保湿成分とは、皮膚や毛髪・頭皮の水分を保持したり、蒸発を抑えて、潤いをもたらすはたらきのある物質です。
つまり、乾燥肌を防ぐ成分です。
グリセリン、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどがあります。
この記事では、保湿成分の種類と選び方をご紹介します。
- 保湿成分の役割は、「適切な量の水分が、保湿成分によってお肌の中につなぎ止められ、さらに油分によって水分の蒸発を防ぎ、お肌にしっかりと保持されている状態」を助けることです。空気の乾燥など、外部環境による肌への影響やエイジングで自ら保湿する力が衰えた際に、力を発揮します。
- 保湿成分は、「保湿剤」や「モイスチャライザー」と呼ばれることがあります。化粧品だけでなく、医薬部外品や医薬品でも使われています。
- 保湿成分には、大きく2つの種類があります。水溶性の保湿成分(ヒューメクタント)と油溶性の保湿成分(エモリエント)です。また、水にも油にも溶けやすい両親媒性の保湿成分も登場しています。
- 水溶性の保湿成分には、水分を吸着するタイプと水分を抱え込むタイプがあります。水分を抱え込むタイプが保湿力に優っています。
- 油溶性の保湿成分には、皮膚の表面で水分を蒸散させないタイプとセラミドに代表される水分を挟み込むタイプがあります。水分を挟み込むタイプが最も保湿力が強いものです。
- 保湿成分には、アミノ酸のようにお肌がもとから持つ成分と似たはたらきをするものがある一方、コラーゲンやエラスチンのように肌が持つ成分とは異なるはたらきをするものがあります。
- 1つの保湿成分だけに頼る保湿はおすすめできません。はたらきやタイプの異なる保湿成分を組み合わせて、もとからある保湿力を補いましょう。
京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
pluskampo株式会社代表
薬剤師
笹森有起(ささもり ゆうき)さん
「日常を彩る、新しい漢方の可能性の追求」をミッションに
オンラインで漢方処方を行う「+kampo(プラス漢方)」、オリジナル漢方製品の企画開発を行っております。
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新見正則医院ホームページ
<メッセージ>
化粧品はさまざまな成分が配合されて開発されています。
化粧品の効果は、個人の肌質や健康状態によって異なる結果になることがあります。つまり、化粧品の効果は個人差があるため、全ての人に同じ結果が得られるわけではありません。
また、新しい化粧品成分を使用する際には、パッチテストを行うなど安全に使えるように留意することも大切です。
化粧品成分を正しく理解して上手に化粧品を使いましょう。
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆日本化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
*お肌の老化の原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
CONTENTS
1.保湿成分を理解して美肌を目指したいあなたへ
「保湿成分とは?種類と選び方を知って正しいスキンケアを!」をお届けします。
保湿成分は、スキンケア化粧品やエイジングケア化粧品をはじめ、さまざまなアイテムに使われます。
その名のとおり保湿することで、お肌や髪の毛の水分をキープしてうるおいをもたらし、乾燥肌対策に役立ちます。
つまり、キメの整ったツヤのある美肌にとってはなくてはならない成分です。
そんな保湿成分には、数えきれないくらいたくさんの種類があります。
また、成分によってメカニズムや特徴が異なります。
だから、正しいスキンケアやエイジングケアのためには、肌質や肌状態、肌悩みによって上手に使い分けすることも大切です。
この記事では、保湿成分の種類と選び方をご紹介します。
また、保湿力の高い代表的な成分についても特徴や使い方などをご紹介します。
「保湿成分ってどんなはたらきがあるの?乾燥肌の時だけ必要?」
「保湿成分の種類って?何が違うの?」
「保湿成分の選び方は?効果が高いのはどれ?」
「保湿成分はどう使えばよいの?教えて!」
「エイジングケアによい保湿成分を教えて欲しい!おすすめは?」
などが気になる方は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。
<保湿成分で潤っている肌状態を3分動画で理解するなら>
保湿されたお肌って?
2.保湿成分の役割とは?
1)加齢による肌の保湿力低下を防ぐ
保湿成分の前に、保湿されたお肌とはどんなものか考えてみましょう。
十分に保湿されたお肌とは、「適切な量の水分が、保湿成分によってお肌の中につなぎ止められ、さらに油分によって水分の蒸発を防ぎ、お肌にしっかりと保持されている状態」のことです。
10代や20代前半で乾燥肌に無縁の健康な肌状態であれば、保湿成分を化粧品などで補う必要はありません。
なぜなら、自分自身が持っている力で十分潤うことが可能だからです。
これが、保湿能が十分に高い健やかなお肌です。
しかし、20代半ばや30代のエイジングケア世代になると、お肌が自ら持っている皮脂、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質のセラミドなどが減っていくことで、バリア機能が低下したりターンオーバーが乱れるリスクが高くなります。
保湿成分はそんなお肌を健やかに保つために、外から補うことでうるおいをキープする物質なのです。
その結果、肌のハリやツヤのある透明感のある肌がもたらされるのです。
<参考記事>
*保湿の3大因子は30代から不足する!エイジングケアでキープ
2)保湿成分は肌老化予防にも大切
一般的には、肌老化の原因は主に真皮の衰えです。
一旦、肌老化が目立ってしまうと、保湿成分を肌に補っても、改善することはできません。
つまり、顔のたるみやそれが原因となるシワやほうれい線を消すことはできません。
しかし、保湿成分を肌に補い乾燥肌をケアすることで、乾燥によるほうれい線を目立たなくすることや小じわを消すことが可能です。
また、保湿は肌老化の予防美容に大切です。
<参考記事>
*角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!
*モデルが実践している美肌キープのケアはやっぱり「保湿」?!
3.保湿成分の種類
1)保湿成分とは?
保湿成分は、保湿を目的に用いられる物質です。
「保湿剤」や「モイスチャライザー」と呼ばれることがあります。
化粧品だけでなく、医薬部外品や医薬品でも使われています。
肌にあるさまざまな水分や油分と近い性質の成分で、水分を保持したり、蒸散を防ぐことで美肌をキープすることをサポートします。
2)保湿成分の種類
保湿成分の種類や分け方には、いくつかの考え方があります。
まず、水に溶けやすいか、油に溶けやすいかで種類分けができます。
水に溶けやすいものを水溶性の保湿成分、油に溶けやすいものを油溶性の保湿成分と呼びます。
また、最近では化粧品の技術の進歩で、水にも油にも溶けやすい両親媒性の保湿成分も登場しています。
<保湿成分の分類>
4.保湿成分の種類別の特徴と役割
1)水溶性の保湿成分
水溶性の保湿成分には、水分を吸着して保湿するタイプと水分を抱えるように保湿するタイプの成分があります。
水分を吸着して保湿するタイプは、表皮の角質層にある天然保湿因子(NMF)によく似たはたらきをします。
このタイプの成分は、ヒューメクタントとも呼ばれます。
代表的なヒューメクタントには、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、ジグリセリン、BG、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA-Na)、ベタイン、1,2-ヘキサンジオール、PG、DPG、尿素、ヘパリン類似物質などがあげられます。
もう1つのタイプである水分を抱えるように保湿するタイプの成分は、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、プロテオグリカン、プルラン、トレハロース、グリコシルトレハロースなどがあります。
この中で、コラーゲンやヒアルロン酸には、分子量の大きなものから小さいものまでさまざまあります。
水分を保持する力は、水分を吸着するタイプより水分を抱えるタイプのほうが高くなります。
2)油溶性の保湿成分の特徴や役割
①油性の保湿成分
油溶性の保湿成分は、皮膚の表面で水分を蒸散させないことで保湿力を発揮します。
水分そのものを保持する力はありません。
油溶性の保湿成分は、エモリエント成分とも呼ばれます。
美容オイルと呼ばれる植物性や動物性の油脂や鉱物油、脂肪酸エステルなどがあります。
植物性のオイルには、シア脂(シアバター)、オリーブオイル、アルガンオイルなどがあります。
動物性のオイルには、スクワラン、馬油、ラノリンなどがあります。
また、鉱物油の代表格は、ワセリンです。
これらの分類とは別に、化学構造で分類する場合もあります。
炭化水素、ロウ(ワックス)、油脂、エステル油に分かれます。
炭化水素は、ワセリンやスクワラン、ロウはホホバオイル、ラノリン、ミツロウ、エステル油は、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどがあります。
②セラミドとその仲間の保湿成分
セラミドも油溶性の保湿成分です。
ただ、水にも馴染みやすい親水基を持っている点がオイルなどと違います。
もともと、お肌で角質細胞間脂質としてラメラ構造を形成している成分です。
保湿成分としても、角質層内で水分を挟み込んで保湿するため、最も高い保水力があるタイプの成分です。
スフィンゴ脂質、コレステロール、レシチンなどもセラミドと似た性質を持つ油溶性の保湿成分です。
なお、グルコシルセラミドやユズセラミドは水溶性の保湿成分です。
<参考記事>
3)両親媒性の保湿成分の特徴や役割
両親媒性の成分としては、水と油の両方となじむ性質があるタイプです。
保湿成分ではありませんが、界面活性剤が両親媒性の成分の代表です。
保湿成分としては、ウィルブライドS-753(化粧品の全成分表示では、「PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン」)などがあります。
また、保湿成分ではありませんが、ビタミンE誘導体のトコフェリルリン酸Na、ビタミンC誘導体のAPPS(アプレシエ)、抗炎症成分のグリチルリチン酸2Kなどは、両親媒性の成分です。
5.化粧品と保湿成分の関係を理解しよう!
1)化粧品の保湿成分と肌の成分との関係
化粧品の保湿成分には、お肌がもともと持っている成分と同じか、近いものがたくさんあります。
それは、人の本来の保湿力と近いはたらきを発揮させようとするからです。
しかし、化粧品の保湿成分では、もともとのお肌の成分とよく似たはたらきをする成分とそうでない成分があります。
これを理解するポイントは、化粧品成分は、表皮の角質層までしか浸透しないということです。
①肌と近いはたらきをする保湿成分
グリシン、アラニン、プロリン、セリン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、トレオニンなどのアミノ酸やPCA-Na、尿素は、人の肌では天然保湿因子(NMF)の成分です。
これらは、もともと角質層にあるので、化粧品成分も角質層に浸透して、比較的、人が持つ成分と近いはたらきをします。
また、人のセラミドは、角質層でラメラ構造を形成しています。
ヒト型セラミドは、角質層へ浸透して人のセラミドと近いはたらきをします。
②注意したい肌と異なる役割の保湿成分
一方、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどはお肌では真皮にあります。
人が元から持つコラーゲンやエラスチンは、真皮で肌のハリや弾力の源となります。
また、人が持つヒアルロン酸やプロテオグリカンは、真皮の厚さを支えるとともに潤いをもたらします。
しかし、化粧品成分としては、これらはすべて肌の表面または角質層で保湿成分としてはたらきます。
特に、コラーゲンとエラスチンは、人の持つ成分と化粧品成分では大きく役割が違うのです。
2)化粧品のタイプと保湿成分の配合比率
肌の保湿のためのスキンケア化粧品には、化粧水、美容液、フェイスマスク、乳液、保湿クリームなどがあります。
これらの多くは、水溶性成分と油溶性成分がともに配合されます。
ただし、その配合比率が違います。
化粧水にはたくさんの種類がありますが、すべてまたはほとんどが水と水溶性の成分です。
美容液は、化粧水より油溶性成分の比率が高く、乳液、保湿クリームはその割合が高くなります。
化粧水、美容液、乳液、保湿クリームが、「保湿」のどのプロセスが得意なのかは、次の表を参考にしてください。
<基礎化粧品の成分の構成>
<さまざまなスキンケアアイテムの保湿の役割>
6.保湿成分の選び方
1)保湿成分の選び方の基本
保湿成分を選ぶポイントは、まず十分な保湿力があることです。
もう1つは、安全で刺激がないことです。
敏感肌やインナードライ肌、また乾燥性敏感肌など、バリア機能が低下していても使える保湿成分がおすすめです。
だから、敏感肌化粧品や敏感肌化粧水にも配合されるものを選ぶことがよい方法です。
後ほど、この記事でおすすめする保湿成分はすべてそんなタイプです。
最近では機能性の高い成分も増えています。
たとえば、セラミドを増やす成分であるナイアシンアミド、セラミドプロモーター、ライスパワーエキスNo.11があります。
天然保湿因子のもととなるたんぱく質であるフィラグリンを増やすマンダリンオレンジ果皮エキス、サガラメエキスもあります。
これらもおすすめの保湿効果を発揮する成分です。
さらにいえば、保湿効果以外に抗菌効果、抗炎症効果、エイジングケア効果などプラスαの効果があればなおおすすめです。
たとえば、ダマスクローズをはじめセンチフォリアバラ花エキス、ノイバラ果実エキス、カニナバラ果実エキス、イザヨイバラエキスにはさまざまな効果があります。
2)保湿成分は組み合わせで選ぶ
特定の保湿成分に強い保湿力があるからといって、1つの成分に過度に執着することはおすすめできません。
人のお肌の保湿は、タイプの異なる成分で発揮されています。
違うメカニズムで保湿することで、しっかりとバリア機能を保持しているのです。
だから、タイプの異なる保湿成分を補うことがよいのです。
ほとんどの場合、スキンケア化粧品は10種以上の成分でできていますので、どんなタイプの保湿成分が入っているか確かめてみましょう。
化粧品には全成分表示が義務付けられているので、ぜひ、チェックしてみてくださいね。
保湿化粧水、保湿美容液、乳液、保湿クリーム、美容オイルなどいくつかの複数の化粧品を使う理由もここにあるのです。
アイテムを複数使うことで、さまざまな保湿成分を取り入れているのです。
一般的に、保湿美容液には水溶性成分と油溶性成分の両方が豊富に含まれています。
どれか1つを選ぶなら、保湿美容液がおすすめです。
3)オールインワン化粧品1つで保湿は大丈夫?
オールインワンゲルやオールインワンジェルと呼ばれるオールインワン化粧品。
1つで何役もの化粧品の役割を果たすというキャッチフレーズで人気です。
すべての成分が一緒に入っているので、これ1つで保湿は十分なのでしょうか?
答えをいえば、人によって違うのです。
オールインワンゲルは、カルボマーなどの高分子ポリマーのゲルの性質を利用した化粧品です。
さまざまな種類がありますが、美容液や乳液と似た水溶性成分と油溶性成分のバランスでつくられます。
そして、たいていは数十種のさまざまな保湿成分が配合されています。
だから、1つで保湿が十分な方もいます。
一方、1つ1つの保湿成分の濃度がそれほど高くないことや自分の肌にある保湿成分が含まれないこともあります。
また、季節や年齢、肌状態に応じた組み合わせができません。
経済的なメリット、時間の短縮などもできるのでよい選択肢ですが、自分の肌に向いているかどうかを判断することが大切です。
7.水分を保持するおすすめの保湿成分
1)ヒト型セラミド
セラミドにはいくつかの種類があります。
おすすめは、人の持つセラミドとほとんど同じ構造のヒト型セラミドで、最強の保湿成分とも呼ばれます。
化粧品成分としてのヒト型セラミドは、全成分表示で、「セラミド2」、「セラミド3」や「セラミドNG」、「セラミドNP」などのように、数値またはアルファベットで表します。
数値は旧表記、アルファベットが新表記です。
高いバリア機能保護効果を発揮して、皮膚常在菌のバランスを整えます。
また、角質細胞の外を覆う膜であるCE=Cornified Envelope=コーニファイドエンベロープやお肌の中の成分が細胞と細胞の間を通過するのを防ぐ結合であるタイトジャンクションなども保護します。
化粧品としては、セラミド美容液やセラミドクリームがおすすめです。
<参考記事>
*おすすめ&人気のセラミド化粧水11選ご紹介!これでエイジングケア
2)フィトスフィンゴシン
セラミドから、脂肪酸が遊離したものをスフィンゴ脂質と呼びます。
人の肌でその60%を占めているのがスフィンゴシンです。
フィトスフィンゴシンは、植物からバイオテクノロジーでつくられ、人の肌にあるスフィンゴシンに似た成分です。
保湿効果以外に、抗炎症効果、抗菌効果があります。
安全性の高い成分でどんな肌質でも使える化粧品成分です。
3)コレステロール
コレステロールは、肌でセラミドとともに、角質細胞間脂質の構成成分としてラメラ構造を形成します。
化粧品成分としてのコレステロールには、肌表面で水分の蒸発を防いだり、肌に馴染んで肌を柔らかくするエモリエント効果があります。
それによってバリア機能が正常にはたらき、外部刺激から肌を守ります。
8.水分を抱え込むおすすめの保湿成分
1)プロテオグリカン
プロテオグリカンは、「たんぱく質」と「糖」が結合してできた成分です。
ヒトでは、脳、皮膚、臓器などを身体全体の組織中にあります。
また、軟骨の主成分でもあるのです。
化粧品成分としてのプロテオグリカンは、弘前大学と民間の協力で開発されたもので、鮭の鼻軟骨から抽出されます。
保湿効果以外に、コラーゲンやヒアルロン酸を増やすはたらき、EGF(上皮成長因子)に似たはたらきなど、エイジングケアが期待できる作用があります。
プロテオグリカン化粧水やプロテオグリカン美容液はおすすめです。
<参考記事>
2)ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、目、関節、お肌などにあり、クッションの役割をはじめさまざまな効果を持つ、人にとって大切な成分の1つです。
お肌では、真皮の中にあって水分の保持やクッションの役割を担っています。
化粧品成分としてのヒアルロン酸は、全成分表示では、ヒアルロン酸Naと表記されます。
以前は、鶏のトサカから抽出していましたが、最近では、乳酸菌などによる発酵法で製造したものがほとんどです。
肌表面で保湿力を発揮します。
また、最近では低分子で角質層まで浸透するヒアルロン酸も登場しています。
<参考記事>
*ヒアルロン酸の新しい効果を発見!日焼けによるお肌の炎症を抑制
*衝撃!ヒアルロン酸で乾燥肌に!誤った使い方を避けて正しい保湿
3)コラーゲン
コラーゲンは、ヒトでは真皮、骨、軟骨、靭帯などにある成分で、アミノ酸からできています。
コラーゲンには約30種類あって、ヒトのたんぱく質の30%、ヒトのからだ全体の6%を占めています。
肌では、Ⅰ型コラーゲンが最も多く、ほかにⅢ型コラーゲンやⅣ型コラーゲンなどがあります。
化粧品成分としてのコラーゲンは、豚や鶏、魚から抽出されたもので、多くは加水分解コラーゲンです。
肌表面で保湿力を発揮します。
また、低分子コラーゲンは角質層へ浸透します。
<参考記事>
4)エラスチン
コラーゲンに比べ量は少なく、真皮の2~3%を占める成分でアミノ酸からできています。
エラスチンはコラーゲンをしっかり束ね、お肌のハリや弾力を保つのに重要な役割を果たします。
化粧品成分としてのエラスチンは、豚や鶏、魚から抽出されたもので、多くは加水分解エラスチンです。
肌表面で保湿力を発揮します。
9.水分を吸着するおすすめの保湿成分
1)ナールスゲン
ナールスゲンは、京都大学と大阪市立大学の共同研究を経て誕生したアミノ酸誘導体です。
アミノ酸と似た保湿力を発揮します。
全成分表示では、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチルと表記されます。
ナールスゲンは、保湿成分としてよりエイジングケア化粧品成分として有名です。
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、HSP(ヒートショックプロテイン)47&70、グルタチオンを増やすはたらきがあります。
また、酸化を防いだり線維芽細胞を紫外線ダメージから守って、光老化を防ぐはたらきもあります。
2)グリセリン
グリセリンはヒトのほか、植物、海藻、動物などに広く含まれる成分です。
グリセリンは、主にヤシ油、パーム油、大豆油と獣脂(ラードなど)を、高温・高圧で加水分解することによって生成されます。
化学的にはアルコールの一種ですが、化粧品に配合すると「アルコール」としては扱われません。
グリセリンは無色で粘性のある保湿成分で、化粧品の基本成分として汎用されています。
また、高濃度では温感作用があるので、ホットクレンジングなどの温感化粧品に高濃度配合されます。
ジグリセリンやエチルヘキシルグリセリンも仲間です。
ジグリセリンは、2個のグリセリンを結合させてつくった保湿成分で、よりさらっとしたテクスチャーであることが大きな特徴です。
エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンに2-エチレンヘキシルアルコールを結合させてつくった保湿成分です。
抗菌効果や消臭効果があることが大きな特徴です。
3)アミノ酸
アミノ酸は、ヒトのからだにとって欠かせないたんぱく質のもととなる成分です。
化粧品成分の全成分表示では、「アミノ酸」と表記されることはありません。
なぜなら、たくさんの種類があって、それらが具体的に表記されるからです。
ヒドロキシプロリン、グリシン、アラニン、プロリン、セリン、アルギニン、リシン、トレオニン、グルタミン酸、グルタミン酸Naなど代表的なアミノ酸です。
これらは、コラーゲンやエラスチン、天然保湿因子(NMF)の成分です。
これらは、水分を吸着して保湿力を発揮します。
4)マルチトール
マルチトールは、グルコース(ブドウ糖)とソルビトールが結合した二糖類の糖アルコールで、砂糖の75%程度の甘みがある成分です。
化粧品成分としてのマルチトールには、湿度に影響を受けず吸水性を発揮する保湿力があります。
だから、冬の季節の乾燥肌対策でも使えます。
5)トレハロース
トレハロースは、二糖類で、もともとは動物・植物・微生物の体内に存在し、酸化されにくい性質があります。
トレハロースは、化粧品、医薬品、食品などに幅広く利用されている有用性の高い成分です。
化粧品成分としてのトレハロースの特徴は、高い保湿力と安全性です。
細胞保護作用もあるので、紫外線などの外的ストレスから肌を守って肌荒れを防ぐ役割も期待されています。
トレハロースに数個のグルコース(ブドウ糖)が結合すれば、多糖体であるグリコシルトレハロースです。
10.水分の蒸発を防ぐおすすめの保湿成分
1)シアバター
シアバターは、西アフリカから中央アフリカで育つシアの木の実を採取して、精製される植物性油脂です。
全成分表示では、シア脂と表示される油溶性のエイジングケア化粧品成分です。
主成分は、ステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸で、エイジングケアにも有用な微量成分も含まれているので、保湿効果に加えてエイジングケア効果が期待できます。
ハンドクリームやエイジングケア保湿クリームなどによく配合される化粧品成分です。
融点が体温に近いので、手で温めるとなめらかになります。
使う前に温めることがおすすめです。
2)スクワラン
スクワランとは、ヒトなど哺乳類やサメ、オリーブオイルやベニバナオイルなど植物が持っている「スクワレン」という成分を水素添加させた無色の液体です。
スクワレンは、ヒトでは皮脂腺でつくられる皮脂に5%程度含まれています。
化粧品成分としてのスクワランは、無色透明のエモリエント効果の高い成分です。
また、スクワランは親油基と親水基をあわせ持っていて、肌に馴染みやすく、浸透性が高いというメリットがあります。
また、スクワランはオイルにしてはサラッとした成分で、毛穴に詰まりにくいこともメリットです。
3)ワセリン
ワセリンは、石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製した油性のエモリエント成分です。
皮膚表面にパラフィンの膜を張ることで、角質層の水分蒸発を防ぎます。
また、外的刺激から皮膚を保護する効果もあります。
ワセリンは、純度の低い方から高い順に黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトの4種類があります。
安全性は純度が高いほど高くなります。
敏感肌や赤ちゃん、エイジングケア世代には、白色ワセリン以上の純度の高いものがおすすめです。
〇表示名称、原料、処方例の検索ができる化粧品技術者のためのデータベースサイトcosmetic-info.jp
〇CILA 化粧品成分検定公式テキスト(改訂新版)(一般社団法人 化粧品成分検定協会 編)
〇化粧品成分ガイド 第7版(宇山 侊男/岡部 美代治/久光 一誠 著、フレグランスジャーナル刊)
〇効果的な「組み合わせ」がわかる 化粧品成分事典(久光 一誠 監修、池田書店 刊)
〇天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?(角谷貴斗 著、中央書院 刊)
〇化粧品選びの常識が変わる!美肌成分事典(かずのすけ/白野実 著、主婦の友社 刊)
11.まとめ
・保湿成分は、「保湿剤」や「モイスチャライザー」と呼ばれる化粧品の代表的成分
・保湿成分には、主に水溶性の保湿成分と油溶性の保湿成分エモリエントがある
・保湿成分は特定の成分にこだわらず、はたらきやタイプの異なるものを組み合わせる
保湿成分とは何か、その役割、種類と選び方をご紹介しました。
また、おすすめの代表的な保湿成分をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
保湿成分は、人の本来の肌の保湿力を補うこことでバリア機能をサポートしたり、ターンオーバーを改善させるための成分です。
つまり、乾燥肌の予防や改善に効果を発揮するのです。
そんな保湿成分を正しく理解して、スキンケアやエイジングケアに上手に活かしましょう。
この記事「保湿成分とは?種類と選び方を知って正しいスキンケアを!」が、エイジングケア世代の女性の皆様にとってお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
ナールスエイジングケアアカデミー編集長
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。文部科学省後援日本化粧品検定1級。一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。著作(共著)KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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