コラーゲンペプチド(サプリメント)の美肌&エイジングケア効果!

藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)/藤田保健衛生大学大学院卒業。
日本形成外科学会認定専門医取得後、順天堂大学医学部附属静岡病院形成外科部長や
大手美容クリニック院長などを経てSOL CLINICを開業。

コラーゲンペプチドとはコラーゲンを加水分解したもので、サプリメントとして摂ることが可能です。
かつては、食品で摂っても効果は同じと考えられていました。
しかし、最近ではコラーゲンペプチドにはユニークなはたらきがあり美肌効果やエイジングケア効果を発揮することがわかってきました。
この記事では、その点についてSOL CLINIC院長向井英子先生にメッセージをいただきました。
また、ナールスからさまざまな美肌効果やエイジングケア、健康への効果について紹介します。

コラーゲンペプチドには美肌効果がある|向井英子先生からのメッセージ

コラーゲンは17種のアミノ酸からなるたんぱく質です。
人のからだでは、皮膚の約70%を占めます。
また、血管、骨などにもある健康や美肌にとても大切な成分です。
しかし、加齢とともに減少したり、肌では紫外線ダメージで劣化します。
そんなコラーゲンは、かつてはサプリメントで摂っても特別な効果はないと考えられていました。
しかし、2000年以降、コラーゲンを加水分解したコラーゲンペプチドを摂ることで、肌の水分量が増える(*1)、ハリが増す(*2)、しわが改善する(*3)、隠れシミが改善する(*4)、紫外線による紅斑を抑える(*5)などの研究結果が報告されています。
この理由は、コラーゲンペプチドがすべてアミノ酸に分解されることなく、約20%〜50%がコラーゲンペプチドとして血中に残っていることです。(*6) この血中のコラーゲンペプチドが、肌の真皮にある線維芽細胞にはたらきかけ、コラーゲンやヒアルロン酸などを増やします。
肌の水分量やハリが増すのは、そのためです。
このように、コラーゲンをコラーゲンペプチドとして摂取すると、美肌効果があることが明らかになってきたのです。

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人のコラーゲンの基本

コラーゲンといえば肌にあるイメージが強いですね。
実際、コラーゲンは肌の真皮にある線維芽細胞によって作り出されます。
そして、真皮の70%程度を占めます。

しかし、コラーゲンは肌だけではなく、靱帯、腱、骨、関節にもあるのです。

そんな人のコラーゲンは、存在する場所や、元となるタンパク質の組み合わせや量のちょっとした違いで、30種類程度にわかれます。
それらは、I型、Ⅱ型のようにローマ数字で表されます。

たとえば、真皮、靱帯、腱、骨などではI型コラーゲンが豊富です。
また、真皮ではⅢ型やⅣ型、Ⅶ型などがあります。たとえば、Ⅲ型コラーゲンは、「ベビーコラーゲン」、「若返りのコラーゲン」とも呼ばれていて、I型コラーゲンよりも柔らかく、年齢を重ねるとI型以上にその比率が減ることが知られています。

一方、関節軟骨ではⅡ型コラーゲンが主成分です。

そんなコラーゲンは、細胞と細胞の間にあって、この細胞たちをきっちり並ばせるために細胞同士を、結びつけたり支えたりしているのです。

このようにコラーゲンは人にとってとても大切でタンパク質です。

しかし、エイジングとともにコラーゲンは減っていきます。
そのため肌の老化がすすむのです。

コラーゲンが少ない肌と豊富な肌

<参考記事>

コラーゲンペプチドとは?

コラーゲンペプチドとは、コラーゲンを加熱処理などで小さく分解したものです。
生のコラーゲンは消化吸収されにくいので、食品や飲料などのサプリメントに使われているのは、加熱して抽出・精製します。
これがゼラチンです。
さらに、ゼラチンを加水分解した「コラーゲンペプチド」となります。
サプリメントなどで使っている粉末は、生のコラーゲンではなくコラーゲンペプチドです。その原料は動物では、豚や鶏、魚類ではタラやマグロの皮、テラピアの鱗皮などです。

<コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチドの関係>
コラーゲンのコラーゲンペプチドの違い

コラーゲンペプチドの効果の理由

コラーゲンペプチドは全てアミノ酸に分解されるわけではなかった

かつては、コラーゲンペプチドを摂取しても、体内で消化されて、最小単位であるアミノ酸にまでバラバラに分解されて吸収されると考えられていました。
そのため、コラーゲンペプチドを摂っても食べ物からコラーゲンを摂っても、アミノ酸として体内のタンパク質の原料に使われ、特別な効果はないものと考えられていました。

しかし、最近の研究では、コラーゲンペプチドすべてがアミノ酸に分解されるのではなく、ペプチドのまま美肌効果や健康への効果を発揮することがわかってきたのです。
この点については、かつてのNHKの人気番組「ためしてガッテン」でも取り上げられていました。

実際、コラーゲンペプチドを食べてもらった人の血液を調べたところ、血液中に吸収されたコラーゲンペプチド由来のアミノ酸のうち、70~80%は他のたんぱく質と同様に単体の「アミノ酸」として存在していました。

しかし、残りの20~30%は、数個のアミノ酸がくっついたままの「オリゴペプチド」という形で存在していたのです。
また、のオリゴペプチドは、食後数時間は血流内に存在してからだ中をめぐっているということもわかりました。

さらに、オリゴペプチドを詳しく調べたところ、コラーゲンを構成するアミノ酸が、「プロリン-ヒドロキシプロリン」と「ヒドロキシプロリン-グリシン」という組み合わせでつながっていたことがわかったのです。

<参考記事>

ヒドロキシプロリンがカギだった

分解されないコラーゲンペプチドには、どちらにも「ヒドロキシプロリン」が含まれていました。

ヒドロキシプロリンとは、プロリンから作られる非必須アミノ酸で、コラーゲンとコラーゲンに似た構造のたんぱく質にしか含まれない特殊アミノ酸です。

栄養価が高くないことからあまり注目されてきませんでしたが、コラーゲンペプチドでは大きな役割をはたしています。

1つ目は、ヒドロキシプロリンはプロリンとつながる時にだけ、ねじれてつながるという特徴があることです。ねじれてつながっていると、つなぎ目が複雑で切りにくいので、コラーゲンペプチドとしてつながったまま血中に存在するわけです。

また、ヒドロキシプロリンが、グリシンとつながる時には、つなぎ目がないような形になり、分解されずに血中に残ります。

このようにコラーゲンペプチドがアミノ酸に分解されずに血中に残るのはヒドロキシプロリンが大いに活躍していたのです。

<参考記事>

コラーゲンペプチドの美肌効果

向井英子先生からのメッセージでもあったとおり、コラーゲンペプチドを摂ることで、肌の水分量が増える(*1)、ハリが増す(*2)、しわが改善する(*3)、隠れシミが改善する(*4)、紫外線による紅斑を抑える(*5)などの研究結果が報告されています。
つまり、コラーゲンペプチドにはさまざまな美肌効果のエビデンスがあります。

しかし、これらの研究はそれほど大きな規模でない点やコラーゲンペプチド以外の成分も一緒に摂っているケースもあるため、まだまだ検証の余地がのこされています。

それでもエイジングケア化粧品で外側からのスキンケアやエイジングケアを行うことに加えて、コラーゲンペプチドを摂ることで美肌への効果は期待できる部分は十分にあるのではないでしょうか。

コラーゲンペプチドのエイジングを予防する効果

コラーゲンペプチドで毛細血管の老化を予防

コラーゲンペプチドを摂ることで、毛細血管に吸収されて、からだやお肌の隅々にまで届きます。
そして、細胞に届くことで、線維芽細胞が刺激され真皮内のエラスチンやヒアルロン酸の産生を促進します。
エラスチンは血管をしなやかにし、強くすることがわかっていますので、毛細血管の老化の予防効果が期待できます。

<参考記事>

コラーゲンペプチドで免疫アップ

日頃から疲れやすいと感じていて、免疫機能も低下しているときにコラーゲンペプチドを摂取すると免疫力が活性化されて、自覚症状も改善することが示されました。
つまり、分子が小さくて消化吸収されやすいコラーゲンペプチドを毎日摂ると、免疫機能のアップにつながることが期待できるようです。

<参考記事>

コラーゲンペプチドで骨粗鬆症予防

コラーゲンペプチドを12週間続けて摂ることで、人の骨の強さをサポートする可能性が示された研究報告があります。
また、ラットの実験でもコラーゲンペプチドを摂ることで、骨の強度が高まったというデータもあります。
一方、コラーゲンペプチドの摂取が8週間の試験では、骨密度の変化として表れなかったという研究報告があります。

骨の構造

<参考記事>

コラーゲン化粧品の美肌効果は?

コラーゲンペプチドの美肌効果やエイジングを予防する効果を見てきました。
では、コラーゲン配合の化粧品の美肌効果はどうでしょうか?

化粧品に配合されているコラーゲンは分子がとても大きいため、表皮の上で水分を抱え込んで保湿します。
そして、肌のバリア機能を守ります。
しかし、肌の真皮にとどいて肌のコラーゲンにはなりません。
低分子コラーゲン(加水分解コラーゲン)でも、角質層までしっかり浸透して、水分を保持することはできますが、肌のコラーゲンにはなりません。

つまり、コラーゲン配合の化粧品の美肌効果は保湿によるもので、コラーゲンペプチドの効果とは違うものです。
それでも、コラーゲンは優れた保湿成分ですから、エイジングケアには大切です。
といっても、コラーゲン化粧品では、たるみが原因の深いほうれい線やシワを消すことはできません。

もし、化粧品でコラーゲンを増やしたいなら、ナールスゲンやネオダーミル、ナイアシンミド、ビタミンC誘導体などがおすすめです。

<参考記事>

まとめ

コラーゲンペプチドの美肌効果に関して、SOL CLINIC院長向井英子先生にメッセージをいただきました。
また、コラーゲンペプチドとは何か、具体的な美肌効果や健康への良い影響、エイジング予防効果などを紹介しました。
コラーゲンペプチドは、サプリメントとして摂ることで、ユニークなはたらきがあり美肌効果を発揮するエビデンスが登場しています。そのため、食事の補助として、またスキンケアやエイジングケアのプラスアルファのために摂ることをおすすめします。
しかし、過度な期待をせず生活習慣にも気を配ることで美肌と健康を目指しましょう。

<参照論文>
(*1)大原浩樹ほか.コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果.日本食品化学工学学会誌 56(3); 137-145, 2009.
(*2)(*3)Liane Bolke, et al. A Collagen Supplement Improves Skin Hydration, Elasticity, Roughness, and Density: Results of a Randomized, Placebo-Controlled, Blind Study. Nutrients. 2019 Oct 17;11(10):2494.
(*4)J Sci Food Agric. 2016 Sep;96(12):4077-81. doi: 10.1002/jsfa.7606. Epub 2016 Feb 10.
(*5)Koyama Y, Kuwaba K, Kondo S, et al. Supplemental ingestion of collagen peptide suppresses ultraviolet-induced erythema –A randomized double-blind placebo-controlled study-.
Jpn Pharmacol Ther 42: 781-790, 2014. (*6)Koji Iwai, et al. Identification of food-derived collagen peptides in human blood after oral ingestion of gelatin hydrolysates. J Agric Food Chem. 2005 Aug 10;53(16):6531-6.

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