セラミドは、お肌の保湿と保護に重要な役割を果たしています。
セラミドが不足すると角質層は水分が保持できなくなり、お肌は乾燥してカサカサの状態に。
また、さまざまな肌トラブルの原因にもなってしまいます。
セラミド不足を改善するためには、セラミドを補給すること。
補給の方法としては、
- セラミド配合化粧品を直接お肌につける
- セラミドを含む食品を摂取する
という、お肌の外側と内側の両方からのアプローチがあります。
この記事では、セラミドを食べ物や飲み物などから摂取する場合に期待できる効果や、摂取する際のポイントなどについて説明します。
毎日の食生活の中で、セラミド不足を補うことによって、若々しく健やかな素肌づくりにお役立てくださいね。
また、この記事は各章にまとめをつけておりますので、お時間がない方はまとめをお読みいただき、ポイントをつかんでください。
管理栄養士松岡幸代先生
◆栄養マネージメント
◆オフィス Crecer(クレセール)
◆管理栄養士
◆ヘルスコーチジャパン認定コーチ 産業カウンセラー
京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室 研究員として15年肥満、代謝の研究に従事し、生活習慣病予防・糖尿病の重症化予防に現在も力を入れています。
「食べることは生きる事!」食を通して健康で若々しいカラダづくりのサポートをさせていただきます。
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
*乾燥肌の原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
CONTENTS
1.セラミドで美肌をキープしたいあなたへ
セラミドは、いまや、多くの方が知っている美肌のための保湿成分。
セラミドは、もともと人が持っている成分で、お肌の保湿とバリア機能に大きく関わり、エイジングケアにとって大切な役割を果たしています。
しかし、身体の中のセラミドの量は、年齢を重ねたり、外部環境や生活習慣によって減少してしまいます。
セラミドが減少すると、角質層の保水機能やバリア機能が低下し、その結果、皮膚は乾燥しやすくなり、肌老化が進んでしまいます。
そんな場合、エイジングケア化粧品に含まれるセラミドをお肌に補うことが必要ですが、実は、私たちが普段食べている食べ物や食品にもセラミドやその類似成分が含まれており、食事から取り入れることも可能なのです。
もちろん、食べたセラミドが、そのままお肌のセラミドになるわけではありません。
しかし、セラミドをつくる力をサポートするため、意識して摂取することは、エイジングケアに欠かせない美肌成分を補給する対策の1つといえます。
また、セラミドを含む食べ物やそのエキスなどを摂ることで乾燥肌対策やくすみ、シミ対策になるかどうかの研究がいくつか実施されています。
もちろん、乾燥を防ぐことでしわ対策にもなります。
この記事では、セラミドを食べ物や飲み物などから摂る場合の効果とその方法や注意点などを幅広くご紹介します。
「セラミドってどんな成分?」
「グルコシルセラミドやスフィンゴ脂質って?」
「セラミドは食べても意味があるの?」
「どんな食べ物にセラミドが多く含まれるの?」
「セラミドを増やす食べ物って?」
「セラミドを摂るときの注意や工夫は?」
「セラミドを含む食べ物のお肌への効果は?」
などを知りたい方は、ぜひ、続きをお読みください。
<セラミドをキープするために>
3種のヒト型セラミドでお肌の潤いをキープ
セラミド&ナールスゲン配合エイジングケア保湿クリーム「ナールスユニバ」
- セラミドは、お肌の保湿やバリア機能のための大切な成分です。
- セラミドはもともとお肌にあるものですが、加齢やストレスなどによって減少してしまいます。
- セラミドの補給方法としては、お肌の内側(食べ物、飲み物)と外側(化粧品)の両面を考えることが大切です。
- セラミドを食べ物から摂ることで、確実にセラミドが増えるというエビデンスはありませんが、いくつかの研究ではバリア機能の改善や乾燥肌の改善などが示されています。
- セラミドを含む食べ物や、増やす食べ物で、長期的なエイジングケアを考えることは意味があります。
- セラミドを減らす食べ物もあるので、それらを過度に摂らないように注意しましょう。
- 食べ物だけでセラミドを増やすのではなく、セラミド配合の化粧品で保湿することも必要です。
2.セラミドとは?
1)セラミドとスフィンゴ脂質
セラミドの発見は、1950年に遡ります。しかし、研究が進んだのは1980年代。次第に、お肌のバリア機能の担い手として大切であることが認識され、アトピー性皮膚炎などの病気との関係の研究、化粧品成分としての開発、食べ物やサプリメントから摂取した場合の保湿などへの効果の研究なども進みつつあります。
セラミドについては、エイジングケアアカデミーの記事でいくつも紹介していますので、ここでは簡単におさらいします。
セラミドとは、お肌だけではなく、さまざまな細胞の「細胞膜」にある脂質の一種です。
セラミドは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合したスフィンゴ脂質と呼ばれるもの全体のことで、1つの成分を指しているのではありません。
スフィンゴ脂質には、セラミド以外では、スフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴシン1-リン酸、セラミド1-リン酸、スフィンゴミエリンなどがあります。
2)お肌のセラミドのはたらき
お肌のセラミドは、表皮の角質層で角質間細胞脂質の1つとして天然保湿因子(NMF)、皮脂膜とともに保湿の3大因子としての役割を担っています。
セラミドは、肌のキメを整えたり、ハリやツヤをキープする上でも大切な保湿成分です。
そんなセラミドですが、エイジングとともにその量が減っていくのです。
だからこそ、体の内側と外からセラミドをキープすることが大切になってくるのです。
3)進むセラミドと化粧品の研究
セラミドが有名なのは、お肌の表皮の角質層で高い保湿力を発揮することから、今ではたくさんのエイジングケア化粧品の保湿成分として配合されるようになったからです。
セラミド配合の化粧品には、セラミド化粧水、セラミド美容液、セラミドクリームの他、オールインワンゲルやセラミドの原液などがあります。
セラミドに関しては、まだわからないこともあるのですが、いろいろな研究が進みつつあり、保湿には欠かせない成分であることは確かです。
例えば、洗顔やクレンジングでセラミドが洗い流されてしまうと、乾燥肌になることもわかっています。
その点については、「セラミドを減らさないスキンケア!間違ったクレンジングはNG」で解説しました。
また、セラミドが少ないとアトピー性皮膚炎や、老人性乾皮症などのリスクが高いこともわかってきました。
その点については、「老人性乾皮症は乾燥とセラミド不足が原因!予防と改善の対策は?」や「セラミドが少ない!皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」の原因は?」で詳しく紹介しています。
そんなセラミド全般のお話については、「保湿成分セラミドのはたらきとエイジングケア効果とは?」で説明しています。
また、化粧品としてのセラミドには、ヒト型セラミドをはじめいつくかの種類があり、「保湿効果の高いヒト型セラミド。種類による特徴と違いは?」で詳しく説明しています。
さらに、セラミド化粧品の選び方については、「セラミドは肌の保湿力の鍵!その秘密と化粧品の選び方」で詳しく説明しています。
このようにセラミドは、保湿や化粧品との関係、病気との関係で語られることが多い成分です。
今回は、そうした方向ではなく、セラミドを多く含む食品など、食べ物との関係についてお話を進めます。
<第2章のまとめ>
セラミドは、さまざまな細胞の「細胞膜」にある脂質の一種。スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合したスフィンゴ脂質と呼ばれるもの全体のことを指しています。
セラミドは、お肌の表皮の角質層で高い保湿力を発揮することから、今ではたくさんのエイジングケア化粧品の保湿成分として配合されています。
また、セラミドは食べ物や飲み物など、食品からも摂取することができます。
3.セラミドは、食べ物で摂って意味があるの?
1)セラミドのエビデンスはまだ不十分
今説明したように、人が持つセラミドはお肌の角質層ではたらいて、十分な効果を発揮します。
一方、エイジングケア化粧品などに含まれるセラミドも、人が持つセラミドに近いはたらきをすることで、保湿力を発揮します。
しかし、セラミドを食べ物で補っても同じ保湿力を得ることはできるのでしょうか?
残念ながら、これに対して明確な回答を出す科学的根拠(エビデンス)はありません。
一部には、セラミドのサプリメントを飲み続けた結果、お肌の保湿力が改善されたとする研究があります。
また、セラミドの美白作用やメラニンの生成を抑制する作用などの研究報告もあります。
しかし、食べ物で摂取したセラミドによる保湿効果やバリア機能について、人できっちりと調べた「明確なエビデンス」といえるものは、今のところ見当たりません。
2)セラミドを食べ物で摂ることは大切
では、セラミドを食べ物やサプリメントで補っても意味がないのでしょうか?
答えは、「No」ですね。
なぜなら、どんな食べ物であっても、ちゃんとした栄養素を含んでいるなら、全く意味がないことはないからです。
ただし、セラミドだけでなく、コラーゲンなどいくつかの成分が集まってできた成分は、消化される過程で分解されます。
セラミドは、腸でスフィンゴシンと脂肪酸と糖に分解されます。
そして、その成分のいくらかが体内でセラミドを合成する際に使われると考えられますが、どこでどの程度、利用されるかはわかりません。
とはいっても、元になる成分を食べ物で摂らないことには、その材料が不足するリスクがあることも確かです。
ここでいえることは、セラミドを含む食べ物を摂ることで、「必ずセラミドが増える」とはいえないにしても、他の栄養素と同様にバランスよく摂れば、健康やお肌の保湿へのよい効果が期待できるということです。
この効果は、セラミド配のエイジングケア化粧品のような短期的、即効性のあるものではないので、長期的な観点から、取り組むことが大切です。
特に、肌質が乾燥肌であったり、敏感肌の方は内側からの乾燥肌対策も大切です。
食べ物や飲み物など、食品の栄養素と美肌との関係については、下記の記事も参考にしてください。
<第3章のまとめ>
セラミドを食べ物で摂取した場合の効果については、明確なエビデンスはありませんが、他の栄養素と同様、バランスよく食事に取り入れることで、お肌の保湿効果が期待できます。
ただし、食品による効果に即効性を求めるのではなく、長期的な視点で取り組むとよいでしょう。
4.セラミドを含む食べ物、増やす食べ物は?
それでは、セラミドを多く含む食べ物や増やす食べ物にはどんなものはあるのでしょうか?
1)セラミドとフィトケミカル
突然ですが、みなさんは、「フィトケミカル(phytochemical)」という言葉をご存知でしょうか。
「phyto」は植物、「chemical」は化学物質という意味で、フィトケミカルとは植物が持つ自己防衛成分のことをいいます。
フィトケミカルは、主に植物の色素やアク、香り、苦みなどに含まれ、
代表的なものとしては、ポリフェノールやイソフラボン、カテキン、リコピン、アスタキサンチン、カロテン、ルティン、カプサイシン、アントシアニン、クルクミンなどがよく知られています。
これらはワイン、緑茶、コーヒー、ダークチョコレート(カカオ)などにも含まれます。
実は、セラミドは、こうしたフィトケミカルを含有する食材に豊富に含まれています。
効率よく摂取するポイントとしては、野菜を中心に「赤」「黄」「緑」「紫」「黒」など、色の濃い食べ物を選ぶようにすること。
さらに、「橙(だいだい)」「白」を加えて7色をバランスよく取れば、なおよしです。
特に、たまねぎ、カリフラワー、サトイモ、白菜、キャベツなどの白っぽい野菜は、血流をよくするはたらきで、セラミドが肌に届く可能性を高めることが期待できます。
また、さまざまな色の食材をバランスよく摂取することで、相乗効果となって体内でのセラミド量の向上が期待できます。
2)食べ物のセラミドは、グルコシルセラミド
最初に、セラミドがスフィンゴ脂質の1種であるとお話しましたが、食べ物に含まれるセラミドは、多くの場合、スフィンゴ脂質である「グルコシルセラミド」です。
お肌のセラミドにも1部グルコシルセラミドがありますが、お肌の場合、グルコシルセラミドは、最終的なバリア機能を担うセラミドの元となる原料として存在しています。
一方、食べ物では、このグルコシルセラミドとしてそのまま存在しているのです。
グルコシルセラミドとは、「グルコシル」の名前の通り、セラミドと糖質(グルコース)が結合したものです。
飲み物では、牛乳もセラミドを含む食品として注目されています。
牛乳に含まれるのは、グルコシルセラミドではなく、スフィンゴミエリンというスフィンゴ脂質です。
牛乳から取ったスフィンゴミエリンは、ミルクセラミドとも呼ばれています。
スフィンゴミエリンは、お肌で細胞膜を構成する脂質の1つです。
そのはたらきは、まだ十分にはわかっていませんが、シグナルの伝達に関与していると考えられています。
このように、セラミドやスフィンゴ脂質はまだまだ謎が多いのです。
3)セラミドを増やすためのオススメの食べ物
グルコシルセラミドを多く含んでいるのが黒色の食材です。
こんにゃく、しらたき、黒ごま、黒豆、小豆、ひじき、わかめ、ごぼう、ソバ、コーヒー、紅茶、黒胡椒などの食品には豊富に含まれています。
また、米(米ぬか)、小麦胚芽、牛乳にも多く含まれています。
中でも、もっとも多いのはこんにゃくです。
こんにゃくには、米ぬかの15倍のセラミドが含まれ、セラミドのサプリメントは、こんにゃく芋が原料になっているといいます。
黒色以外の食材でも、たとえばニンジン、ほうれん草、トマト、ピーマンなどの緑や赤などの緑黄色野菜類は抗酸化作用に優れ、セラミドの合成を妨げる活性酸素を除去するはたらきがあります。だから、体や肌の酸化を予防します。
また、タマネギ、キャベツ、大豆、白菜などの白色に分類される野菜類も、血流を促してセラミドをお肌まで運搬するのをサポートします。だから、冷え性や顔冷えの予防や改善が期待できます。
これらの食べ物は、セラミドを増やすサポートだけではなく、乾燥やしわやたるみなどのエイジングサインにも有効です。
食卓を彩り豊かにすれば、エイジングケアはもちろん、健康のためにもいいこと尽くめですね。
なお、野菜についての詳しい情報は、「野菜の食べ方で美肌に差がつく!?エイジングケアによい野菜」をご覧ください。
4)一緒に摂りたいのはナイアシン
セラミドを含む食べ物や増やす食べ物と一緒に摂取すると効果的なのは、セラミドの生成を助けるはたらきがあるナイアシンです。
ビタミンB群の1種であるナイアシンには、
- 糖質、脂質、たんぱく質からのエネルギー産生
- アルコールの分解
- 皮膚粘膜の健康維持
- 動脈硬化予防
- 血行促進
などのはたらきもあります。
特に、皮膚においては重要なはたらきをし、不足すると皮膚炎などの原因になることもあります。
また、「ニコチン酸アミド」としてエイジングケア化粧品に配合されることもあり、セラミドをつくり出してバリア機能を高めるほか、肌荒れやニキビの予防、シミや色素沈着を防ぐ効果も期待されています。
ナイアシンを多く含む食品は、鶏肉、レバー、かつお、さば、ブリ、まぐろなどの動物性食品のほか、きのこ類や豆類、小麦胚芽など。
こうした食品も合わせてバランスのよい食事を心掛け、化粧品でのお手入れと同様、エイジングケアに役立てたいですね。
低カロリーでセラミドを多く含むこんにゃくに、ナイアシンを含む鶏肉やレバー、きのこをたっぷり入れて、甘辛く煮た保存食を作っておくと、美肌だけでなくダイエットにも最適ですね。
5)食べ物由来セラミドの期待効果は?
最近では、米の胚芽、パイナップルやトウモロコシから抽出したグルコシルセラミド、ミルクセラミドなどを食べ物として摂取した場合のお肌への研究が進みつつあります。
そんな研究の結果のいくつか紹介します。
①パイナップル由来のグルコシルセラミドで、水分蒸散量を減らして、乾燥肌のリスクを減らしたり、お肌の色調を改善することで、くすみのリスクを軽減した。
②グルコシルセラミドを含む米胚芽エキスを配合した粉末顆粒で、水分蒸散量を減らして乾燥肌のリスクを軽減した。
③乳由来スイフィンゴミエリン(ミルクセラミド)とコラーゲンペプチドを配合したヨーグルトを摂った結果、ターンオーバーやバリア機能が改善し、乾燥肌が改善される可能性が示された。
④米糠由来のスフィンゴ脂質を経口で与えた結果、アトピー性皮膚炎モデルのマウスのバリア機能の障害が軽減した。
⑤光老化でしわをつくったマウスにトウモロコシから調整したグルコシルセラミドを与えたところ、光老化によるしわが軽減した。
これらの研究成果を考えると、グルコシルセラミドやスフィンゴミエリンなどのスフィンゴ脂質を含む食べ物を摂ることで、セラミドの合成、CE(コーニファイドエンベロープ)の形成が促進され、タイトジャンクションの機能が整う可能性が期待できそうです。
乾燥肌に悩む方はもちろんのこと、インナードライ肌やゆらぎ肌、敏感肌の方もスフィンゴ脂質を積極的に摂ることは改善の手助けになりそうです。
スフィンゴ脂質を食べればセラミドが増えるかどうかは別として、食べ物で肌悩みが改善できる可能性が期待されるならエイジングケアの一環として、取り入れるべきですね。
6)どれくらいの量が必要?
1日に必要なセラミドの量は、600〜1200μgといわれています。
セラミドがお肌に1200μgあるとお肌のバリア機能が保てるため、乾燥や刺激に負けない肌を維持できるのです。
では、食品から摂取する場合、どれくらい食べればいいかというと、セラミドが豊富な生芋こんにゃくで約半丁、玄米ではお茶碗10杯、白米なら25杯を食べる必要があります。
また、食べ物を消化・吸収する過程で排出されてしまうため、必要量を確保するためには、さらに多くの量を摂取しないといけないことに。
1日3回の食事では、なかなか難しいのが現状ですね。
このため、セラミドを多く含む食品やセラミドの生成をサポートする食品の摂取を心がけるとともに、セラミドはお肌のターンオーバーの過程でつくられるので、お肌の新陳代謝を促すビタミン類をバランスよく食べること、さらに次に説明するセラミドを減らすリスクのある食品に注意することなどが大切です。
<第4章のまとめ>
セラミドは、植物の色素やアク、香り、苦みなどに含まれるフィトケミカルと呼ばれる成分を含有した食品に多く含まれています。
例えば、苦みのある春野菜の菜の花や筍など、夏野菜のゴーヤーなど、旬の野菜を積極的に摂ることがフィトケミカルとセラミドを効率よく摂るコツになります。
効率よく摂取するには、野菜を中心に「赤」「黄」「緑」「紫」「黒」など、色の濃い食べ物をバランスよく食べることが大切です。
特に、セラミドを多く含んでいるのは、こんにゃくをはじめ、黒豆や小豆、ひじきやワカメ、黒胡椒といった黒色の食材。
また、セラミド生成をサポートする食品として、タマネギや白菜などの「白」や抗酸化作用を持つ「赤」「緑」「黄」などの緑黄色野菜を同時に摂取しましょう。
さらに、ビタミンB群の1種、ナイアシンもいっしょに摂ることで、セラミドを増やす効果が期待できます。
最近では、米の胚芽、パイナップルやトウモロコシから抽出したグルコシルセラミド、ミルクセラミドなどを食べ物として摂取した場合のお肌への研究が進んでいます。
5.セラミドを減らすリスクのある成分・食べ物とは?
これまで、セラミドを含む食べ物やセラミドを増やす食べ物について取り上げてきました。
しかし、実は、セラミドを減らすリスクのある成分があるのです。
それは、不思議なことにセラミドの成分である脂肪酸の一種「リノール酸」です。
1)リノール酸とは?
リノール酸は、セラミドの原料の1つでもある必須脂肪酸で、アラキドン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などと同じ仲間です。
必須脂肪酸とは、人が体内で合成できないので、食べ物から摂る必要のある脂肪酸です。
脂肪酸には、オメガ3、オメガ6、オメガ9の3つがあり、摂取量はバランスが大切だといわれています。
しかし、日本では、過去において「リノール酸(オメガ6)は、血中コレステロール値を下げる」という考え方が中心であったため、このタイプばかりでした。
ところが、最近の研究では、リノール酸を過度に摂ると、HDL(善玉コレステロール)を低下させることや、アトピー性皮膚炎、喘息、炎症、がんのリスクにもなることがわかってきたのです。
2)なぜ、リノール酸がセラミドを減らすの?
しかし、リノール酸が不足すると皮膚障害の原因になり、セラミドの原料が減ってしまうのです。
だから、極端に摂らないのも問題です。
ただ、過剰に摂った場合、リノール酸から合成されるアラキドン酸が増えます。
アラキドン酸も大切な必須脂肪酸ですが、増えすぎるとプロスタグランジンが多く分泌されることになります。
プロスタグランジンという言葉は、聞きなれないかと思いますが、人間の身体の中のさまざまな組織や、器官に存在するホルモンです。
血圧低下作用や筋肉の収縮作用、血管拡張作用などさまざまな役割があります。
このプロスタグランジンが過剰になると、セラミドにも影響を与えて減らしてしまうのです。
リノール酸は、グレープシードオイル、ひまわり油、綿実油、コーン油などに多いのですが、日本で売られている油は歴史的にこれらが多いのです。
そのため、揚げ物や炒め物はどうしてもこれらを使った食べ物が多くなります。また、マーガリンやドレッシング、ラーメンなどのインスタント食品にも多く含まれています。
だから、これらを過度に摂らないことがセラミドを減らさない手段といえるのです。
また、オリーブオイル、ゴマ油、サフラワー油は、オレイン酸(オメガ9)が比較的豊富なので、こちらを選ぶことも1つの方法です。
<第5章のまとめ>
セラミドを減らす原因として、リノール酸の過剰摂取が挙げられます。
リノール酸は必須脂肪酸で、人が体内で合成できないので、食べ物から摂る必要のある脂肪酸ですが、過剰に摂った場合、リノール酸から合成されるアラキドン酸が増え、セラミドを減らしてしまうことがわかっています。
リノール酸は、グレープシードオイル、ひまわり油、綿実油、コーン油などに多く、これらを使用した揚げ物やインスタント食品などの摂りすぎには注意が必要です。
6.セラミドを減らさない対策
食べ物や飲み物を意識してセラミドを増やす努力をしても、スキンケアや他の生活習慣でセラミドを減らすリスクを増やせば、チャラになってしまいます。
セラミドを減らさない対策もしっかりと実践しましょう。
1)便秘対策も考える
いくらセラミドを含む食べ物を取っても、便秘では効果も半減。
もし、便秘で悩んでいるなら早く改善しましょう。
セラミドを含む食べ物をバランスよく取ることで、便秘にはなりにくいはずですが、それでも便秘が改善しないなら、内科や消化器内科を受診することも考えましょう。
なお、便秘と美肌や肌荒れの関係については、「腸内フローラを整え便秘解消!肌荒れを改善して美肌へ」や「便秘からくる肌荒れ 解消には食事の見直しから」,「便秘を解消して美肌へ!腸内環境は食物繊維や乳酸菌で整える」を参考にしてください。
2)身体や顔を冷やさない
身体や顔が冷えると血行が悪くなるので、血液の栄養分がお肌に届きにくくなります。
また、代謝も下がってしまいます。
そうなると、ターンオーバーは低下しセラミドの合成も下がります。
だから、冷え対策はセラミドを減らさない、または合成を増やすにはとても大切なのです。
冷えとエイジングケアについては、「顔冷え対策は肌の老化を予防や解消するためのエイジングケア」や「冷え性の予防と改善の対策!血行促進で肌悩みも解消」を参考にしてください。
3)刺激の少ない優しいクレンジングや洗顔
正しいクレンジングや洗顔は、セラミドをキープする上でとても大切です。
この記事の冒頭でも少し触れましたが、クレンジングや洗顔で、ゴシゴシ刺激を与えたり、強い界面活性剤の入った製品を使うとセラミドを洗い流すリスクが高くなります。
また、洗顔回数が3回、4回と増えても同じです。
クレンジングや洗顔は、適度に汚れが落ちればよいので、優しくする、すすぎ過ぎを避ける、などを意識しましょう。
特に、エイジングケア世代の方や敏感肌の方は、アミノ酸系界面活性剤などの乾燥肌・敏感肌向けのクレンジング料を選びましょう。
また、ダブル洗顔を行う際も、慎重に!
4)十分な睡眠を取る
これは、セラミドに限ったことだけではなく、美肌のための基本です。
夜しっかりと眠ることで、お肌は癒され、美肌になるのです。
詳しくは、「美肌は、睡眠中のホルモンによってつくられるってホント!?」や「夜寝る前のエイジングケアと質の高い睡眠でハリ・ツヤ美肌!」をご覧ください。
5)適度な運動や趣味でストレス発散
ストレスは、活性酸素を出したり、血管の収縮の原因になります。
その結果、お肌の老化が進みセラミドの合成力が弱くなります。
また、血管が収縮すると、セラミドを分解する酵素「セラミターゼ」が発生します。
だから、ストレスを溜めないように適度な運動や笑うことも大切です。
「笑いが美肌をもたらす?エイジングケア効果とアンチエイジング」でも紹介していますが、笑うことは免疫もアップし、エイジングケア全体によい効果をもたらします。
こうした工夫でもセラミドを減らさない生活が可能です。
7.まとめ
セラミドを食べ物で摂る意味や、どんな食べ物がセラミドを増やすのか、減らすのか、ご理解いただけたでしょうか?
赤ちゃんのお肌は、ヒアルロン酸やセラミドの量が豊富なため、うるおってプルプルしていますが、セラミドは、加齢やストレスなどによって減少してしまいます。
だから、セラミドができるだけ減らないように食べ物でも対策することが大切です。
エイジングケア化粧品で外から補うのもお肌の保湿の面からは有効ですが、エイジングケアの基本ともいえる食事からの摂取を心掛けることにより、身体の中からうるおう力を高めていきましょう!
ただし、食べ物から摂るセラミドには、短期的な効果や即効性を求めるのではなく、生活習慣に組み込んで長期的な効果を期待しましょう。
もちろん、化粧品でセラミドを補うなら、ヒト型セラミドを配合したエイジングケア化粧品がオススメです!!
【ヒト型セラミドを配合したナールスブランド】
*3種ヒト型セラミド配合エイジングケア保湿クリーム「ナールスユニバ」
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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