エイジングケアに興味のあるあなたは、何度もお肌のターンオーバーという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
お肌のターンオーバーとは、表皮の新陳代謝。
つまり、お肌の生まれ変わりのことです。
そして、このはたらきはお肌の潤いや美肌のためにはとても大切です。
しかし、ターンオーバーは意外にも誤解されている面も。
そこで、この記事では、お肌のターンオーバーについてできるだけ詳しく取り上げました。
スキンケアでとても大切なターンオーバーをしっかりと理解したい方は、ぜひ、続きをお読みくださいね。
- お肌のターンオーバーとは、表皮部分の「新陳代謝」のことです。新しい角質やセラミド、天然保湿因子(NMF)などがつくられます。
- お肌にとって大切なのは、ターンオーバーを促進することではなく、正常化することです。それが美肌をキープするためのコツです。
- ターンオーバーは、年齢を重ねると遅くなる傾向にありますが、無理に促進することが、改善ではありません。エイジングにあわせて正しい周期を目指しましょう。
- 毛穴の黒ずみや角栓は、ターンオーバーの過度の促進、つまり「早すぎる」ことで起こる場合があります。なぜなら、未成熟な角質を守るために皮脂が過剰に分泌されるからです。
- ターンオーバーを正常化させる基本は、スキンケアの前に日常生活を見直すことです。食べ物や睡眠などをチェックしましょう。
- ターンオーバー正常化のスキンケアとエイジングケアの基本は、正しい洗顔、保湿と紫外線対策です。この3つを正しくおこなうことで健やかな素肌がキープできます。
- バリア機能の正常化が正しいターンオーバーにつながります。だから、エイジングケアでは肌への刺激や摩擦を避けることが大切です。
化粧品成分上級スペシャリスト&京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
*肌荒れの原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
CONTENTS
1.お肌のターンオーバーが気になるあなたへ
「お肌のターンオーバーの改善と正常化は促進だけではNG!」をお届けします。
今回のテーマは、ターンオーバー。
多くの女性は聞いたことがあると思います。
ターンオーバーの正常化は、エイジングケアの基本。
健やかでエイジレスな美肌を育むためには、お肌のターンオーバーの機能はとても重要です。
しかし、加齢とともにターンオーバーの周期が変化したり、また紫外線やストレス、睡眠不足や食事の影響によっても機能は低下します。
そのため、周期が遅くなってしまって肌トラブルが起こります。
こうした印象から、「ターンオーバーは促進しないといけない!」と思う方が多いのですが、誤ったエイジングケアによって進みすぎてお肌のトラブルにつながることもあります。
だからこそ、お肌のターンオーバーについて、きちんと理解したうえで、正常化のための正しいケアが大切なのです。
では、ターンオーバーを常によい状態、つまり、正常に保つためにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、ターンオーバーの仕組みとともに、乱れの原因やそれによって起こる肌トラブルの関係にせまります。
また、乱れを改善して正常化するための対策やスキンケアやエイジングケア、そしてエイジングケア化粧品、酵素洗顔について説明します。
「お肌のターンオーバーってそもそも何?お肌のどこで行われるの?」
「40代なのでエイジングケアが気になる。お肌のターンオーバーについて理解を深めたい!」
「肌悩みとどんな関係があるの?たとえば、ターンオーバーとシミの関係って?」
「早すぎたり、遅すぎるとどうなるの?また、改善方法は?」
「お肌のターンオーバーを正常化するためのスキンケアやエイジングケアは?どのアイテムが大切なの?」
「ターンオーバーを改善するコスメってどんなのがあるの?どんな美容成分がよいの?」
「栄養素・食べ物・飲み物の関係って?おすすめを教えて!」
などを知りたい方は、ぜひ、続きを読んでみてください。
<コラム>
ターンオーバーが遅すぎる場合の洗顔には、酵素洗顔もオススメです。
酵素洗顔に興味をお持ちの方、基本を知りたいという方は、酵素や酵素洗顔について詳しく解説した「酵素洗顔とパウダーの全て!ランキング無用の正しい選び方」をお読みください。
さらに、ターンオーバーの低下にはバリア機能の低下が関わっているため、バリア機能の正常化をサポートするセラミドにも注目が集まっています。
ターンオーバーの正常化を助けるヒト型セラミドとナールスゲン配合のエイジングケア化粧品や、保湿について具体的に知りたい方は「ターンオーバーの周期で考えるエイジングケア化粧品の使い方」「お肌の保湿とは?本当にわかるスキンケアの基本と保湿成分」をご覧ください。
ターンオーバーをはじめ、60日で美肌のためのすべてを学べるプログラム
*本当にキレイになれる!動画「ナールス60日間美肌プログラム」とは?
<ターンオーバーをいつも正常にしたいあなたへの提案>
ターンオーバーの正常化をサポートするナールスゲン配合エイジングケア化粧品「ナールス」
ターンオーバーを整える第一歩は化粧水から!
ターンオーバーを乱さないクレンジング!
*優しいアミノ酸系洗浄成分配合クレンジングジェル「ナールス エークレンズ」
<3分の動画コンテンツで学ぶターンオーバー>
「ターンオーバーって?」
2.お肌のターンオーバーとは
1)お肌のターンオーバーのおさらい
まずは、ターンオーバーについてのおさらいです。
ターンオーバーは、英語で「Turn Over」、元の意味は、「引っ繰り返す」「入れ替わる」ことです。
お肌のターンオーバーもこの意味に準じて使われていて、お肌の表皮部分の「新陳代謝」、「生まれ変わり」のことをいいます。
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」から成り、さらに「表皮」は一番下から「基底(きてい)層」「有棘(ゆうきょく)層」「顆粒(かりゅう)層」「角層(角質層)」という順に並んで構成されています。
<皮膚の構造>
ターンオーバーが起こるのは表皮の部分で、一番下にある「基底層」で新しい細胞が生まれ、徐々に角層まで押し上げられていき、バリア機能を果たした後、最後は垢となってはがれ落ちるというサイクルを繰り返します。
この1サイクルがターンオーバーの期間です。
ターンオーバーの速度は、からだの部位によって異なります。
顔などの部位は早く、手や足などは遅く、顔の倍程度の期間だといわれています。
また、唇では7日前後、頭皮では30日から45日程度と考えられています。
ターンオーバーの部位による違いは、皮膚の厚さや血行との関係が影響していると考えられています。
つまり、皮膚の構造は、基本的にはからだのどのパーツも同じであっても、少しずつ特徴が異なることでターンオーバーに必要な日数が変わってくるのです。
いずれの部位でも、健康な状態であれば、ターンオーバーによって細胞は絶えず入れ替わっているため、たとえば表皮に傷がついてもかさぶたになってはがれ落ち、健やかな状態が取り戻せるようになっているのです。
<ターンオーバーの構図と年代別ターンオーバーの目安>
2)ターンオーバーが正常なお肌とは?
ターンオーバーが正常なお肌では、同時にバリア機能も整っている場合が多いのです。
そして、そんなお肌は潤いが十分で健やかです。
さらに、次のような特徴があります。
このようなお肌は、クリアで綺麗な理想の素肌、つまり「美肌」です。
ただ、ほかの要因による肌悩みも起こり得るので、お肌の状態はターンオーバーだけで語れないこともあるのです。
3)真皮ではターンオーバーは起こらない?
ここでしっかり理解しておきたいポイントは、お肌のターンオーバーは、「表皮」で起こることで、「真皮」で起こっているわけではないことです。
もちろん、真皮も生まれ変わるのですが、その期間は表皮よりずっと長い期間を要するのです。
真皮の生まれ変わりは、ターンオーバーとは呼びませんが、3~5年かかるといわれています。
だから、ほうれい線やしわなどの真皮を含むお肌の老化が原因のエイジングサインの改善は、ターンオーバーの正常化だけでは改善しないのです。
なお、表皮の構造やその役割についての詳しい情報は、「表皮の角質層の構造・はたらきと角質ケアの方法・対策は?」や「表皮の構造と役割を知って正しい保湿とスキンケアを知ろう!」を参考にしてください。
また、真皮については、「真皮とは?構造と役割を知ってエイジレスな美肌を!」を参考にしてください。
<参考記事>
*ターンオーバーの乱れを正常にして美肌美人に!
4)ターンオーバーのメカニズム
では、ここからターンオーバーのメカニズムを詳しくみていきましょう。
①基底層で、細胞分裂開始
表皮の一番奥の基底層は、ケラチンやメラニン色素がつくられるケラチノサイト(角化細胞)とメラノサイト(色素細胞)という細胞でできています。
まず、ケラチノサイトから分裂した細胞が、すぐ上の有棘層へ上がっていきます。
②有棘層で、細胞が扁平化
有棘層では、不要な成分が分解されます。
そのため、細胞は少しずつ扁平な状態に変化します。
③顆粒層で、NMF(天然保湿因子)と角質細胞間脂質を生成
顆粒層では、3大保湿因子のうちのNMF(天然保湿因子)と角質細胞間脂質の2つがつくられます。
ここには、ケラトヒアリン顆粒というたんぱく質があります。
これは、プロフィラグリンとも呼ばれますが、角質へ移動するとフィラグリンに分解されます。
<プロフィラグリンの変化>
ここでは、角質細胞間脂質の前駆体であるリン脂質、グルコシルセラミド、スフィンゴミエリンがラメラ構造をつくっています。
そして、顆粒層から角質層に押し上げられる段階でセラミドが生まれ、細胞間脂質の中に放出されます。
④角質層でターンオーバー完成
ここでは、フィラグリンがアミノ酸に分解され、天然保湿因子(NMF)の主成分として利用されます。
そして、基底層、有棘層、顆粒層を通過した細胞は、それぞれの層で役割を果たし終えます。
最後に、角層に達した時には、核のない状態になっています。
つまり、すでに分裂する生命力を失っているのです。
これを角化と呼びます。
そして、この細胞が角質細胞です。
ただし、角質層は不要なのではなく、水分の貯蔵庫として14日間程度はたらきます。
ここでは、皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から出た汗とが混じり合ってできる3大保湿因子の1つである皮脂膜が、水分蒸発を妨げて、保湿しているのです。
<参考記事>
*皮膚の機能と構造 1.皮脂膜 2.表皮のバリア機能 3.表皮のターンオーバー 4.メラノサイト
⑤角質の離脱
そして、不要になった角質は、その後にできた細胞に押し上げられて、最後は垢として剥がれ落ちるのです。
健やかなお肌であれば、このメカニズムが一定のリズムではたらいています。
しかし、外部や内部の刺激などでターンオーバーは促進しすぎたり、遅くなったりするのです。
こうした状態が、ターンオーバーの乱れや異常です。
その1つは、ターンオーバーが促進し過ぎて、お肌の表面に未熟な細胞が押し上げられ、十分に角化が行われない不全角化です。
もう1つは、古くなった角質が剥がれ落ちずにお肌の表面にたまり、角質が厚くなる角質肥厚です。
角質肥厚になるとお肌がカサカサしたり、さらに進むとゴワゴワ感がでてきます。
<参考記事>
*角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!
5)ターンオーバーとメラニン・シミの関係
ここで、エイジングサインであるシミの元「メラニン」とターンオーバーの関係についてのお話をしておきます。
メラニンは、お肌が紫外線を浴びると、表皮の基底層のメラノサイトでチロシンというアミノ酸から生成されます。
チロシンは、紫外線によって活性化されるチロシナーゼと呼ばれる酸化酵素によって、メラニンに変化するのです。
ターンオーバーが正常であれば、メラニンはターンオーバーとともに、基底層から角層まで押し上げられて、角質とともに垢として剥がれ落ちるのです。
だから、紫外線のダメージが過度でなければ、メラニンがシミになることはありません。
しかし、紫外線のダメージが大きかったり、長期間浴びることで、メラニンの生成が過剰になってしまいます。
その結果、メラニン色素が、ターンオーバーとともに排出しきれずに残ってしまうことがあるのです。
これがシミのできるプロセスです。
だから、ターンオーバーが促進していようと、遅かろうと、紫外線のダメージが大きければシミはできてしまいます。
さらに、ターンオーバーが正常でなければ、問題はより大きくなるリスクがあります。
3.ターンオーバーと年齢の関係は?
ターンオーバーの周期(サイクル)は、個人差があり、また年齢によっても違ってきます。
一般的に、年齢を重ねるにつれ新陳代謝は低下し、20歳代の女性では28日程度で行われていたものが、30~40歳代では約45日程度あるいはそれ以上といわれています。(*1)
<(*1)参照記事>
*ターンオーバーについて
さらに、50代、60代、70代になれば一層、ターンオーバーは遅くなります。
年齢とともに傷の治りが遅くなったり、シミができやすくなったりするのは、このためなのです。
また、ターンオーバーの速度は「表皮」内でも層ごとに異なり、これはからだの部分によっても違ってきます。
先ほど、ターンオーバーのメカニズムを説明しましたが、次のような周期がおおまかな目安です。
- 基底層から顆粒層までは14~42日程度を要する
- その後、角質細胞となってはがれ落ちるまで14日程度を要する
これらを合計すると、ターンオーバーの周期は28日~56日(*2)
<(*2)参照記事>
*お肌のターンオーバーの仕組み
ここで、注意すべきは、年齢ととともにターンオーバーが遅くなるので「促進させないと!」と思ってしまうことです。
年齢とともに、ターンオーバーの速度がゆるやかになって、遅くなるのはむしろ正常です。
ターンオーバーの促進が必ずしもお肌の改善につながらないことを、理解しておきましょう。
私たちは、ターンオーバーを、お肌の老化の指標である「エイジングインデックス」の8つの要素の1つとして捉え、エイジングケアにとって大切な要素であると考えています。
つまり、エイジングケアでもっとも意識すべきものの1つと考えているのです。
年齢別のターンオーバーの詳細は、「エイジングインデックスはエイジングケアの道しるべ!肌老化を数値化」をご覧ください。
<参考記事>
4.ターンオーバーが乱れる原因とは?
お肌は、細胞がターンオーバーによって定期的に入れ替わることで健やかさをキープしています。
つまり、一定のサイクルで行われることが、美肌への第一歩。
ターンオーバーは遅すぎても早すぎても肌トラブルのもととなるため、正常に保たれることが大切です。
また、ターンオーバーは、年齢が上がるにしたがって遅くなりますが、それを無理に促進させるのはよいことではありません。
ターンオーバーは、年齢に応じた正常な速度であることも大切です。
しかし、からだの内部と外部のさまざまな原因によって乱れてしまいます。
ターンオーバーの乱れの原因をチェックしてみましょう。
■ターンオーバーの乱れの原因
- お肌の老化
- 加齢
- お肌の乾燥
- 紫外線
- 酸化
- 糖化
- 誤った洗顔やクレンジング、スキンケア
- ストレスなどによる自律神経の乱れ
- 便秘
- 睡眠不足
- バランスの悪い食生活
- 女性ホルモンの減少やホルモンバランスの乱れ
- からだの冷え
- 喫煙
- 気温や気候の変化
- アトピーやアレルギーなどによる皮膚の病気
- 老人性乾皮症や皮脂欠乏性湿疹などの皮膚の病気
アルカリ性や酸性度の高いお風呂や温泉への過度な入浴
こうしてみると、加齢による新陳代謝の低下は別として、正常なターンオーバーを導くためには、日常の生活習慣のあり方とスキンケアが重要な要素であることがわかります。
また、ターンオーバーが乱れる原因は、さまざまな肌悩みやエイジングサインをもたらす原因と同じです。
だから、それぞれの年代でターンオーバーの改善や正常化を目指すことは、エイジングケアそのものといえるのです。
ターンオーバーは、お肌の内側の代謝活動なので、乱れを感じる場合には、まず栄養のもととなる食事や睡眠といった基本の生活習慣を見直しましょう。
つまり、からだの内側からアンチエイジングや健康を目指すことを意識しましょう。
では次に、ターンオーバーが乱れると、お肌にはどのような影響が出るのかをみていきます。
5.ターンオーバーの乱れでお肌はどうなる?
1)ターンオーバーが乱れると肌トラブルが増える
ターンオーバーの過程では、天然保湿因子(NMF)やセラミドなどの肌の保湿や健康に大切な成分がつくられます。
ターンオーバーが正常に整っていれば、これらの成分が十分にできます。
しかし、乱れていると不足することから、肌トラブルが増えてしまいます。
2)ターンオーバーが早すぎる場合
以下のお肌のトラブルのうち、ターンオーバーが促進されて、早くなりすぎることと関係があるのではどれでしょうか?
答えは、「すべて」です。
今、挙げたお肌のトラブルは、ターンオーバーが促進されて、早くなりすぎることが原因なのです。
もちろん、これらはお肌のターンオーバーが遅くなった場合にも起こるものですが、早すぎることが原因であることも多いのです。
早くなる要因として考えられるのは、外部からの刺激。
たとえば、紫外線が強い夏はお肌が紫外線によるダメージをすぐに修復しようとするため、ターンオーバーの周期を早めてしまうことがあります。
また、洗浄剤の界面活性剤が肌に残ること、フルーツ酸などのピーリング剤や尿素を配合した化粧品の過度な使用、収れん化粧水やふき取り化粧水の過度な使用、耐水機能を強化したベースメイク製品の影響などによって、ターンオーバーの周期を早めてしまうことがあります。
さらに、刺激の強い洗顔料やクレンジング料の使用、洗顔方法やクレンジング方法の誤り、化粧水をコットンなどでつける際の刺激も影響を与えます。
顔をゴシゴシ洗いすぎたり、角質ケアばかりしていると、ターンオーバーの乱れにつながってしまいます。
そのほかにも、熱い湯や長時間の入浴、アルカリ性または酸性などの温泉への頻回な入浴、誤った汗の処理など、お肌との何らかの接点で過度な刺激を与えるとターンオーバーの促進につながり、場合によっては早くなりすぎてしまうのです。
なぜなら、こうした刺激によって、無理やり角質が剥がれ落ちることで、その角質層よりお肌の深くにある細胞が角質層に押し上げられるからです。
つまり、ターンオーバーが過度に早くなったお肌というのは、準備ができていない未成熟な細胞がお肌の表面(角質層)に押し上げられてしまった状態なのです。
そのため、お肌は弱くて傷付きやすく、肌荒れなどを起こしやすくなります。
また、保水つまり水分を保持することが難しくなり、乾燥したり、敏感肌になることも。
ターンオーバーの乱れというと、遅くなる方に目が向けられがちですが、今説明したとおり、適切なスキンケア、エイジングケアができていないことで、過度に早めてしまっている場合があるので、注意が必要です。
特に、敏感肌の方は、ターンオーバーが促進して早くなりすぎている可能性があるのでより注意が必要です。
また、そんな症状がある場合は原因を特定して早く対処することが大切です。
なお、敏感肌についての詳しい情報は、「敏感肌を改善!症状・原因と10のエイジングケア対策のコツ」をご覧ください。
3)ターンオーバーが遅すぎる場合
ターンオーバーの周期が長くなると、古い細胞がお肌に留まって出ていかないため、新しい肌細胞がつくられにくくなります。
さらに、自然にはがれるはずの垢(老廃物)がいつまでもはがれず、お肌の表面を覆ったままになり、角質が厚くなる(角質肥厚)ことでさまざまな肌トラブルがあらわれます。
また、先ほど説明したように、メラニンがお肌に留まってシミもできやすくなるのです。
などは、ターンオーバーが遅くなっているサインです。
ターンオーバーが遅くなるのは、お肌の代謝の低下が原因です。
年齢によってからだ全体の代謝が低下してしまうこともその原因ですが、これは誰にも起こることです。
年齢に応じて、ターンオーバーがゆっくり低下してしまうことは大きな問題ではありません。
ストレスや睡眠不足などの要素で、過度にターンオーバーが遅くなることが問題なのです。
また、体温の低下もターンオーバーが遅くなる原因です。
冬の季節は、気温、湿度が低くなり、体温も下がります。
そうなるとお肌の代謝も下がり、顔冷えなどによってターンオーバーが遅くなってしまいます。
さらに、夏でも汗をしっかり拭かないなどで、肌表面の角質は剥がれ落ちにくくなり、ターンオーバーを遅らせる場合があります。
お肌の細胞と細胞の間には、潤い成分である「天然保湿因子(NMF)」やセラミドなどの「角質細胞間脂質」が存在しますが、これらは新陳代謝の過程でつくられるものなので、ターンオーバーがスムーズにいかないとつくられにくくなり、バリア機能が低下し、乾燥肌を招くことにもつながります。
お肌が乾燥すると、化粧水、美容液、乳液、保湿クリームなどで保湿成分を補おうとしますが、古い角質が留まったままのお肌には、大切な保湿成分も浸透していきません。
きちんとスキンケア、エイジングケアをしているのに乾燥が改善されない場合など、まずはターンオーバーの周期を整えることを心掛けましょう。
6.ターンオーバーを整える生活
では、乱れてしまったターンオーバーを正常に導くにはどうすればいいのでしょうか。
まず基本となる対処法は、からだの内側からターンオーバーを整えること。
そのために、「食事」や「睡眠」などの生活習慣を見直してみましょう。
そして、アンチエイジングや健康を意識した生活習慣を身につけましょう。
1)ターンオーバー正常化のための栄養素
バランスのよい食事は特に大切。
たんぱく質、炭水化物、脂質をバランスよく摂りましょう。
また、皮膚や粘膜を丈夫にし、肌荒れや老化を予防する効果が期待できるビタミンA、抗酸化作用に優れ保湿にも有効とされるビタミンC、お肌の新陳代謝を高め、皮膚細胞を活性化するビタミンB2、B6などを豊富に含む食品を積極的に摂取しましょう。
ビタミンEも抗酸化作用があるのであわせて摂りたい成分です。
さらに、鉄や亜鉛、L-システインなどのミネラルもターンオーバーの改善に大切です。
ぜひ、下記を参考に栄養素の摂り方をセルフチェックしてみましょう。
◎ビタミンAを豊富に含む食べ物は、うなぎ、レバー、卵、牛乳、チーズなどです。
◎ビタミンCを豊富に含む食べ物は、赤パプリカ、黄パプリカ、ブロッコリー、ゆず、パセリ、芽キャベツ、キウイ、レモンなどです。
◎ビタミンB2を豊富に含む食べ物は、牛・豚・鶏のレバー、うなぎ、キャビア、うずらの卵、納豆などです。
◎ビタミンB6を豊富に含む食べ物は、にんにく、マグロ、カツオ、酒かす、牛レバーなどです。
◎ビタミンEを豊富に含む食べ物は、アーモンド、落花生、ひまわり油、サフラワー油、コーン油、うなぎ、はまちなどです。
◎亜鉛を豊富に含む食べ物は、牡蠣(生)、ビーフジャーキー、パルメザンチーズ、煮干、ピュアココア、豚レバーなどです。
◎鉄分を豊富に含む食べ物は、あさり佃煮 、干しエビ 、豚レバー 、鶏レバー、 パセリ、卵黄などです。
◎L-システインを含むシステイン(シスチン)を豊富に含む食べ物は、小麦、大豆、かつお節などです。
また、体内の腸内環境を食物繊維や乳酸菌で整えることは、便秘の予防や解消に加えて、ターンオーバーの正常化に役立ちします。
水溶性食物繊維は、ニンニク、ゆず、ゆりね、ごぼう、納豆、きんかん、アボカド、オクラ、サツマイモなどに豊富です。
また、不溶性食物繊維は、豆類、おから、あずき、しそ、くり、パセリ、納豆、とんぶり、エリンギ、レタスに豊富です。
善玉菌は、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などに豊富です。
このように美肌のための野菜やフルーツなどの食べ物がたくさんあります。
これらを上手に摂って、腸内フローラを整えてターンオーバーが整った美肌を目指しましょう。
さらに、緑茶やコーヒー、ダークチョコレートなどにも抗酸化成分が豊富なのでカラダのアンチエイジングやヘルスケア、ターンオーバーの改善、肌質の改善などにつながります。
適度にこれらの飲料や嗜好品も摂り入れましょう。
ただ、どうしても食べ物だけで栄養素が不足する場合は、サプリメントなどで補うのもよい方法です。
積極的に摂取したい栄養素とその食品については、「美肌をもたらす食べ物と飲み物は?その種類から栄養素まで」や「美肌のための食事のとり方とアンチエイジングへの効果は?」、「スーパーフードはアンチエイジング・美容・ダイエットに効果!」を参考にしてください。
ぜひ、バランスよく栄養素を摂れるように自分なりのレシピを考えてくださいね。
なお、急激なダイエットはお肌のターンオーバーを乱すだけでなく、たるみの原因になります。
ダイエットで体重を管理することは健康にとって大切ですが、極端な方法は控えましょう。
同じ食材でも、調理方法によって栄養素の摂取効率が変わることがあります。代表的なのは緑黄色野菜で、そのまま食べるよりも加熱して温野菜にした方が、効率よく栄養素を取り入れられます。
ただし、100℃以上の高温で調理するとお肌の老化を進める物質「AGEs」が発生しやすくなるので注意しましょう。
<参考記事>
*【医師監修】効果的なエイジングケアのためにビタミンAを正しく知ろう
*皮膚科医に聞く「肌のターンオーバーを促進する方法」食べ物・サプリ・美容液
2)ターンオーバー正常化のための睡眠
また、お肌のターンオーバーは、眠っている間に行われるため、睡眠時間もしっかりと確保したいですね。
なぜなら、睡眠と活性酸素を取り除くメラトニンという物質が深くかかわっているからです。
メラトニンは、目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると、体内時計からの指令が出て分泌されます。(*3)
<(*3)参照記事>
メラトニン
たとえば、朝7時に起きると夜の9時~11時にメラトニンの分泌が高まります。
そのはたらきで、この時間帯に深部体温が低下して、眠気を感じるようになります。
体内時計にあわせて、この時間帯に眠っていれば、活性酸素が睡眠とともに取り除かれ、ターンオーバーの正常化をサポートするのです。
また、成長ホルモンが多く分泌されるのは、質の高い深い睡眠に入っている時です。
成長ホルモンもお肌のターンオーバーのために欠かせない物質です。
成長ホルモンのおかげで、寝ている間にお肌が、ターンオーバーで新しく生まれ変わっているのです。
もし、睡眠時間が短い日が続いたり、熟睡できない日が続けば、メラトニンや成長ホルモンに加えて、女性ホルモンも影響を受けます。
美肌ホルモンとも呼ばれる女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減ると、お肌が乾燥しやすくなってターンオーバーまで遅れをもたらします。
眠りや夜のスキンケアついては、「夜の上手なスキンケアとエイジングケアでハリ・ツヤ美肌!」や「美肌は質の高い睡眠中に作られる!3つのホルモンを活かす4つの対策」をぜひお読みください。
近年はスマートフォンの普及により、眠る直前までLINEやSNSをチェックしている方が多いと思いますが、液晶画面の光は脳を覚醒させてしまい、眠りを妨げてしまいます。眠る1時間前にはスマートフォンの使用をやめましょう。
電気の明かりも入眠を妨げるので、同じタイミングで消しておきます。
3)ターンオーバー正常化のための運動・温活・マッサージ
また、血液の流れを促進するために適度な運動も大切です。
特別なことでなくても、ストレッチやウォーキングなど自分ができる範囲の中で、ちょっとした合間に行うとよいでしょう。
フェイスマッサージも血行促進にはプラスです。
ただし、強く擦るなどで肌へのダメージを与えないように、マッサージクリームを使って優しく行いましょう。
ターンオーバーの正常化のためのウォーキングについては、「エイジングケアに良い姿勢とウォーキング|高岡よしみさん」を参考にしてみてください。
さらに、冬には「温活」で冷え対策を行うこともターンオーバーを正常化するために効果的です。
このように、「食事」「睡眠」「運動」は、ターンオーバーの正常化に大きな影響があるのです。
4)日常生活で気を付けたいそのほかのこと
ターンオーバーの原因としてリストアップしたほかの原因、つまり、ストレス、酸化、糖化、女性ホルモン減少、喫煙などを避けることが大切です。
また、便秘など胃腸の不調も悪影響を及ぼします。
さらに、春や秋の花粉で花粉症皮膚炎になることもターンオーバーの乱れをもたらします。
マスクなどで花粉を回避することも大切です。
ターンオーバーの正常化の生活習慣については、次の記事を参考にしてください。
*喫煙(タバコ)で肌老化・スモーカーズフェイスになる原因と対策
*ストレスオフの女性がこの2年で増加!そのリラックス方法TOP10
*ストレスオフの秘訣は「音楽習慣」だった! 20代からシニアまで大調査
7.ターンオーバーを整えるスキンケアとエイジングケア
ターンオーバーを整える、つまり正常化の基本はスキンケアの基本と同じです。
それは、「清潔を保つ正しい洗顔・クレンジング」、「保湿」、「紫外線対策」の3つです。
食事や睡眠などの日常生活もしっかり意識しているのに、ターンオーバーが乱れてしまう場合は、この3つのいずれか、または複数に問題があるはずです。
ここからは、この3つやそのほかの実際的なスキンケアやエイジングケアについて説明します。
1)ターンオーバーと洗顔
スキンケアの中で、特にターンオーバーと関わりの深いものが「洗顔」です。
正しく洗顔を行えば、ターンオーバーの正常化に役立ちますが、誤った洗顔はターンオーバーの乱れにつながります。
洗顔は、汗やほこり、酸化した皮脂などの汚れを取り除き、素肌を健やかにして、ターンオーバーを正常化するための大切な手段です。
皮脂が酸化すれば、エイジングを加速する「過酸化脂質」が肌表面に増えます。
過酸化脂質は、毛穴の悩みやニキビの原因になります。
また、ホコリなどの汚れをそのままにしていれば、皮膚常在菌や顔ダニのバランスが崩れ、肌荒れやニキビの原因にもなります。
こうした肌トラブルを防ぐために、肌の表面に押し上げられた古い角質を洗顔で落とすことは、極めて大切です。
しかし、刺激の強い洗顔や洗いすぎで、お肌を傷付けたり、セラミドを流しすぎたりすると、ターンオーバーを早めてしまうのです。
洗顔や洗顔料の選び方については、次の記事で具体的な方法を解説していますので、こちらをご覧ください。
*洗顔の正しい方法と洗顔料の使い方10選!乾燥肌なら特に注意!
*ダブル洗顔のメリットとデメリット!正しい方法は肌質や年齢で違う
2)酵素洗顔を利用してターンオーバーを正常化する
ターンオーバーが遅すぎる場合、ターンオーバーを正常化するために取り入れたいスキンケアが「酵素洗顔」です。
酵素洗顔とは、たんぱく質や脂肪などを分解するパパインなどの酵素を配合した洗顔料を使って洗顔すること。
酵素洗顔のエイジングケア効果としては、次の2つの効果を期待できます。
①遅すぎるターンオーバーを正常化する
②古い角質や角栓を取り除く
酵素洗顔の基本からエイジングケアへの効果、使い方のポイントまでを詳しくまとめた「酵素洗顔とパウダーの全て!ランキング無用の正しい選び方」を参考にしてください。
実は、お肌の角質や角栓の70%はたんぱく質でできています。
酵素洗顔は、ターンオーバーの周期が遅くなったお肌に使用すると、古い角質や角栓、余分な皮脂を分解して取り除き、新しい角質をつくろうとするはたらきを促してくれます。
その結果、ターンオーバーが正常化し、くすみやごわつきの改善、お肌の透明感アップ、また毛穴の黒ずみが目立たなくなるという効果も期待できるのです。
週1~3回程度を定期的に使用することで、健全なターンオーバーを保ち、肌トラブルのない素肌へ。
また、化粧品の浸透性もよくなることから、エイジングケア化粧品の効果も高まります。
ただし、酵素洗顔の使いすぎはターンオーバーを早めてしまいます。
使用する際には、ご自身のお肌の状態を把握し、適切な方法で使用するようにしましょう。
年齢を重ねたお肌にとっての効果的な酵素洗顔の取り入れ方を「酵素洗顔活用法!40代や50代からのエイジングケアのコツ」に解説しています。
こちらも参考にしてください。
ターンオーバーの遅れが原因の毛穴の黒ずみの対策は、「毛穴の黒ずみは酵素洗顔で解消!?正しいエイジングケアは?」を参考にしてください。
なお、ターンオーバーが遅い場合は、ピーリング洗顔なども良い方法です。
ピーリング洗顔は皮脂やくすみ、毛穴の黒ずみにお悩みの方におすすめです。ただし、こちらも使いすぎるとお肌を傷つけてしまうので、週に1〜2回の使用頻度を守りましょう。
また、ピーリング洗顔をした後のお肌は刺激に弱くなっています。ピーリング洗顔後は、いつも以上に入念な保湿ケアをしてください。
<参考記事>
*皮膚科医に聞く「角栓が自然に取れるまで」間違いネット常識についても解説!
3)ターンオーバー正常化のためのメイクとクレンジング
ターンオーバーのことを考えれば、メイクはどちらかといえばマイナスです。
メイクのメリットは、紫外線対策になり得ることですが、それを除けば濃いメイクはマイナスが大きいのです。
なぜなら、メイク自体が刺激になってしまうことと、メイク落としのためにクレンジングをせざるを得ないからです。
しかし、女性にとってメイクは日常における必須のもの。
これ自体をやめることは現実的ではありません。
お肌が健康な状態であれば、自分の肌に合ったクレンジング料を選んで、刺激のないクレンジングを行えば問題はありません。
ターンオーバーの正常化のため、30代からのエイジングケア世代の方には、クレンジング料はジェルタイプ、クリームタイプ、ミルクタイプでアミノ酸系界面活性剤配合のものがオススメです。
また、エイジングケア世代の方はお肌に優しい乾燥肌や敏感肌向けのクレンジング料を選びましょう。
しかし、お肌の状態がよくない場合には、できるだけ濃いメイクを控えることが、ターンオーバーの正常化の点では大切です。
特にお肌のコンディションが良くない日は、メイクをしただけで刺激になり、痒みや赤みの原因になってしまいます。お肌の調子が良くないと感じた日は、お肌への刺激が少ない敏感肌用や、アルコール・香料フリーのアイテムなどを使いましょう。
なお、メイクをしたままクレンジングしないでいると、過酸化脂質ができて肌トラブルの原因になるので、メイクをした日は必ずクレンジングを行いましょう。
特に、いちご鼻を防ぐためにクレンジングで毛穴の汚れをしっかり落とすことが大切です。
クレンジングについては、「クレンジングの効果アップ!メイク落としの選び方と使い方」や「セラミドを減らさないクレンジングと洗顔の選び方とは?」をご覧ください。
<参考記事>
4)ターンオーバーの正常化のための保湿とは?
①保湿の基本をおさらい
保湿がターンオーバー正常化の基本なので、基礎化粧品、保湿化粧品もその役割を担います。
エイジングケア世代の女性の場合は、洗顔や酵素洗顔以外にも、エイジングケア化粧品もターンオーバーの正常化をサポートする手段の1つです。
ターンオーバーが遅くても早くても、お肌のバリア機能が低下している場合が多いのです。
そんな場合、大切なのはバリア機能を正常化することです。
保湿の3大要素は、「皮脂膜」、「天然保湿因子(NMF)」、「角質細胞間脂質」です。
この3つが健やかな状態であれば、皮膚常在菌のはたらきと相まって、乾燥がない、つまり、角層の中に20%~30%程度の適切な量の水分がある十分に保湿されたお肌を得ることができます。
この状態であれば、バリア機能も正常であって、ターンオーバーも整っています。
洗顔後のスキンケアで目指すのは、この状態なのです。
ここで気をつけるべきは、過剰なスキンケアです。
人の肌は、もともと、自ら保湿できる力が備わっているので、スキンケアはそれをサポートすることが本来の役割です。
ですから、日常生活のバランスの悪さをスキンケアだけで取り戻すというのは、誤った考え方であることも理解しておきましょう。
保湿成分については、エモリエントとヒューメクタントがあります。
エモリエントの代表はアルガンオイルやスクワランオイルなどの美容オイル、シアバター、ワセリンなどです。
また、セラミドやコレステロール、スフィンゴ脂質は油分ですが、オイルとは違って水分を挟み込むはたらきがあります。
ヒューメクタントとしては、アミノ酸、BG、グリセリン、PCA-Naが基本的な成分です。
ほかにも、水分を抱えむ成分であるヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカンなどが有名です。
また、医薬品や医薬部外品として使われるヘパリン類似物質もヒューメクタントの一種です。
<保湿成分の分類>
なお、保湿については、「お肌の保湿とは?本当にわかるスキンケアの基本と保湿成分」を参考にしてください。
乾燥肌の原因や対策については、「乾燥肌とは?原因は12の要素!メカニズムを知ることで対策」、「乾燥肌の予防や改善対策は正しいエイジングケアが大切!」を参考にしてください。
エモリエントは水分の蒸発を防ぐ成分、ヒューメクタントは水分を保持する成分です。一見同じような成分に思えますが、エモリエントは皮脂の分泌が少ないお肌の方、ヒューメクタントは皮脂の分泌が多いお肌の方の使用が適しています。ご自身のお肌の状態に併せて使い分けましょう。
②基礎化粧品の役割と使い方の基本
アットコスメなどでは、化粧水ランキングや美容液ランキングなどでさまざまな基礎化粧品が紹介されたり、雑誌やウェブでおすすめの化粧水やおすすめの美容液が紹介されます。
そんな基礎化粧品は、ターンオーバーの正常化のためにどのように選び、使えばよいでしょうか?
まず、化粧水は保湿化粧水を選ぶことが基本です。
美容液や保湿クリームも同じです。
高保湿の乾燥肌ケアの美容液や乾燥肌ケアの保湿クリームを選びましょう。
20代などでは保湿化粧水だけで十分お肌が潤いますが、30代になると化粧水だけでは乾燥する場合があるので、美容液や保湿クリームを追加しましょう。
また、冬の乾燥肌対策には美容オイルを追加してもよいでしょう。
なぜなら、化粧水、美容液、保湿クリームにはそれぞれ得意な役割が異なるからです。
化粧水、美容液、乳液、保湿クリームが、「保湿」のどのプロセスが得意なのかは、次の表を参考にしてください。
<基礎化粧品の役割>
水分を与える | 水分を保持する | 水分の蒸発を防ぐ | エイジングケア | |
化粧水 | ◎ | 〇 | △ | 可能 |
美容液 | 〇 | ◎ | 〇 | 可能 |
乳液 | △ | 〇 | ◎ | 可能 |
保湿クリーム | △ | 〇 | ◎ | 可能 |
化粧品を使う順番は、
化粧水→美容液→乳液→保湿クリーム→美容オイル
が基本です。
<参考記事>
*化粧水、美容液、乳液、保湿クリームの役割の違いとつける順番は?
③エイジングケア化粧品でターンオーバーを正常化
エイジングケアを始めるのは、30歳前後の場合が多いと思います。
では、30代からのエイジングケア世代の女性にとって、どんなエイジングケア化粧品がターンオーバーの正常化をサポートするのでしょうか?
当たり前の答えですが、お肌の「保湿力」をアップさせるエイジングケア化粧品成分が配合されたものがオススメです。
そんなエイジングケア化粧品成分の1つは「ヒト型のセラミド」です。
ヒト型のセラミドは、バリア機能をサポートすることで、お肌の保湿力をアップさせ、ターンオーバーを正常に導くエイジングケア化粧品成分です。
油溶性のセラミドはセラミド配合化粧水よりも、セラミド配合美容液、セラミド配合クリームで補うほうがベターです。
セラミドについての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
もう1つのエイジングケア化粧品成分は「ナールスゲン」です。
ナールスゲンとは、京都大学と大阪市立大学で共同開発されたエイジングケア化粧品成分で、お肌の表皮の水分を保持することで、じっくりと時間をかけてお肌が本来持つはたらきを取り戻すサポートをします。
その結果、ターンオーバーの正常化をもたらします。
2012年に開発された新しいエイジングケア化粧品成分ですが、今は10種以上のエイジングケア化粧品に配合されています。
ナールスゲンについての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
さらに、ターンオーバーをサポートする成分には、EGF(上皮成長因子)やFGF(線維芽細胞増殖因子)といった成長因子、それらを含むヒト幹細胞培養液やプラセンンタエキスなどが有名です。
今まで、セラミドやナールスゲン、幹細胞培養液などを試したことがなく、これらが配合された化粧品を初めて使う場合は、ターンオーバーの期間プラス2カ月、できれば3カ月間は続けましょう。
その理由は、「ターンオーバーの周期で考えるエイジングケア化粧品の使い方」をご覧ください。
また、年代別のエイジングケア化粧品の選び方は、次の記事を参考にしてください。
*60代・70代でも大切!エイジングケア化粧品の選び方と使い方
5)ターンオーバー正常化のための紫外線対策
紫外線ダメージもターンオーバー正常化の敵。
紫外線を浴びると、その刺激で細胞の「膜」と「核」が過酸化することでダメージを与えます。
<紫外線による酸化の肌ダメージ>
そうなると、お肌は防御機能でメラニンをつくったり、お肌の修復のために角質細胞を早くつくろうとするのです。
これが、紫外線がお肌のターンオーバーを早める原因です。
ターンオーバー正常化のための紫外線対策といっても、特別な対策があるわけではありません。
夏場は特に意識して、日焼け止めは忘れないこと、衣服や日傘、紫外線カット機能付きサングラスなども利用して紫外線対策を行うことが大切です。
また、冬でも紫外線A波(UVA)は降り注いでいるので、まったく何もしないのは危険です。
とくに、ロングUVAには注意しましょう。
肌老化予防やターンオーバーを乱さないためにも、冬でも紫外線対策を行いましょう。
通常なら、ファンデーションでも十分ですが、長い時間陽に当たる場合は、日焼け止めを使いましょう。
エイジングケア世代なら、お肌に優しいノンケミカルの日焼け止めがおすすめです。
また、UVカット効果のある化粧下地なども活用しましょう。
紫外線対策の詳細は、「紫外線対策こそエイジングケア!日焼けダメージの肌老化を防ぐ対策」をご覧ください。
なお、夏でも冬でも紫外線のアフターケアが大切です。
抗酸化作用のあるビタミンACE(エース)の豊富な食べ物を摂ったり、ビタミンA誘導体(レチノール、レチノイン酸トコフェリルなど)、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体の配合されたエイジングケア化粧品を外出の前後に使うこともよい対策の1つです。
中でもビタミンC誘導体化粧水は、ニキビ予防や美白効果もあるので、脂性肌(オイリー肌)の方のターンオーバー改善にはオススメです。
紫外線のアフターケアは、「外出時の紫外線による日焼けのアフターケアはビタミンACEで!」をご覧ください。
<参考記事>
*「体の錆びを予防する」抗酸化ビタミンのA、E、Cを含む食品を紹介
6)ターンオーバー正常化とピーリング
①ホームピーリング
ピーリングもお肌のターンオーバーの正常化の1つの手段です。
家庭で使うピーリング化粧品は、クエン酸、グリコール酸、フルーツ酸などの酸であるAHAが配合されたものです。
ピーリングとは、酸などの力で古くなった角質を取り除き、お肌を生まれ変わらせる、つまりターンオーバーを促進させる方法です。
したがって、ピーリングはお肌のターンオーバーが遅くなっている場合には有効な手段の1つです。
しかし、逆にターンオーバーを過度に促進させるリスクもあるのです。
これは酵素洗顔などと同じです。
やり過ぎは、ターンオーバーを過度に促進させて肌を過敏にするのでNGです。
ターンオーバーが遅い場合は、試してみる価値のある方法ですが、週1~2回程度でとどめましょう。
また、強い刺激を感じる場合には使用しないほうがよいでしょう。
なお、ピーリングや酵素洗顔の後は、刺激が強くなりすぎるのでふき取り化粧水は使わないようにしましょう。
②ケミカルピーリング
皮膚科や美容クリニックでは、治療の一環として行うケミカルピーリングがあります。
こちらは、AHAだけでなくもっと効果の高いBHA(ベータハイドロキシ酸)を使って、肌のターンオーバーを促進する方法です。
シミ、そばかす、くすみ、にきび、にきび跡、小じわ、毛穴の開きなどを改善するための治療に使います。
ケミカルピーリングを受ける場合は、皮膚科や美容クリニックのドクターと相談しましょう。
8.さまざまなお肌の悩みとターンオーバー
1)ターンオーバーが整えば多くの肌悩みは減る
しわ、ほうれい線、毛穴、くすみ、しみなどお肌の悩みにはさまざまなものがあります。
これらの肌悩みは、年齢とともに深くなっていきます。
さて、これらとターンオーバーにはどんな関係があるのでしょうか?
荒っぽくいえば、エイジングサインはすべてターンオーバーの乱れが原因なのです。
なぜなら、多くの肌悩みには、ほとんどお肌の乾燥が関わっているからです。
そして、お肌の乾燥をもたらしている原因の1つがターンオーバーの乱れです。
また、逆にお肌の乾燥が、ターンオーバーの乱れの原因になることもあるのです。
こう考えると、しわ、ほうれい線、毛穴、くすみ、目の下のくま、シミなどお肌の悩みの原因には、ターンオーバーの乱れが関わっている可能性が高いことがおわかりいただけると思います。
エイジングケアアカデミーでは、しわ、ほうれい線、毛穴、くすみ、目の下のくま、シミなどさまざまな肌悩みの原因と対策についての記事を用意しています。
それらをお読みいただくとおわかりになると思いますが、対策の基本はすべて同じなのです。
それは、バランスの取れた日常生活を基本として、正しい洗顔、保湿、紫外線対策をしっかり行うこと。
つまり、この基本さえしっかり実践すれば、ターンオーバーは正常化されて、多くの肌悩みの対策になるのです。
もちろん、それぞれのお肌の悩みには、固有の原因もあるので、ターンオーバーの正常化ですべてが解決するわけではありませんが、基本はカバーできるのです。
バランスの取れた日常生活は、からだ全体の健康にもつながります。
基本に忠実であることが大切なのは、すべてにおいて共通していますね。
それぞれのお肌悩みの対策は、次の記事を参考にしてください。
しわ対策
毛穴対策
*たるみ毛穴を改善するエイジングケア!原因・症状と10の対策
ほうれい線対策
*ほうれい線の原因と10代、20代、30代、40代、50代の特徴
目の下のくま対策
くすみ対策
2)マスク生活とターンオーバー
2020年以降、新型コロナウイルス感染予防対策として、マスク生活が日常となりました。
マスクの摩擦でバリア機能が低下し、それがターンオーバーの乱れにつながることがあります。
また、一見しっとり潤っているように感じるマスクの内側は、マスクを外すと一気に水分が蒸発し、肌の水分も同時に奪うため乾燥肌になります。
マスクのつけ外しによって交互に不安定な環境にさらされることで、肌のバリア機能が低下すると、肌のターンオーバーも乱れやすくなるのです。
<参考記事>
*マスクによる肌荒れ・肌ダメージを防ぐ!選び方と使用時のスキンケア
マスクによるお肌のトラブルを防ぐには、オーガニックコットンやガーゼ、シルク混素材のように、お肌に優しい素材のマスクを選ぶことが大切です。シアバターやオリーブオイルのような保湿成分が使われているマスクもおすすめです。
また、マスクを外した後は洗顔と保湿をして、丁寧なケアをしましょう。
9.顔以外のパーツのターンオーバーの正常化も意識しよう
ターンオーバーは、顔だけではなく、からだ全体のことも意識しましょう。
ボディケアや乾燥肌対策の一環として、手肌、唇(リップ)、デコルテ、ひじ、ひざ、かかと、頭皮のターンオーバーについて簡単にご紹介します。
1)手肌のターンオーバー
手肌は角質層が厚いのですが、外部刺激が大きいことから手の甲、手の平ともにターンオーバーが速いと考えられています。
そんな手肌は、顔のお肌より刺激に強いのですが、水仕事などで酷使しがちです。
手肌は保湿を怠ると手荒れになりやすいので、ハンドクリームでスキンケアを行いましょう。
また、水を使う場合は、手袋などで乾燥を防ぐことも大切です。
なお、手荒れがひどくてひび割れ・あかぎれがある場合、手湿疹や進行性指掌角皮症の場合は、皮膚科を受診しましょう。
2)唇のターンオーバー
唇は皮膚が薄く、乾燥しやすいパーツで粘膜のような性質があります。
唇のターンオーバーは、7日程度なので顔よりとても速いのです。
だから、トラブルがあっても比較的治りやすいのです。
しかし、乾燥で唇の縦線が目立つこともあります。
リップクリームやマスクなどを利用して、保湿でターンオーバーの正常化を心がけましょう。
3)デコルテのターンオーバー
デコルテは、洋服やアクセサリーによる摩擦や刺激があること、皮脂が少ないことなどから、ターンオーバーが乱れやすいパーツです。
また、刺激や汗などでデコルテのニキビもできやすいのです。
だから、デコルテもターンオーバーの正常化のために乾燥肌の予防や改善が大切です。
デコルテのケアは、「デコルテのケアなら効果的な化粧品で魅せる素肌へ導く」を参考にしてください。
4)ひじ・ひざ・かかとのターンオーバー
ひじやひざ、かかとは、皮膚が厚くターンオーバーの期間が長いことが特徴です。
また、顔のお肌などに比べて皮脂腺が少なく、皮脂の分泌が十分ではありません。
だから、角質が厚くなったり、乾燥しやすいのです。
ひじやひざの黒ずみはターンオーバーが遅くなりすぎていることが原因です。
また、かかとはカサカサが大きくなってひび割れを起こしやすいパーツです。
ひじやひざ、かかとのケアやターンオーバー改善には、尿素配合のボディクリームを使ったり、ピーリングでの角質ケアが必要な場合があります。
5)頭皮の保湿も大切
頭皮のターンオーバーは、顔に近い速さと考えられています。
そんな頭皮は、頭皮ケアやヘアケアを怠ると薄毛や抜け毛などのトラブルの原因になります。
また、頭皮の老化が招くたるみはおでこのしわやまぶたのたるみなどの原因になってしまうこともあります。
シャンプーやリンス、トリートメントなどのヘアケア商品も、キューティクルの保護や保湿がしっかりとできるものを選びましょう。
10.まとめ
お肌が新しく生まれ変わるターンオーバーのしくみ、正常に保つことの大切さを理解していただけましたか?
また、周期や乱れの原因などはいかがでしたでしょうか?
ターンオーバーは、促進が大切なのではなく、正常化が大切であることがおわかりいただけたと思います。
特に、エイジングケア世代では、過度な促進がバリア機能低下につながるので、注意しましょう。
ターンオーバーの正常化の基本は、バランスの取れた日常生活とスキンケアの基本である「正しい洗顔」、「保湿」、「紫外線対策」の3つです。
まずは、このことをしっかり理解し、実践しましょう。
また、加齢とともに低下するお肌の新陳代謝を促し、トラブルのない素肌へと導く酵素洗顔やエイジングケア化粧品についてもご説明しました。
ぜひ、日頃のスキンケア、エイジングケアでターンオーバーを正常化し、健やかな素肌づくりにお役立てください。
この記事「お肌のターンオーバーの改善と正常化は促進だけではNG!」が、エイジングケア世代の皆様のお役に立てば幸いです。
★ナールスブランドの保湿クリーム
*3種のヒト型セラミド&ナールスゲン配合保湿クリーム「ナールス ユニバ」
<PR>
一台6役のオールインワン美顔器「RFボーテ フォトプラスEX」
★毛穴ケア、リフトケア(※1)、エイジングケア(※2)、目元ケア、ひきしめ、うるおい/その日のお肌に合わせて自由にカスタマイズ!コースは全63通り!/サークルRFリフトテクノロジーで角質層のすみずみまでアプローチ/温めながら毛穴ケア・うるおい保湿/海外でも使える★
※1引き上げるように動かすこと ※2年齢に応じた肌ケアのこと
通常価格:45,000円(税抜)送料無料・代引手数料無料
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報をご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
ぜひ、ご登録をお待ちしております。
▶キレイと健康のお役立ち情報が届く、ナールスのメルマガ登録はこちらから
nahlsエイジングケアアカデミーを訪れていただき、ありがとうございます。nahlsエイジングケアアカデミーでは啓発的な内容が中心ですが、ナールスコムでは、ナールスブランドの製品情報だけでなく、お客様にご参加いただいた座談会やスキンケア・エイジングケアのお役に立つコンテンツが満載です。きっと、あなたにとって、必要な情報が見つかると思います。下記から、どうぞ。ナールスゲン配合エイジングケア化粧品なら「ナールスコム」
SNS Share
\ この記事をシェアする /