ワセリンの名前は、スキンケアやエイジングケアに詳しくなくても誰もが聞いたことがあるのでは?
しかし、種類や効果、使い方をしっかり理解されている方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、ワセリンとは何か、また種類や効果、使い方について詳しくご紹介します。
- ワセリンは、石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製した油性の成分です。本質はミネラルオイルと同じでパラフィン(イソパラフィン)および脂環式炭化水素(シクロパラフィン、ナフテン)を含んでいます。
- ワセリンは皮膚表面にパラフィンの膜を張ることで、角質層の水分蒸発を防ぎます。だから、乾燥肌の予防に役立ちます。
- ワセリンには、外的刺激から皮膚を保護する効果もあります。ハンドクリームやフェイスクリームなどの化粧品以外でも、鎮痛・消炎・鎮痒の軟膏剤のような医薬品の基剤としても使われます。
- ワセリンは、純度の低いほうから高い順に黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトの4種類があります。安全性は純度が高いほど高くなります。
- ワセリンは乳化しやすい性質があります。だから、肌に水がある状態で使うのではなく、水を取り去って使うことが大切です。
- ワセリンは、純度の高い白色ワセリンであれば刺激性や毒性はありません。だから、基本的にはどんな肌質でも使える成分です。
- しかし、ワセリンだけの保湿では不十分なこともあります。また、使わないほうが良いケースもあります。
化粧品成分上級スペシャリスト&京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
松岡 桓準 先生
近畿大学薬学部卒業後、薬剤師免許を取得。大学院修了後、化粧品関連企業で化粧品有効成分の研究開発に携わる。
2014年より株式会社育星会カイセイ薬局にて地域住民の薬物治療のサポートを行う一方で、認定NPO法人健康ラボステーションでの活動を通して未病・予防に関する情報発信を行っている。
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
CONTENTS
1.ワセリンを詳しく知ってスキンケアに活用したいあなたへ
「ワセリンとは?種類と効果と使い方を丸ごと知ろう!」をお届けします。
ワセリンは誰もがその名を知っている有名な成分。
薬局やドラッグストアでよくみかけますし、アマゾンや楽天などの通信販売でも買えます。
手ごろな価格でもあり、ハンドクリームやボディクリーム、フェイス用保湿クリームなどに使われる油性の化粧品成分です。
また、ワセリンは、医薬部外品や医薬品として使われることもあります。
それは、水分の蒸発を防いでバリア機能を守ることや肌を防御することなど、お肌にとって有用なはたらきが期待できるからです。
でも、ワセリンについてそれほど深くご存知の方は多くありません。
正しいスキンケアやエイジングケアの実践には、化粧品の成分について詳しく知ることも大切です。
この記事では、ワセリンとは何か、また種類と効果や安全性、使い方を詳しくご紹介します。
「そもそもワセリンって?何からできているの?」
「ワセリンの効果は?お肌へのはたらきは?」
「ワセリンって種類があるけど、どう違うの?」
「刺激性はないの?安全なの?」
「ワセリンの使い方を教えて欲しい!」
などに興味がある方は、ぜひ、続きをお読みくださいね。
2.そもそもワセリンとは何?
1)ワセリンの歴史
ワセリンの歴史は、科学者ロバート・チーズブローが油田で採掘装置についた残留物を石油採掘者が自分たちの肌に塗っているのを見たことに始まります。
石油採掘の残留物が、石油採掘者の切り傷や火傷を治す手助けになっていたのです。
ロバート・チーズブローは、その残留物からペトロリュームジェリーという使用に適した物質の抽出に成功し、1872年に「ヴァセリン」(Vaseline)というブランド名で発売したのです。
その後、アメリカから世界中に広まり、90ヶ国以上にまで普及するようになったのです。
なお、「ヴァセリン」(Vaseline)は今でもさまざまアイテムが販売されています。
<参照元>*ユニリーバ「ヴァセリンのブランドヒストリー」
2)ワセリンとは?
ワセリンは、石油の中から結晶成分を抽出・精製してつくられる半固形状の物質です。
具体的には、石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製します。
つまり、炭素と水素からだけで出ている成分です。
油性成分で、パラフィン(イソパラフィン)および脂環式炭化水素(シクロパラフィン、ナフテン)を含んでおり、色は白もしくは少しだけ黄色味を帯びていて無臭です。
石油から得られる成分として、液体のミネラルオイルもありますが、形状が違うだけで成分的にも同一です。
石油からつくられたと聞くと、お肌によくないイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、肌にダメージを与える不純物は取り除かれており低刺激です。
そのため、安全性は高く、化粧品だけでなく医薬部外品、医療用の軟膏のベース成分としても活用されています。
化粧品の全成分表示、および医薬部外品の表示名称も、ワセリンです。
3)ワセリンの特性
ワセリンは、炭素(C)と水素(H)だけからできていて、酸素(O)を持っていません。
つまり、水(H2O)に溶けやすい親水性の部位がまったくなく、水に馴染みませんし、エタノールにもほとんど解けません。
これはスクワランオイルも同じです。
そんな分子構造のワセリンは、肌への吸収性が低く、肌から水分が蒸散するのを防ぐ効果に優れています。
また、乳化しやすい特徴もあります。
しかし、肌を柔らかくする効果(エモリエント効果)はありません。
そんなワセリンは、大きくは保湿成分ですが、水分を吸着したり抱え込むといった保湿能があるわけではありません。
こうした理由で、単純に「油が原料で疎水性の膜を形成して水分蒸発を抑える」保湿成分として、オクルーシブ(Occlusive)のカテゴリーに分類されることがあります。
一方、エモリエントを狭い意味、つまり「水分の蒸発を防ぐ」といった点でとらえることもあるため「エモリエント」に分類されることもあります。
<参考記事>
<油性成分の分類>
炭化水素 | ワセリン、ミネラルオイル、スクワラン |
ロウ(ワックス) | ミツロウ、ホホバオイル、ラノリン |
油脂 | シア脂、馬油、アルガンオイル、オリーブオイル |
エステル油 | トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル |
3.ワセリンの効果
1)ワセリンのお肌への効果は?
ワセリンは、皮膚表面にパラフィンの膜を張り、角質層の水分蒸発を防ぐことで保湿効果を発揮します。
だから、乾燥肌対策によいはたらきがあるのです。
もともと、お肌の一番外側にある表皮の角質層は、肌内部の水分の蒸発を防ぐ作用があります。
しかし、加齢などの影響によってバリア機能は衰えていきます。
バリア機能が低下すると乾燥肌の原因になりますが、ワセリンを塗布することで、乾燥肌を防ぐことが可能です。
だから、顔のくすみや毛穴の悩みなど、乾燥が原因の肌悩みのケアにも使えます。
特に、冬の乾燥の季節には顔やボディケアに大いに役立ちます。
また、ワセリンはお肌を外部刺激から守る効果もあります。
もともと、角質層のバリア機能がお肌を外部刺激から保護していますが、バリア機能が低下すれば当然刺激に弱くなりますよね。
ワセリンを塗ることで、油膜ができるので外部の刺激からお肌を保護することが可能です。
そのため、オムツかぶれや靴擦れなどを防ぐことも可能です。
こうしたことから医薬品としては、「手足のひび、あかぎれ、皮膚のあれ、その他皮膚の保護」といった効能があります。
さらに、保湿やお肌の保護以外でも、化粧品の感触をよくする目的で使用されることもある成分です。
だから、乳液や保湿クリームなどにワセリンが使用されている場合もあります。
2)ワセリンに期待できないこと
ワセリンには、特に薬効があるわけではありません。
だから、炎症を鎮めるなど、乾燥以外が原因の皮膚トラブルにアプローチすることはできません。
また、ワセリンは角質層に浸透するわけではないので、アミノ酸などのヒューメクタントのような水分を吸着して保水するはたらきはありません。
また、セラミドのように水分を挟み込んで保水する力もありません。
だから、ワセリンだけで保湿のすべてを担うことはできないのです。
そのため、ワセリンだけで乾燥肌対策はできません。
時々、「ワセリンだけで美肌なれる!」といった情報を見かけることがありますが、多くの方にはあてはまりません。
特に、角質層が薄い傾向にある日本人女性にとっては、ワセリンだけでは保湿が不十分なことが多いのです。
効果的なスキンケアやエイジングケアのためには、ワセリンの限界を理解しておくことが大切です。
4.ワセリンの安全性は?
1)ワセリンは純度が高いほど安全性が高い
ワセリンは、皮膚に吸収されないので、副作用の心配がほとんどない成分です。
しかし、次に章で詳しく説明しますが、ワセリンはその純度、つまり不純物が混じっている可能性によっていくつかの種類に分かれます。
基本的にはどの種類のワセリンでも安全ですが、不純物をほぼすべて取り除いた白色ワセリンであれば、刺激性や毒性がまったくなく、より安全性が高くなっています。
ワセリンは、普通肌や脂性肌はもちろんのこと、乾燥肌や敏感肌、インナードライ肌、混合肌のあらゆる肌質の方でも使うことが可能です。
ただし、乾燥肌傾向のある方やエイジングケア世代などは、できるだけ純度の高いものを使うことをおすすめします。
白色ワセリンは、アトピー性皮膚炎の方にも使用されることもあるので、より安心度が高いといえます。
また、ワセリン自体の問題ではありませんが、脂性肌やインナードライ肌の方は毛穴やニキビのリスクになるので控えた方がベターです。
2)パッチテストの方法は?
ワセリンによる副作用の心配はほとんどなく、基本的には安全です。
しかし、どんな成分でも誰にでも100%安全とはいえません。
また、肌荒れやかゆみが出る可能性を完全に否定することはできません。
肌が弱いなどで気になる方は、パッチテストをすることをおすすめします。
ワセリンを顔に使う前に二の腕の内側に少量を付け、肌が赤くなったりかゆくなったりしないか確認しましょう。
特に、化粧品かぶれや接触皮膚炎などの経験がある方は、必ずパッチテストを行うことをおすすめします。
3)炎症のあるニキビの場合は安全でないことも
もう1つ気をつけたいのは、アクネ菌が毛穴の内部で増殖して症状が進行した炎症のある赤ニキビや黄ニキビの場合です。
ワセリンが毛穴をふさぐことで、アクネ菌が増え症状を悪化させてしまうリスクがあります。
また、ニキビがなくても、皮脂分泌が多い脂性肌の方は控えたほうが良い場合もあります。
4)過去の問題は不純物の刺激
かつて、ワセリンをつけて油焼けを起こしたニュースがありました。
これは、当時、ワセリンを製造した企業の精製技術の問題で、不純物が混ざっていたことが原因です。
現代では、精製技術が向上し、どの種類であってもワセリンに油焼けするほどの不純物が混ざっていることはありません。
ワセリンをはじめ多くの化粧品成分は、技術レベルの向上とともに安全性が高くなっているケースが多いので、過去の技術レベルで起こった問題に過敏に反応する必要はないのです。
5.ワセリンの種類とその違い・特徴
1)ワセリンの種類の違いは純度で決まる
一口にワセリンといっても、いくつかの種類があります。
同じ原料を用いていながら複数の種類があるのは、純度に違いがあるからです。
ワセリンの種類は純度によって決まります。
純度の低い順から黄色ワセリン→白色ワセリン→プロペト→サンホワイトの4種類があります。
どのワセリンも薬局やドラックストアで購入可能です。
しっかりと精製されたワセリンは変質することもなく、安全性が高い成分として知られています。
2)ワセリンの種類と特徴
①黄色ワセリン
不純物が残り黄色味を帯びているものが黄色ワセリンです。
お肌の弱い方でなければ使用しても問題はありません。
黄色ワセリンは、医薬品ではなく医薬部外品扱いです。
だから、薬局やドラックストア以外に、スーパーや雑貨店で販売されていることもあります。
不純物が肌トラブルを引き起こす原因になる場合もあるので、赤ちゃんや高齢の方、敏感肌などお肌の弱い方にはオススメできません。
エイジングケア世代の方も避けたほうが無難です。
<参考記事>
②白色ワセリン
石油から不純物をほとんど取り除いたものが白色ワセリンです。
不純物がほぼないことで、色が白くなっています。
白色ワセリンの中でも、第3類医薬品と医薬部外品の2種類があります。
第3類医薬品は主に医療目的で使用され、医薬部外品は主に美容目的で使用されるものです。
第3類医薬品に分類される白色ワセリンのほうが、精製度が高いという特徴があります。
ただし医薬部外品の白色ワセリンも低品質なワセリンというわけではありません。
白色ワセリンは黄色ワセリンと比べて肌トラブルを引き起こす可能性は低いですが、中にはお肌に合わない方もいるので注意しましょう。
③プロペト
プロペトは、白色ワセリンよりさらに精製度を高めたワセリンです。
精製度が高く不純物の心配がほとんどないことから、眼科用のワセリンとしても使用されます。
第3類医薬品に分類されており、「日本薬局方」という国の基準に乗っ取ってつくられている成分です。
副作用の心配はほとんどありません。
そのため皮膚の薄いデリケートな目元などにも使用されています。
④サンホワイト
プロベトでも十分精度は高いですが、さらに高精度なワセリンがサンホワイトです。
ワセリンの中で一番も精製度が高く高純度なものとして知られています。
ワセリン特有のベタつきが少なく、伸びがよいことも特徴です。
高精度ですが、サンホワイトは第3類医薬品ではなく医薬部外品です。
そのため医療機関で処方されてはいません。
赤ちゃんや敏感肌の方、やけどでダメージを受けた皮膚にも使用できます。
もちろん、エイジングケア世代の方にとってもオススメできるワセリンです。
なお、サンホワイトは、しっかりとした厚めの使用感の「P-1」と、伸びてベタつかないさらっとした使用感の「Y-1」の2タイプがあります。
これらの効果は同じなので、好みで選んで問題ありません。
6.ワセリンにはどんな製品があるの?
1)ワセリンが配合される化粧品の種類は?
ワセリンが配合されている化粧品は5000種以上あります。
メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ヘアケア化粧品、ボディケア化粧品、フレグランス化粧品など幅広く使われています。
その中でもワセリンが含まれている種類を順番にみていきましょう。
①メイクアップ化粧品
いわゆるお化粧をする時に使う化粧品がメイクアップ化粧品です。
女性をより魅力的に見せる効果があります。
ワセリンは、ファンデーション、コンシーラー、化粧下地、口紅やリップグロスなどの唇ケアアイテム、アイシャドウなど、たくさんのメイクアップ化粧品に含まれている成分です。
②顔のスキンケア化粧品
お肌のお手入れに活用されるスキンケア化粧品。
いくつか種類がありますが、ワセリンは主に保護用のスキンケア化粧品に配合されています。
乳液やフェイスクリーム、美容液、オールインワン化粧品に配合されていることもあるのです。
③ヘアケア化粧品
ヘアケア化粧品はその名の通り、髪をケアや頭皮ケアをするための化粧品です。
こちらにもワセリンが配合された製品があります。
白髪染め、ヘアカラー、ブリーチ、コンディショナー、ヘアパックなど、多くの製品に含まれています。
④ボディケア化粧品
主に体をケアする際に使用する化粧品です。
全身に使えるワセリンはボディケア化粧品にも配合されています。
ほかにもハンドケアやかかと、ひじやひざなどのパーツで使うクリームやローションにも配合されます。
乾燥の厳しい秋や冬などに使用することで、全身の乾燥防止に役立ちます。
化粧品以外でも、鎮痛・消炎・鎮痒の軟膏剤のような医薬品の基剤としても活用されるなど、幅広い用途に使われています。
2)ワセリン配合のアイテムの種類
ワセリン配合のアイテムは、容量、容器、ほかの成分配合などさまざまなバリエーションがあります。
たとえば、ボディに使うならボトルタイプ、リップクリームとして使う場合は、コンパクトなチューブタイプ、手指を使って塗るなら缶入りなどと、上手に使い分けましょう。
また、ヘパリン類似物質、尿素、トコフェロール(ビタミンE)などワセリン以外のはたらきを持つ成分を配合したアイテムもあります。
ヘパリン類似物質や尿素は、ワセリンとは異なったメカニズムで保湿効果を発揮します。
トコフェロールは酸化を防いだり、血行を促進します。
ワセリンは水分蒸散を防ぐ効果だけしかないので、乾燥肌や肌荒れの対策には、違うはたらきのある成分を配合した商品を選ぶのがおすすめです。
3)ワセリン配合の製品を教えて!
ワセリンを使ったアイテムはたくさんありますので、代表的な製品をいくつかご紹介します。
①ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー
クリームタイプのワセリン製品といえば、「ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー」が有名です。
世界90カ国以上で販売されており、特にアメリカでは「アメリカの家庭には必ずヴァセリンがある」とまで言われています。
成分はほぼワセリンでできており、無香料・無着色かつ防腐剤無添加です。
1つでたくさんの使い方ができることから、多くの人に支持されています。
②ワセリンHGピュアリップ
リップケアアイテムとして、大洋製薬の「ワセリンHGピュアリップ10g」も名前が知られています。
白色ワセリンをリップクリームのように使えるアイテムです。
色素、保存剤などを使っていないので、敏感な唇に安心して使用できます。
③ハイスキン モイストジェル N
ワセリンといえば硬めのテクスチャーが特徴的ですが、ジェル状のアイテムもあります。
黒龍堂の「ハイスキン モイストジェル N」は、うるおい成分をたっぷり配合したジェル状で、スルスル伸びてピッタリと密着します。
ワセリンのほかには、ハリ・つやUP成分としてヒアルロン酸や水溶性コラーゲンなどを配合しており、お肌に嬉しいアイテムとなっています。
フローラルの香りでリラックスしながらケアできます。
④ベビーワセリン
健栄製薬の「ベビーワセリン」は、生後0か月の赤ちゃんから使用することができます。
白色ワセリンだけでつくっているので、無香料・無着色であり、パラベンフリー、フェノキシエタノールフリーです。
チューブタイプなので使用しやすく、1本持っておくと重宝するアイテムです。
7.ワセリンの使い方のコツ
1)保湿剤としての使い方の基本
ワセリンは、全身の保湿材として使うことができます。
普段の顔のスキンケアの最後にワセリンを塗布することで、水分の蒸発を防いで乾燥対策をすることが可能です。
また、乾皮症や皮脂欠乏性湿疹、老人性乾皮症などの治療に用いられることもあります。
ただ、ワセリンは塗りすぎると不快感があるので、適量を使用しましょう。
手にとって体温であたためながらよく伸ばすと使いやすいです。
ワセリン特有のベタつきが苦手な方は、目元や口元など乾燥しやすい部分や、特に乾燥が気になる箇所だけに使用すると使いやすいです。
塗る量そのものを減らすだけでも質感(テクスチャー)が変わってきます。
また、手荒れやあかぎれの予防、膝やかかとなどカサつきが目立ちやすい箇所に使用することもおすすめです。
入浴後に塗るとよいでしょう。
秋や冬など乾燥が特に気になりやすい時期は、入浴後と起床後の1日2回塗布すると一層効果的です。
また外出前や肌の乾燥が気になった時に塗布することでお肌の乾燥を防ぐことができます。
なお、顔のスキンケアには、精製度が最も低い黄色ワセリンは避け、白色ワセリンを使うのがおすすめです。
2)化粧水や美容液を先に使う
もともと肌が健やかな普通肌以外の方は、化粧水や美容液、乳液などをワセリンの前に使いましょう。
これらには、アミノ酸やグリセリンなどのヒューメクタント、コラーゲンやヒアルロン酸などの水分を抱え込む成分、セラミドなどが配合されています。
これらがワセリンのはたらきと組み合わさることで、より高い保湿効果を発揮します。
ただし、ワセリンは乳化しやすいので化粧水や美容液などが乾いてから使いましょう。
優しくティッシュオフすることもおすすめです。
3)清潔に使い正しく保管しよう
ワセリンは安定性が高い成分なので、腐敗や酸化しにくく防腐剤などが無添加の製品も多く市販されています。
しかし、手でワセリンに触れると、知らない間に雑菌が混入するリスクがあります。使う前は手を洗うなど清潔にしましょう。
綿棒やスパチュラを使用するのも良い方法です。
また、開封後は商品に記載されている使用期限を守って使いましょう。
保管は、日光が当たらず、高温多湿にならない場所で密栓して保管してください。
なお、2020年以来の新型コロナウイルス感染拡大のことも考慮し、保管には特に注意を払いましょう。
<参考記事>
8.まだあるワセリンの有効活用法
1)唇ケアのリップパックに使う
粘膜が外に出ている唇は、乾燥しやすいパーツです。
そのため、冬などに唇がガサガサになったり、唇の縦ジワが目立つ方が少なからずいます。
そんな悩みのケアは、うるおいを保つために唇の保湿をこまめに行うことが大事です。
しかし、どんなに丁寧にお手入れをしていても荒れてしまうこともありますよね。
唇が荒れた場合は、リップパックをすることがおすすめです。
ワセリンを使えば手軽にリップパックをすることができます。
やり方はとても簡単です。
洗った清潔な手でワセリンを手に取り、唇にたっぷりと塗り込みます。
少々多めに塗ることが効果的です。
塗り終わったら軽くラップをして10分程度放置しましょう。
プルプルとしたうるおいのある唇になります。
2)爪のケアにも使える
ワセリンは爪のお手入れにも使用可能です。
ワセリンを爪に塗れば保湿をすることができます。
また、ワセリンを塗った後に、ガーゼを巻いたウッドスティックで優しくこすれば甘皮をケアができるのです。
甘皮処理は月1回くらいを目安に行うと効果的といえます。
乾燥が気になる場合は、ワセリンを塗った後に指先全体をラップで包んで数分パックをすることがおすすめです。
ささくれのケアにもなります。
マニキュアを塗る前に爪周りの皮膚にワセリンを塗っておくと、はみ出た部分のマニキュアを簡単に取ることができるので、仕上がりを綺麗にすることが可能です。
もちろん、爪に塗れば爪の保護と保湿ができます。
3)毛髪や眉毛のケアも使える
実は、ワセリンは毛髪や眉毛のケアに使うことができます。
シャンプー後、ドライヤーの前に使用すればヘアトリートメントとして活用可能です。
少量塗るだけで乾燥やパサつきを防ぎます。
毛先に塗れば枝毛の予防にも効果的です。
ドライヤーの熱から髪を守ってくれる効果も期待できます。
ただし、塗りすぎはベタつきによる不快感に繋がるので注意しましょう。
塗るときは少量を手にとり、よく伸ばして使うことをおすすめします。
眉毛に塗る場合も少量で十分です。
眉毛を抜きたい場合、少量のワセリンを肌に塗布しておくと、お肌が柔らかくなって痛みを軽減して抜きやすくなります。
髪だけでなく頭皮のケアにもワセリンは有効です。
シャンプー前に頭皮に少し塗ってマッサージをすれば、頭皮の毛穴ケアができます。
乾いた髪にワセリンを使えば、ワックス代わりにもなります。
ヘアワックスとして使用する場合は、少し多めに手に取るとよいでしょう。
手や指によく伸ばして、髪全体に伸ばすとしっとりします。
ポイントは指の間にワセリンを塗ることです。
指の間にあれば、手櫛で整えるだけで簡単にウェットな仕上がりをつくることができます。
ワセリンは香りがないので、ヘアケア用品の香りが苦手な方も使用しやすいでしょう。
なお、お手入れ後に手についたワセリンが落ちにくいときは、一度拭き取った後に石鹸とお湯を使って落とすときれいに落ちます。
4)軽い擦り傷などにも使える
軽度の擦り傷や切り傷の処置にもワセリンが使えます。
ワセリンで傷口を覆って保湿・保護することで、傷を早く治すサポートをします。
痛みがない場合は、傷口を清潔にした後、ワセリンを薄く塗り、その上から絆創膏を貼って保護すると良いでしょう。
一方、痛みがある場合は、傷口よりやや大きめに切ったラップで傷を覆うと、密封効果により高い効果を得ることができます。
9.ワセリンに関するよくある質問
1)ワセリンが毛穴に詰まってニキビになると聞いたことがありますが、本当ですか?
ワセリンは毛穴に詰まることはありませんが、「塞ぐ」ことはあります。
ニキビはアクネ菌が増えたことで、免疫がはたらいて起こる炎症です。
アクネ菌は酸素がない環境を好むので、毛穴が塞ぐことで増殖するリスクが高まります。
だから、角栓やいちご鼻が気になる方や脂性肌の方、または思春期の方にはワセリンはあまりおすすめできません。
2)あるブランドの化粧品をライン使いしていたのをワセリンだけに変えたら、肌が乾燥するようになりました。改善方法はどうすれば良いでしょうか?
おそらくワセリンだけに切り替えたことで、保湿が不十分になったことが乾燥肌の原因です。
化粧品ブランドのライン使いが肌に合っていたなら、それに戻すことをおすすめします。
もし、あまり合っていないなら、ワセリンだけを使うのではなく、その前に違うブランドの化粧水や美容液などを使ってみてください。
3)30代女性です。化粧水、美容液、乳液、保湿クリームを使っていたのをワセリンに変えたら、肌状態が良くなった気がします。このまま使い続けて良いでしょうか?
はい。おそらくは今まで過剰ケアだったのが、シンプルなワセリンのケアに変えることで、良い結果を生んだのだと思います。
肌状態が良いならそのまま続ければ良いでしょう。
ただし、春や夏などはTゾーンにワセリンを塗りすぎると、毛穴の悩みのリスクになることがあります。
一方、エイジングが進むと角質層の水分不足でワセリンだけの保湿では不十分になることもあります。
そんな場合は、保湿力の高いエイジングケア化粧品を摂り入れることも良い方法です。
4)ワセリンは季節で使い分けた方が良いでしょうか?
はい。
皮脂分泌の多い春や夏は控えても良いです。
あるいは、UゾーンやOゾーンなどだけ使う、朝のスキンケアだけ使うなど肌の状態に合わせて使うことをおすすめします。
一方、秋や冬などの乾燥の季節なら、乾燥が気になる場合は、朝晩使ったり、顔全てに使うなども良い方法です。
<参考記事>
*秋(9月・10月・11月)に気になる乾燥肌!予防・改善の対策とは?
*冬(12月・1月・2月)の乾燥肌対策は保湿とエイジングケア
5)ニベアとワセリンの違いは何ですか?
ワセリンとは単一の成分です。一方、ニベアは、いくつかの保湿成分が配合されたスキンケアクリームです
ニベアの成分は、水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料です。
つまり、ニベアはワセリン配合のクリームです。
6)ワセリンの欠点は何ですか?
ワセリンの欠点は、伸びが良くないことです。上手に塗らないと肌の上で摩擦を起こしてしてしまい、バリア機能が低下するリスクがあります。
7)ワセリンとプロペトどっちがいい?
ワセリンよりプロペトの方が、精製度が高く不純物が除去されています。また、プロペトの方が伸びがよく、塗りやすいです。
価格はプロペトの方が高いですが、安全性と使いやさからはプロペトがおすすめです。
8)ワセリンには殺菌効果はありますか?
ワセリンには、殺菌効果はありません。
保湿・保護効果が高いので、乾燥によるひび割れなどを早く治すことで細菌感染を防ぐことは期待できますが、感染してしまえば効果はありません。
9)ワセリンで傷を治す効果はある?
ワセリンには、抗炎症効果はありませんが軽度の傷・やけどの皮膚の保護のために使うことは可能です。
しかし、傷が深い場合は、ワセリンではなく皮膚科を受診して治療することをおすすめします。
10)ハンドクリームの上からワセリンを塗るとどうなる?
ワセリンは、ハンドクリームを塗った後でも使うことが可能です。ハンドクリームの後にワセリンを塗ることで、手肌の水分が蒸散することが防げます。
10.まとめ
ワセリンとは何か、その効果や種類、安全性について詳しくご紹介しました。
いかがでしたか?
その名前は誰もが知っていて、乾燥肌対策などに使うワセリン。保湿やお肌のバリア機能を守る役割があります。
また、基本的には安全で使いやすい成分です。
特に白色ワセリンやプロペト、サンホワイトなど純度の高い種類なら、赤ちゃん、敏感肌の方、エイジングケア世代やご高齢の方でも安心して使えます。
一方、薬効自体がないこと、水分を保持するはたらきがないなど、そのはたらきの限界を知っておくことも大切です。
その上で、年齢、季節、肌質などを踏まえて、上手に取り入れることが大切です。
ワセリンを上手に使って、ぜひ、スキンケアやエイジングケアにお役立てください。
この記事「ワセリンとは?種類と効果と使い方を丸ごと知ろう!」が、ナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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