは、イネ科の多年草から抽出される精油。
華やかなフローラルの香りがありながら、草のような爽やかな香りをも兼ね備えていて、リラックス効果が得られます。
収れん作用や皮膚再生作用があり、エイジングケアやスキンケアにも効果的です。

ローズウッド

ローズウッドは。樹木から抽出した精油ですが、ローズに似た香りがすることから命名されました。
抗炎症作用や抗菌作用があり、肌荒れやニキビのケアにも役立ちます。
また、細胞の新陳代謝を活性化させ、肌のハリや潤いを保つなどエイジングケアをサポートします。

フランキンセンス

フランキンセンスの木を傷つけて樹液を出し、樹液が固まった時にできる樹脂を集めて抽出することで精油を作ります。

フランキンセンスの精油には、抗酸化作用や抗炎症作用に加えて、神経にはたらきかけて心身をリラックスさせる効果もあります。
そんなはたらきから、若返りオイルと呼ばれることもあります。

乾燥肌や肌荒れなどのスキンケアやエイジングケアにも使えます。

ネロリ

ネロリは、ミカン科のビターオレンジ(ダイダイ)の花から抽出される精油です。
「天然の精神安定剤」と呼ばれるほど心に強く働きかけ、深いリラックス感を得られます。
ストレスを減らすことで肌荒れや吹き出物などのケアが可能です。

また、肌に使うと古くなった角質を取り除きおターンオーバーの改善によってシミや小じわのケアをサポートします。
ただし、妊娠中の方は使用できません。

<参考記事>

月桃(げっとう)

月桃は、サンニンとも呼ばれる植物で、昔から沖縄で親しまれてきました。
アロマテラピーだけでなく化粧水などのコスメにもよく使われてきましたが、最近では抗酸化成分としても注目されています。

その理由は、月桃にポリフェノールとアルブチンが含まれていることです。
月桃には、赤ワインの約30倍のポリフェノールが含まれています。そのため、酸化を防ぐことで肌老化を予防します。
また、アルブチンは、メラニン色素の合成を抑制し、のシミ・そばかすを防ぐ効果もあります。

このように月桃はエイジングケアにとてもおすすめの精油です。

<参考記事>

ローズマリー

ローズマリーは、アロマテラピーだけでなく料理にも使用されるハーブの一種です。
血行促進作用、抗菌作用があり、ヘアケアアイテムにも使われています。
また、活性酸素の発生を抑制するとされるジテルペンが含まれており、抗酸化作用も期待できます。
ローズマリーもエイジングケアに向いている精油です。

まとめ

M&K産健 代表の桐田泰江先生にアロマテラピーとは何か、またスキンケアやエイジングケアへの活用法や注意点についてメッセージをいただきました。
アロマテラピーは上手に取り入れることでエイジングケアにも役立ちますが、注意する点もたくさんあります。
また、アロマテラピーに使う精油の中で特にエイジングケアやアンチエイジングに役立つものについて紹介しました。
ナールスでは精油の取り扱いはありませんが、一部のエイジングケア化粧品には配合しています。
この記事がアロマテラピーを使ったエイジングケアに興味のある方のお役に立てば幸いです。

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