グリセリンは、吸水性が高く安全性も高いことから化粧水をはじめ、美容液や保湿クリームまでさまざまな化粧品に配合されています。
しかし、化粧品会社もそれほど広告したり、説明することもないため、その効果や安全性、副作用についてはあまり知られていません。
今回は、美肌づくりやエイジングケアに役立つグリセリンの意外な効果や危険性をご紹介します。
また、おすすめのグリセリン配合化粧水をご紹介します。
- グリセリンの保湿効果の強さやはたらきがわかります。
- グリセリンの安全性や注意点がわかります。
- グリセリンを配合したおすすめのエイジングケア化粧品がわかります。
京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
松岡 桓準 先生
近畿大学薬学部卒業後、薬剤師免許を取得。大学院修了後、化粧品関連企業で化粧品有効成分の研究開発に携わる。
2014年より株式会社育星会カイセイ薬局にて地域住民の薬物治療のサポートを行う一方で、認定NPO法人健康ラボステーションでの活動を通して未病・予防に関する情報発信を行っている。
CONTENTS
1.グリセリンと化粧品のことをもっと知りたいあなたへ
「グリセリンとは?効果と安全性を知って化粧品や化粧水を使おう!」をお届けします。
グリセリンは、ほとんどの化粧水に配合される保湿成分の1つです。
もちろん、エイジングケア化粧品にもグリセリンはよく配合されます。
しかし、グリセリンについては、化粧品会社もそれほど広告したり、説明することもないため、その効果、安全性や注意点はあまり知られていません。
でも、エイジングケアやスキンケアを考える上で、知っておいたほうがよいこともたくさんあります。
また、意外なはたらきや危険性もあります。
今回は、そんなグリセリンの役割や効果、安全性について幅広く取り上げます。また、化粧品成分としての種類や注意点まで取り上げます。さらに、グリセリン配合のおすすめのエイジングケア化粧水をご紹介します。
「グリセリンって一体どんな成分?化粧品で使われるのはなぜ?」
「グリセリンの効果って?保湿以外にもあるの?」
「グリセリンってどんな種類があるの?また、何が違うの?」
「グリセリンは手づくり化粧品の原料ね!やっぱり安全なの?」
「グリセリンっていくつか種類があるの?教えて!」
「グリセリンのちょっと変わった作用って?危険なの?」
「グリセリン配合のおすすめの化粧水は?」
などを知りたい方は、ぜひ、続きをお読みくださいね。
きっと、いままで知らなかったグリセリンのことがおわかりいただけると思います。
<グリセリン配合のおすすめ化粧品>
純度の高いグリセリンを配合したエイジングケア化粧品のトラベルセット
*本当にキレイになれる!動画「ナールス60日間美肌プログラム」とは?
<この記事の大切なポイント>
- グリセリンは無色で粘性がある保湿効果のある成分で、水となじみやすい性質があります。そのため、化粧水ほか化粧品の基本成分として汎用されています。
- グリセリンは化学的にはアルコールの一種ですが、化粧品に配合すると「アルコール」としては扱われません。また、性質も異なり刺激性もありません。
- グリセリンは毒性が低く、安全性が高いことから、化粧品以外でも食品添加物や医薬品にも利用されています。とても有用性の高い成分です。
- グリセリンの保湿力は、水分を吸着することで発揮されます。しかし、セラミドやヒアルロン酸などに比べると劣ります。
- グリセリンの濃度が15%を超えると肌の水分を奪うリスクがあります。あまり高濃度のものは乾燥肌の原因になるので控えましょう。
- グリセリンは高濃度で使えば、水と混じる際に熱を出すため、温感化粧品にもよく使われます。ただし、配合濃度が高すぎると危険です。
- グリセリンは、ニキビの原因であるアクネ菌の栄養素になることがわかっています。しかし、ニキビになりやすいかどうかまでは不明です。
2.グリセリンとその特徴は?
1)グリセリンとは?
化粧品の成分にはさまざまなものがありますが、なかでもほとんどの化粧水に使われているのがグリセリンです。
もちろん、グリセリンは、保湿化粧水だけなくエイジングケア化粧水やエイジングケア化粧品でも非常によく使われる成分です。
いまでは、グリセリンはあまりに汎用的な成分なので、エイジングケアやアンチエイジング、美容でもあまり話題に上ることはない成分ですが、化粧品や美容以外にも日常生活のなかで登場します。
そもそもグリセリンは、炭素と水素の化合物に酸素が加わった比較的シンプルな成分で、学術分野ではグリセロール(glycerol)と呼ばれます。
グリセリンは植物、海藻、動物などに広く含まれ、もちろん、人のからだにもあります。
人の皮膚では、皮脂に多く含まれるトリグリセリドが皮膚常在菌から出る酵素(リパーゼ)によって、脂肪酸とグリセリンに分解されます。
つまり、肌自らが保湿効果を発揮するのです。
化学的にはアルコールに分類される物質で、アルコールの特性である吸湿力を持つ無色透明の粘性のある水溶性の液体です。
しかし、化粧品成分で「アルコール」といえば、エタノールのことなので化粧品にグリセリンが入っていてもアルコール配合といいません。
化粧品成分以外でも食品添加物(甘味料、保存料、保湿剤)として、幅広く使われています。
グリセリンは脂肪酸と結び付くと中性脂肪となります。
そのため、過度に摂取しすぎることは、健康にはよくありません。
これらのグリセリンは、ヤシ油、パーム油、大豆油と獣脂(ラードなど)を、高温・高圧で加水分解によって生成されたものがほとんどですが、プロピレンなどからも生成することが可能です。
グリセリンとよく似た成分に、エチルヘキシルグリセリンやジグリセリンがあります。
これらは基本的には、グリセリンとよく似た性質ですが、少し異なる点があります。
2)グリセリンの特性・性質は?
グリセリンが化粧品や化粧水によく配合されるのは、以下のようなその使いやすい特性によるものです。
①グリセリンの融点(固体が液体になる温度)が18℃と非常に低く、液体として安定的に使える
②水になじみやすい(水溶性)
③吸湿性(保湿の効果)がある
④ヒアルロン酸やコラーゲンと組み合わせると保湿効果が高まり、伸びや滑りがよくなる
⑤水に混ざると発熱する性質がある(溶解熱を出す)
⑥分子量が小さい(100ダルトン未満)
このようなグリセリンの性質を、乾燥肌対策に活用するため、多くの化粧品に配合されるようになったのです。
乾燥肌が防げれば、それが原因の肌悩みであるくすみや毛穴などの悩みも減り、ハリやツヤのある美肌がキープできるのです。
しかし、少し驚かれたのは「水に混ざると発熱する性質がある」ではないでしょうか?
驚かしてしまうようですが、グリセリンはこの性質のため、日本では消防法により危険物第4類(引火性液体)の第3石油類に指定されているのです。
3)グリセリンの製造法は?
①油脂からつくる方法
生物の油脂にはたくさんのトリグリセリドが含まれています。
これは脂肪酸とグリセリンのエステルです。
だから、油脂に水酸化Naまたは水酸化Kを加えて石鹸素地をつくる際に、副産物としてグリセリンができます。
こうしてできたグリセリンは不純物が多いので、脱水・脱臭など精製を行うことで製造されます。
この方法でできたグリセリンを天然グリセリンと呼びます。
しかし、最近ではこの方法で製造されるケースは減っています。
②プロピレンから作る方法
最近のグリセリンの主な製造法は、プロピレンからエピクロロヒドリンを経由して合成する方法です。
この方法でできたグリセリンを合成グリセリンと呼びます。
3.グリセリンの化粧品や医薬品としての効果・役割
グリセリンは化粧品だけではなく医薬品としても使われていますが、その役割を詳しくみていきましょう。
1)グリセリンの化粧品成分としての効果・役割
①化粧品や化粧水の基本成分としてのグリセリン
化粧品の全成分表示名称は、グリセリンです。
一方、医薬部外品表示名称は、グリセリンまたは濃グリセリンです。
グリセリンは、その吸水性の高さから化粧品の基本成分(ベース成分)として汎用されています。
これは、水分を吸着することで保湿する効果・はたらきがあるからです。
つまり、保湿成分としてバリア機能を守るのです。
だから、グリセリンは保湿を目的として、とくに化粧水にはよく使われますし、それはエイジングケア化粧水であっても同じです。
グリセリンの保湿は、その吸水性にあって、天然保湿因子(NMF)などと同じ特性によって保湿効果をもたらします。
アミノ酸や尿素は天然保湿因子の成分なので、これらの保湿のパターンもグリセリンと同じです。
こうした保湿効果を発揮する成分は、ヒューメクタントと呼ばれます。
しかし、水分を挟み込んで保湿するセラミドや水分を抱え込んで保湿するプロテオグリカン、ヒアルロン酸、コラーゲンなどよりも保湿力は劣ります。
ですから、グリセリンだけの化粧品はほとんどなく、基本成分として使って、ほかのさまざまな保湿成分も同時に配合します。
そのため、化粧品会社があえてグリセリンのことを詳しく説明するケースは少ないのです。
また、グリセリンは刺激性も少ないため敏感肌や乾燥性敏感肌、インナードライ肌の方であってもほとんど問題のない成分です。
もちろん、グリセリンは、乾燥肌、普通肌、脂性肌、混合肌にも使えますから、肌質を選ばない保湿成分なのです。
また、高齢の方の乾燥肌や子供の乾燥肌向けのアイテムでも配合されます。
しかし、どんな化粧品であっても100%安全であることはありません。
少ないながらも、赤みや刺激など化粧品かぶれや接触皮膚炎のリスクもあり得ます。
②温感化粧品の成分としてのグリセリンの効果
グリセリンが、水に混ざると発熱する性質があることをお伝えしましたが、この効果を利用してつくられる化粧品が温感化粧品です。
温感化粧品の多くは、グリセリンのこの効果を利用したものが多く、配合濃度が高いのです。
ですから、温感化粧品の全成分表示のトップは、水ではなく「グリセリン」である場合が多いのです。
つまり、グリセリンは温感成分の1つなのです。
一部の美容液などでも、水をほとんど配合せずグリセリンを高濃度で配合したものがあります。
また、最近、流行のクレンジング料の1つに「ホットクレンジング」がありますが、これもグリセリンの発熱作用を利用したものです。
こうした温感化粧品は、一度にたくさんつけると熱くなりすぎることもあるので、使い方には気を付ける必要があります。
グリセリンは化粧品成分として安全性の高い成分ですが、高濃度だと刺激を感じる場合もあるので、温感化粧品や高濃度のグリセリン化粧品を使う場合は、その点も注意しましょう。
また、決して火の気の近くに置かないようにしましょう。
③手づくり化粧水に使われるグリセリン
グリセリンは原液としても販売されています。
グリセリン配合の化粧水は、自分でもつくることができます。
なぜなら、グリセリンは、薬局やドラッグストアなどで、簡単に購入することができるからです。
グリセリンの値段もお手頃で、安いものなら500mLで1,000円以下でも買うことができます。
だから、グリセリンは手づくり化粧品の成分としてもよく使われるのです。
手づくり化粧水をつくる場合は、材料としては精製水とグリセリンがあればよいだけです。
後は、化粧水を入れる容器とグリセリンを計量する小さじがあればよいので、とても簡単で原価もとても安く済みます。
配合濃度は、グリセリン1に対して精製水9、あるいはグリセリン0.5に対して精製水9.5が一般的です。
これで10%、5%の濃度の手づくりのグリセリン化粧水ができ上がるのです。
原液でそのまま使うよりもこのレベルで使うことがおすすめです。
◎グリセリン化粧水をつくる際の注意点
- 手や容器は清潔に保つ必要があるため、事前に手や容器は必ず洗い、消毒する。
- 一度に大量にグリセリン化粧水をつくらずに、少量をつくって早めに使い切る。
- 多くても50mLくらいまでにして、1週間を目処に使い切る。
- 余っているグリセリンは容器をしっかり密閉する。
- グリセリンは菌が繁殖しやすいので、冷蔵庫など温度が低い場所に保管する。また、子どもに触れさせないように注意する。
高濃度のグリセリン化粧水は、肌に悪い影響もあるのでつくるのは避ける。
手づくりグリセリン化粧品は、意外に手間がかかりますが、楽しみながら手づくり化粧水をつくってみてはいかがでしょうか?
一方、面倒なら、化粧水を購入するほうが無難です。
なぜなら、品質管理のために防腐剤などが含まれているので、腐敗する心配がないからです。
④グリセリンはどんな化粧品に配合される?
グリセリンはとても汎用性の高い成分なので、30000種以上の化粧品に配合されています。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品でも、全8製品のうち、7製品に配合されています。
グリセリンは、保湿性と安全性、安定性の高さからさまざまなスキンケアアイテムに使用されます。
具体的には、洗顔料、クレンジングジェルなどのクレンジング料、保湿化粧水、保湿美容液、乳液、保湿クリーム、フェイスマスク、オールインワン化粧品、ボディの乾燥肌対策のアイテム、ハンドクリーム、シャンプーやリンスなど頭皮ケアや爪ケア用のアイテム、日焼け止めや化粧下地、ファンデーションなどのメイク用のアイテムに使われます。
このことから、グリセリンは肌だけでなく、髪の毛のケアにも良いことがわかります。
もちろん、エイジングケア化粧水、エイジングケア美容液、エイジングケア保湿クリームなどにも配合されます。
2)食品添加物としてのグリセリン
植物や動物などの天然由来のグリセリンは、食品添加物に指定され、広く食品添加物として利用されます。
具体的には、次のとおりです。
- 乾燥食品やお菓子類の水分を保つ「保湿剤」
- チューイン・ガムの粘度、柔らかさを保つ「軟化剤」
- 着色料、香料などの溶媒
冷菓の結晶化防止や冷凍食品の「氷点降下剤」
また、グリセリンは、ショ糖の半分程度の甘味があることから「甘味料」としても使われています。
さらには、静菌性を持ち合わせるので、日持ちを向上させる目的でも使われることがあります。
このように食べ物に幅広く利用されるのは、グリセリンの毒性がとても低く、安全性が高いからです。
3)医薬品として利用されるグリセリンの効果
①浣腸としてのグリセリン
グリセリンは、医薬品として浣腸に30%~50%の濃度で利用されます。
それは、グリセリンは安全に大腸を刺激し、蠕動運動を促進させる効果・はたらきがあるからです。
また、その浸透圧の高さと吸水性によって、便に溶け込み、便を柔らかくするので、便の滑りをよくして、排泄を助けるのです。
つまり、グリセリンは便秘にも使えるのです。
そのほかでは、グリセリンは目薬や貼付薬の基材としても使われます。
②グリセリンは心臓の薬?ニトログリセリンとの違い
グリセリンといえば、「ニトログリセリン」という言葉を思い出す方もいるのではないでしょうか?
実は、ニトログリセリンは、グリセリンと硝酸を反応させてエステル化させてつくった成分です。
エステル化とは、アルコールの1種であるグリセリンが、硝酸と反応する際に水分子を失うことです。
ニトログリセリン=グリセリン+硝酸―水
このニトログリセリンは、医薬品として心臓の病気(狭心症)の治療薬として使われたり、爆薬の原料としても使われます。
4.グリセリンの保湿効果を深く知ろう!
これまで見てきたように、グリセリンは保湿効果を発揮します。
グリセリンと同様に有名な保湿剤としてワセリンがありますが、こちらは油分でありエモリエント成分と呼ばれます。
こちらは、肌に膜を作ることで水分の蒸散を防ぐ効果があります。
その点ではグリセリンとは違うはたらきをするのです。
ここでは、そんなグリセリンの保湿効果をデータでご紹介します。
1)グリセリンは湿度が高いほど効果を発揮する
これはグリセリンと天然保湿因子の成分である乳酸Naの保湿効果と湿度の関係を表したグラフです。
グリセリンは、湿度が高くなるほど保湿効果が高いことがわかります。
逆にいえば、湿度が低い冬の乾燥の季節では効果が低くなります。
<参照元>
西山 聖二, 他(1993)「保湿剤」色材協会誌(66)(6),371-379.より改変
2)グリセリンの保湿効果の比較
6種類のヒューメクタントの同じ湿度での吸湿効果を比べたグラフです。
グリセリンは、よく似たはたらきをするPG、ソルビトール、BG、DPG、1,2-ヘキサンジオールより高い保湿効果(吸湿力)を発揮します。
<参照元>
西山 聖二, 他(1993)「保湿剤」色材協会誌(66)(6),371-379.より改変
3)グリセリンとヒアルロン酸の保湿効果の比較
グリセリンは、ヒアルロン酸より水分を保持する効果が悪いことがわかります。
<参照元>
西山 聖二, 他(1993)「保湿剤」色材協会誌(66)(6),371-379.より改変
また、短時間での吸湿性(保湿効果)ではグリセリンはヒアルロン酸に劣ります。
しかし、長期間ではグリセリンがヒアルロン酸に優ることがわかります。
これが、グリセリンとヒアルロン酸を一緒に使うことで、より高い保湿効果を得ることができる理由です。
<参照元>
外岡 憲明(1985)「ヒアルロン酸ナトリウムの保湿性」皮膚(27)(2),296-302.より改変
<参照元>
外岡 憲明(1985)「ヒアルロン酸ナトリウムの保湿性」皮膚(27)(2),296-302.より改変
4)グリセリンの水分蒸散効果
グリセリンと水で、水分が肌から出ていくのを防ぐ効果を比較したグラフです。
グリセリンに水分蒸散を防ぐ効果があることがわかります。
<参照元>株式会社資生堂(2000)「皮膚バリアー機能回復促進剤」特開2000-290135.より改変
5.グリセリンの種類
グリセリンの種類は、用途から考えると主に3種類、その生成方法から考えると2種類に分かれます。
1)用途から見るグリセリンの種類
①日本薬局方グリセリン
グリセリンの純度は80%台で、主に化粧品などで使用されます。
②食品添加物グリセリン
グリセリンの純度は80%~90%台で、食品添加物として使用されます。
③医薬品用グリセリン
グリセリンの純度は95%以上で、医療用として使用されます。
この純度のグリセリンが化粧品にも使われることがありますが、メリットとしては品質が高く安全性が高いことです。
デメリットは、このレベルのグリセリンは比較的高価なので、化粧品の価格が高くなりがちなことです。
2)生成方法から見たグリセリンの種類
先ほどもお伝えしたとおり、グリセリンは大きく分けて「合成グリセリン」と「天然由来のグリセリン」があります。
①合成グリセリン
合成グリセリンは、医薬品用のグリセリンで石油由来のものです。
合成グリセリンは、天然グリセリンよりも純度が高く、不純物が少ないことが特徴です。
医療では、不純物は避けることが大切なので、こちらが使われます。
「石油」のイメージはよくありませんが、毒性はなく、安全性に問題はありません。
②天然由来のグリセリン
ヤシの実などの植物性由来のグリセリンです。
化粧品では、一般的に天然由来のグリセリンが使われます。
天然由来は、「天然」ではなく、精製されて不純物が取り除かれますが、まったくなくなるわけではありません。
しかしながら、安全性や毒性で問題になることはありません。
コスト的には合成よりもこちらのほうが安く済みます。
なお、天然由来のグリセリンでも精製によって98%以上の純度にグリセリンを生成することが可能で、これは高濃度グリセリン、または濃グリセリンと呼ばれます。
高濃度グリセリンの価格は、高くなる傾向にあります。
いずれのグリセリンも希釈して使いますので、化粧品の場合は、過度に天然由来か合成かといった生成方法にこだわる必要はありません。
化粧品メーカーは、コスト重視の場合は天然由来のグリセリンを使い、純度重視の場合は合成グリセリンを使う傾向にあります。
だから、高額なエイジングケア化粧品には精製度の高いグリセリンが使われることが多く、プチプラ化粧品では精製度の高いグリセリンが使われることはあまりありません。
6.知っておきたいグリセリンの意外な作用
ここまでは、よく知られているグリセリンの効果や安全性などをご紹介しました。
次に、意外なグリセリンのはたらきをご紹介します。
内容は「美容常識の9割はウソ(落合博子 著)」でも紹介されていました。
1)グリセリンはアクネ菌を増やす
2009年に株式会社サティス製薬は「アクネ菌の資化性試験」を行いました。
資化性(しかせい)とは、「微生物が、ある物質を栄養源として利用し、増殖できる性質」を示す言葉ですが、グリセリンがアクネ菌を増やしやすいことがわかったのです。
肌をpH4~6の弱酸性に保ち、病原菌の侵入に対しバリア機能を助ける役割がある一方、過剰に発生するとニキビの原因になる菌です。
この調査では、1,3-ブチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、トレハロース、D(+)-グルコース、D-ソルビトール、1,3-プロパンジオール、キシリット、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、トリメチルグリシン、ラフィノース、グルコシルトレハロース/水添デンプン分解物混合溶液と比較して、グリセリンのアクネ菌への資化性が高いことがわかったのです。
ただし、ニキビになりやすいかどうかまでは不明ですが、高濃度グリセリンの化粧品は控えたほうがよさそうです。
<参照元>
株式会社サティス製薬【研究調査】化粧品でアクネ菌が増える?
~保湿剤編~
https://www.saticine-md.co.jp/news/1841
2)高濃度グリセリンは乾燥肌のリスクに
もう1つは、グリセリンの吸湿性が乾燥肌のリスクになる可能性について。
グリセリンは肌の角質層のなかで、水分を吸着すると保湿にとってプラスです。
しかし、肌の外から肌のなかにある水分も吸ってしまいます。
つまり、グリセリンの濃度が高すぎて浸透しないまま肌表面に残ると、乾燥肌の原因になってしまうことがあるのです。
つまり、肌に悪い影響を与えることがあるのです。
3)石鹸製造に利用されるグリセリン
グリセリンと一緒に、二糖類であるスクロース、糖アルコールであるソルビトール、PGまたはこれらの混合物を配合することによって石鹸の結晶化が抑制されます。
このはたらきを利用して、固形石鹸の透明化のために使われます。
7.高純度グリセリン配合のオススメのエイジングケア化粧水
1)ナールスピュアとは?
ナールスピュアは、「自ら潤い弾む素肌」を目指して開発したグリセリン配合のエイジングケア化粧水です。
ターンオーバーの正常化を促し、エイジレスな美肌づくりをサポートします。
ピュアの名前のとおり、よいエイジングケア化粧品成分を厳選して、毛穴の黒ずみなどのお肌の悩みやほうれい線などのお肌の老化を予防することを目的としています。
@コスメの化粧水ランキングでも上位にランクインしています。
2)ナールスピュアのグリセリンは?
ナールスピュアで最も配合量が多い成分は水ですが、その次はグリセリンです。
ちなみに、ナールスピュアは、純度の高い合成グリセリンを使用しています。
なぜなら、ナールスピュアは、ナールスゲン、ビタミンC誘導体(水溶性ビタミンC誘導体、両親媒性ビタミンC誘導体APPS)、ビタミンE誘導体、プロテオグリカン、セラミドを増やす成分であるナイアシンアミドと3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(セラミドプロモーター)が主力成分ですが、グリセリンを含めて合計でたったの15成分からできているエイジングケアローションなのです。
そのため、1つひとつの成分を厳選した結果、純度の高い合成グリセリンを使うことで、全体的な品質を高められると判断したからです。
アルコールフリー化粧水で香料、着色料、界面活性剤の配合もありません。
<全成分表示>
水、BG、グリセリン、ベタイン、1,2-ヘキサンジオール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸、PCA-Na、アスコルビルリン酸Na、トコフェリルリン酸Na、ナイアシンアミド、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、水溶性プロテオグリカン、フェノキシエタノール
8.まだある!おすすめのナールスのグリセリン配合の化粧品
ナールスの製品では、酵素洗顔パウダーである「ナールス フォーム」以外のすべてのエイジングケア化粧品にグリセリンを配合しています。
1)おすすめのグリセリン配合美容液
ナールスゲン、ネオダーミル、プロテオグリカン、レチノイン酸トコフェリル、ヒト型セラミドなどを配合した目元美容液です。
グリセリンの配合濃度は、3番目です。
2)おすすめのグリセリン配合保湿クリーム
ナールスゲン、3種のヒト型セラミド、シアバター、VCIP(油溶性ビタミンC誘導体)、レチノイン酸トコフェリル、スクワラン、アラントインなどを配合したエイジングケア保湿クリームです。
グリセリンの配合濃度は、水に次いで2番目です。
3)おすすめのグリセリン配合フェイスマスク
*エイジングケアフェイスマスク「ナールスリジェパーフェクトマスク」
ナールスゲン、ヒト幹細胞培養液、プラセンタエキス、ヒアルロン酸Na、キュアパッションなどを配合したバイオセルロース製のエイジングケアフェイスマスクです。
グリセリンの配合濃度は、3番目です。
4)おすすめのグリセリン配合クレンジングジェル
*エイジングケアクレンジングジェル「ナールス エークレンズ」
アミノ酸系洗界面活性剤であるラウロイルグルタミン酸Na、金コロイド、アーチチョーク葉エキス、グルコシルセラミドを配合したクレンジングジェルです。
グリセリンの配合濃度は、5番目です。
5)おすすめのグリセリン配合ハンドクリーム
バラの女王ダマスクローズを50%配合し、ナールスゲン、水溶性ビタミンC誘導体、センチフォリアバラ花エキス、ノイバラ果実エキス、カニナバラ果実エキス、イザヨイバラエキスなどを配合したエイジングケアハンドクリームです。
グリセリンの配合濃度は、3番目です。
6)おすすめのグリセリン配合UV化粧下地&日焼け止め
ナールスゲンを推奨濃度で配合し、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、酸化チタン、酸化亜鉛などを配合したUV化粧下地&日焼け止めです。
グリセリンの配合濃度は、14番目です。
9.まとめ
グリセリンについて、効果や役割、安全性や危険性を幅広くご紹介しました。
また、おすすめのグリセリン配合化粧水をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
グリセリンは、化粧品以外でも食品添加物や医薬品などにも利用される私たちの生活にとって欠かせない成分の1つです。
しかし、その有用性はさほど知られていません。
特に、化粧品においては、グリセリンは基本成分となっているため、深く説明されることもありません。
化粧品成分としてのグリセリンは、安全で毒性が少なく無色であること、ほかの成分と一緒に使ってテクスチャーを調整することが簡単であること、水分を吸着して保湿力を発揮することなどから、多くの化粧品で使用されています。
エイジングケア化粧水であるナールスピュアにも純度の高いグリセリンを配合しています。
今回の記事「グリセリンは化粧品や化粧水に適した成分!効果と安全性は?」で、グリセリンもエイジングケアの一助になる成分であることを知っていただければ幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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