「お肌のバリア機能」という言葉を聞いたことがありますか?
お肌を外部の刺激や異物から守るとともに、水分を閉じ込めて、潤いのあるお肌をキープするはたらきです。
スキンケアやエイジングケアにおいては、正常な状態、健康な状態に保つことが、極めて大切です。
この記事では、バリア機能が低下する原因をはじめ、正常に保つコツなどを幅広くご紹介します。
極論すれば、バリア機能を理解してそれを守る保湿などのエイジングケアを実践できれば、それだけでスキンケアは十分なのです。
バリア機能を健やかに保つサポートをするエイジングケア化粧品「ナールス」
- バリア機能とは、肌にもともと備わっているうるおいを保つはたらきです。皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質がそのはたらきを担っています。
- バリア機能を低下させるいちばんの要因はお肌の乾燥です。だから、保湿をしっかり行って乾燥肌対策をすることが正常化のポイントです。
- バリア機能の低下が続くと、痒みや炎症がともない、お肌を掻くことで、さらに悪化させてしまうことがあります。敏感肌になったり、皮膚の病気になることもあります。
- 加齢で皮脂やセラミドが減ることもバリア機能を低下させる要因の1つです。季節や日々の生活習慣、体調なども影響します。
- 洗顔の回数が多すぎること、洗顔時間が長すぎること、擦りすぎの洗顔や化粧品の使いすぎもバリア機能を低下させます。だから、優しくスキンケアやエイジングケアを行うことが大切なのです。
- バリア機能が低下したお肌には、保水力が高いセラミドを配合したエイジングケア化粧品がオススメです。特にエイジングケア世代にはオススメです。
- インナーケア、つまり良い睡眠、バランスの良い食生活、適度な運動などアンチエイジングを意識した生活もバリア機能の正常化に大切です。
化粧品成分上級スペシャリスト&京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
*敏感肌の原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
CONTENTS
1.バリア機能を保って美肌になりたいあなたへ
「お肌のバリア機能とは?低下の原因を知って対策で美肌へ!」をお届けします。
バリア機能とは、肌の角質層に備わっているうるおいを保つはたらきです。
それは、皮脂膜、天然保湿因子(NMF: Natural Moisturizing Factor)、角質細胞間脂質の3つが主役です。
この3つがしっかり肌を守ることで、肌の水分量の維持と外的刺激から肌を守ります。
しかし、バリア機能が低下することで肌はさまざまなトラブルを起こしてしまいます。
1)バリア機能と乾燥肌の関係
お肌のアンチエイジングやエイジングケアのための第一歩は、バリア機能を正常に保つこと。
そのためには、エイジングケア化粧品を上手に選び、正しく使うことが大切です。
また、自分自身のお肌(皮膚)の仕組みと役割を知っておくことも大切です。
その中で、エイジングケアの基本であり、最も大切なのは「保湿」です。
そして、保湿を担う大切なお肌のはたらきが、バリア機能です。
これが健やかな状態であれば、美肌の土台ができるのです。
そこで、今回は、「バリア機能低下の原因と改善の対策」を取り上げます。
お肌のバリア機能低下の原因を表皮の構造や乾燥のメカニズム(機序)とあわせて詳しく取り上げます。
バリア機能を低下させるいちばんの要因は乾燥です。
お肌の中の表皮のもっとも表面にある「角層(角質層)」というところの水分量が減少すると、お肌は乾燥します。
その結果、バリア機能が低下します。
お肌が乾燥すると、粉が吹いたような粉吹き肌や鱗屑(りんせつ)、亀裂でざらついた状態になることもあります。
バリア機能の低下が著しいと、ちょっとした外部の刺激にも痒みを感じたりします。
そして、痒みを感じて肌を掻いてしまうと、肌が傷付いたり、炎症が起きたり、さらに悪化してしまうことがあります。
こうなると、敏感肌になってしまったり、肌の老化が進んでしまうのです。
このように、バリア機能の低下は肌にとって大きな問題です。
2)バリア機能を回復・改善して美肌へ
バリア機能は年齢とともに低下します。
それに対して、何もしなければ回復や改善は難しいのです。
だから、何らかの方法でバリア機能を維持することはお肌の健康や美肌をキープするエイジングケアにとって、とても大切なのです。
では、バリア機能を正常化するにはどうすればよいのでしょうか?
基本は、「スキンケアで乾燥からお肌を守ること」、「外部の刺激からお肌を守ること」、そして「内側からお肌のエイジングケアを実践すること」によって、体の内側に蓄えている水分が逃げない保湿力の高いお肌をつくることです。
これらを意識したスキンケアやエイジングケアで、バリア機能が正常な状態を目指しましょう。
「お肌がカサカサして痒みをともなうことがある」
「ちょっとした刺激で赤みをおびたり、肌荒れや炎症を起こすことがある」
「化粧品がしみる」
「毛穴ケアを一生懸命やっているのに、かえって皮脂が多く出てしまう」
「角栓が気になり、除去してもよくならない」
という方は、バリア機能が低下しているかもしれません。
また、今は問題がなくても、30代あるいは40代の方は、これからもバリア機能を正常に維持するために、エイジングケアを始めることをおすすめします。
もちろん、20代でもエイジングケアは大切ですし、50代や60代以上も同じです。
この記事では、バリア機能の低下の原因から正常化のためのスキンケアやエイジングケア、インナーケアについて幅広くご紹介します。また、おすすめのエイジングケア化粧品もご紹介します。
ぜひ、最後まで記事を読んでバリア機能を正常にはたらかせるスキンケアの参考にしてみてください。
バリア機能をはじめ、60日で美肌のための全てを学べるプログラム
*本当にキレイになれる!動画「ナールス60日間美肌プログラム」とは?
<バリア機能を動画で学ぶなら>
<PR>
エイジングケア世代のバリア機能の正常化をサポートする!
バリア機能が弱い敏感肌の方でも使える!
皮膚科医監修の
アミノ酸系洗浄成分配合クレンジングジェル「ナールス エークレンズ」
<内側からのエイジングケアでバリア機能をサポート>
天然海水魚皮(タラ科など)が100%の「マリンコラーゲン」
2.バリア機能が正常なお肌と低下したお肌
1)バリア機能が正常なお肌とは?
バリア機能とは、お肌のいちばん外側にある角質層が外部の刺激からお肌を守り、体の内側に蓄えている水分が逃げないようにする役割のこと。
また、外部からの異物の侵入を防いでお肌を守ることもバリア機能のはたらきです。
バリア機能が正常にはたらいていれば、健やかな美肌の基本条件が満たされます。
お肌が健やかだと、角質細胞はちゃんと育つので、大きさや厚みが均一です。
そして、お肌のpH値は弱酸性で、皮膚常在菌や顔ダニのバランスも整っています。
つまり、細胞が生まれ入れ替わるサイクルが正常な素肌です。
すべての女性が目指したいのは、このようにバリア機能が正常な美肌ですね。
<参考記事>
2)バリア機能が低下したお肌とは?
しかし、加齢やお肌の乾燥などが原因となりバリア機能が低下すると、刺激に弱くなったり、水分が逃げやすい敏感な肌になってしまいます。
この状態では、成熟した正常な角質細胞とは大きさや厚みの違う未熟な角質細胞が存在しています。
また、お肌が弱アルカリ性に傾く場合もあります。
さらに、痒みを感じる神経線維が伸びていることもあります。
こうしたバリア機能の低下は、多くのお肌悩みの原因になったり、お肌の老化の原因になるのです。
もちろんバリア機能が低下すれば、肌のハリやツヤもなくなってしまいます。
3)バリア機能が低下することで起こる肌トラブル
角層の水分量が減少して肌のバリア機能が低下すると、お肌の表面は乾燥して乾燥肌(ドライスキン)に傾いていきます。
乾燥肌が続くと、外からの刺激に敏感になり、ちょっとした刺激でも痒みを感じやすくなります。
お肌の乾燥に加えて、季節の変わり目やストレスを感じたり、睡眠不足が続くとこうした症状が出ることがあります。
これが敏感肌の症状の1つで、一時的なバリア機能低下の場合は、ゆらぎ肌とも呼ばれます。
また、常態化すれば乾燥性敏感肌です。
さらに、痒みをともなって肌を掻いてしまうと、炎症が起こり、さらに痒みが悪化するという悪循環に陥ります。
また、掻いてしまった箇所はバリア機能が崩壊してしまうので、異物やウイルス・細菌などが侵入しやすくなります。
こうしたバリア機能低下の悪循環は、乾燥だけではなく角栓、毛穴の黒ずみ、大人ニキビなど、さまざまなお肌のトラブルになってしまうのです。
3.表皮のはたらき
バリア機能が正常にはたらいている健康な角質層とは、どのような構造になっているのでしょうか?
また、表皮のほかの層は、バリア機能とどんな関係があるのでしょうか?
1)表皮の構造
「表皮」は、お肌のいちばん外側にある薄い膜のことで、外部からの異物侵入や、体の水分の蒸発を防ぐバリアとなっている膜のことを示します。
厚さは0.2mmほどで、外側から「角質層(かくしつ)層=角層)」「顆粒(かりゅう)層」「有棘(ゆうきょく)層」「基底(きてい)層」という順に4つの層に分かれています。
この中で、0.002mmの角質層がバリア機能の要ですが、ほかの3つの層も側面からバリア機能をサポートします。
2)表皮とバリア機能の関係
①角質層(角層)
角質層は、角質細胞がレンガの塀のように並び、「角質細胞間脂質」がレンガをくっつけるセメントのようなはたらきをしています。
角質細胞内には、水分を保持するはたらきをする天然保湿因子(NMF: Natural Moisturizing Factor)があり、角質細胞間脂質が角質細胞を結びつけることで、外部からの異物侵入や、角層内の水分蒸発を防いでいるのです。
角質細胞間脂質は全体の50%がセラミドで、残りの30%がコレステロール、20%が脂肪酸で組成されていて、水分層と脂質の層(セラミド層)が交互に層状に重なるラメラ構造をつくることで、水分を挟み込んで保湿をしています。
そして、このセラミドが保湿の重要な役割を担い、バリア機能を正常に導いてくれるのです。
角層の表面では、汗と皮脂でできる「皮脂膜」がお肌を守っていますが、「角質細胞間脂質」、「NMF」を合わせた3つが「保湿の3大因子」と呼ばれ、バリア機能維持の最も大切な要素なのです。
②顆粒層(かりゅうそう)
角層の下にある顆粒層は、顆粒細胞からなる2~3層の層です。
「ケラトヒアリン顆粒」というガラス状の粒、つまり、「顆粒」が含まれるため、このような名前で呼ばれています。
顆粒層は、角質層とともにお肌のバリア機能の役割を担いますが、特徴的なのは紫外線からの防御の役割があることです。
実は、「ケラトヒアリン顆粒」には、光を屈折・反射させる性質があり、紫外線がお肌の奥へ浸透するのを防いでくれているのです。
顆粒層では、フィラグリンと呼ばれる蛋白質と角化細胞の骨格となるケラチンが凝集されます。
これが、角質層でアミノ酸に分解されてNMFの源になります。
<参考記事>
*ケラトヒアリン顆粒とは?バリア機能を支え紫外線から肌を守る!
③有棘層(ゆうきょくそう)
表皮の4つの層の中でいちばん厚い層で、5~10層から組成されています。
この層では細胞が互いに棘(とげ)でつながっているように見えるため、「有棘細胞」と呼ばれています。
有棘層の中には「ランゲルハンス細胞」という細胞があって、有棘層の下の基底層でつくられたメラニンを含んでいて、紫外線の侵入を阻止しています。
メラニンと聞くとシミやそばかすの原因になるので嫌なもののイメージがありますが、実は、紫外線からお肌を守るためのバリア機能の一翼を担っている大切なものなのです。
さらに、皮膚に栄養を与えたり、老廃物の交換などの役割も担っているので、細胞間にリンパ液が流れています。
④基底層
表皮の一番奥の基底層は、真皮と接しています。
基底層は、直接的なバリア機能の維持のはたらきではなく、新しい細胞をつくり出す役割を担っています。
基底層でつくられた細胞は有棘層 → 顆粒層 → に押し上げられ、それぞれ基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞となり、最後に角質層の角質細胞になって、最後には核がなくなった角質として、お肌から垢となって剥がれ落ちていきます。
バリア機能を担う表皮の役割については、こちらの記事もお読みください。
3)バリア機能の測り方
①バリア機能は自宅では測れない
実際に自分のバリア機能が正常にはたらいているのか気になりますよね。
残念ながら美容クリニックや美容皮膚科など専門の施設に行かないとバリア機能の測定はできませんが、ご参考までにバリア機能の測定方法をご紹介します。
湿度を察知するセンサーを用いてバリア機能を評価することができるようです。
②バリア機能の測り方
湿度センサーがついている機器を皮膚に置き、体内から蒸発してくる水分(経表皮水分喪失量 TEWL :trans epidermal water loss)を測定します。
蒸発してくる水分が少ないほど保水能力があり、バリア機能が高い状態です。
ただし、蒸発してくる水分量をすべて測定するので、TEWLだけでなく、発汗した場合は汗の水分、保湿剤を塗った直後は通常よりも多く水分が蒸発されるので、その水分も測定されてしまうようです。
また、額や手の平、脇などは精神的発汗があるので、測定部としては避けたほうがよいそうです。
つまり、気を付けないとバリア機能が正しく測定できないのです。
ちなみに、顔の皮膚は身体の皮膚に比べると、蒸発する水分量が3倍ほど多く、もともとバリア機能は低いといえます(図)。
しかし、顔の皮膚は皮脂分泌が豊富なので、乾燥が見た目でわかることはあまりありません。
ただし、子どもの場合は皮脂分泌が少ないため、粉が吹いたような皮膚になってしまうことがあるのです。
<各部位における経表皮水分喪失量>
4.バリア機能を低下させる原因
1)加齢
20歳以降は、加齢とともにバリア機能が低下します。
加齢がなぜバリア機能を低下させるのでしょうか?
エイジングケアアカデミーでは、20代から70代の「エイジングインデックス」を作成し、それぞれの年代のお肌の状態を検証してみました。
エイジングインデックスとは、お肌の状態を、年代別に「お肌全体の代謝」「表皮の老化」「真皮の老化」の3つを軸に、それぞれに関連する要素を8つの指標で数値化し、レーダーチャートで表現したものです。
これによって、年齢を重ねるごとに肌のバリア機能が低下していく要因がわかってきました。
まず、20歳と40歳のエイジングインデックスを比べてみてください。
<20歳のエイジングインデックス>
<40歳のエイジングインデックス>
20歳のお肌は、コラーゲンとお肌の水分量以外は、ピークであることがわかります。
※コラーゲンとお肌の水分量は10代またはそれ以下の年齢がピークとなるため
健康で、皮脂欠乏症やアトピー性皮膚炎などのお肌の病気のない方の場合は、最もお肌がみずみずしく美しい状態にあるはずです。
ニキビや詰まり毛穴などの悩みはあっても、お肌の中のセラミドも十分量で、乾燥に悩む方も少ないのではないかと考えられます。
角層の水分が保たれ、バリア機能が正常にはたらいている状態といえます。
一方、40代はいかがでしょうか?
40代は、エイジングケアを意識する方が最も多い年代です。
20代のインデックスと比べると、皮脂の分泌が低下しはじめ、セラミドが半分程度になり、コラーゲンやエラスチンも30%にまで減ってしまっています。
つまり、角層の水分量が低下し、乾燥した状態になっていることが、このチャートからおわかりいただけると思います。
つまり、バリア機能が低下していることを示しています。
だから、高齢の方は乾燥肌対策に特に気を使うことが大切なのです。
2)赤ちゃんや乳児・子供のお肌もバリア機能が未熟
一方、赤ちゃんのお肌もバリア機能が未熟でデリケートです。
新生児の肌は、スベスベでやわらかいのですが、皮膚がとても薄いことが特徴です。
新生児は、生まれて2カ月くらいまで顔や頭皮の皮脂の分泌が盛んですが、その後、乳幼児の時代も皮脂の分泌が低下するため乾燥しやすくなります。
また、子供でも同じです。
赤ちゃんや乳幼児、子供の乾燥肌対策は保護者が気を付けてあげましょう。
<トピックス>
■新生児に毎日保湿剤を塗るとアトピーにならない?!
最近の研究で生後32週目までの新生児に毎日保湿剤を塗ると、バリア機能が高まり、アトピー性皮膚炎の発症が軽減する、ということがわかりました。
以下に試験内容を紹介します。
目的:新生児の時期に保湿剤で皮膚のバリア機能を保護することで、アトピー性皮膚炎およびアレルギー感作の発症が予防できるか調査すること。
方法:118例を対象とし、59例は生後32週まで毎日乳液を用いて保湿を行った。
結果:保湿剤を塗った群では、アトピー性皮膚炎および乳児湿疹の発症がコントロール群よりも32%低かった。
J Allergy Clin Immunol. 2014; 134(4): 824-830.
アトピー性皮膚炎の詳細については「セラミドが少ない!皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」の原因は?」の記事も参照ください。
3)乾燥
お肌の乾燥がバリア機能を低下させる、と説明をしていますが、乾燥肌の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
下の図をご覧ください。
図は、乾燥の原因が「内的要素」「外的要素」からなり、それらの要素によってバリア機能の低下やターンオーバーの乱れが発生し、乾燥した状態が進むと「乾燥肌」、さらには「敏感肌」になってしまうことを示しています。
<乾燥がバリア機能を低下させるメカニズム>
①乾燥の内的な要素
- 加齢やご自身の肌の特徴・肌質
- ストレスによる肌荒れ
- 日常生活の乱れ
- 間違ったスキンケア
②乾燥の外的な要素
- 紫外線ダメージ
- 外気の乾燥
- 大気汚染
- 花粉などのアレルギー源
上記のような「内的要素」「外的要素」から乾燥状態が進み、乾燥肌になればバリア機能は低下し、湿疹、肌荒れ、にきびなどの肌トラブルや皮膚の病気の原因になったり、さらに乾燥が続くことで、インナードライ肌、敏感肌になることもあります。
③内外の原因によるバリア機能の要素のはたらきの低下
- 皮脂分泌の減少または過剰分泌
- 天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)の減少
- CE(コーニファイド エンベロープ)のはたらきの低下
- タイトジャンクションのはたらきの低下
CEもタイトジャンクションもバリア機能と大いに関係があります。
CEは、角質細胞を包む膜です。CEが成熟して健やかな状態ならば、角質細胞を守る力が高まりますが、未成熟の場合にはバリア機能低下の原因になります。
タイトジャンクションとは、細胞同士をくっつける接着装置のようなものです。切れたり、緩んでしまうと、バリア機能が低下します。
乾燥肌は、CEにもタイトジャンクションにもダメージを与えます。
このように乾燥が進むと、さまざまなバリア機能を維持する要素のはたらきが低下します。
いずれかの要素または複数の要素のはたらきが落ちると、もちろん、バリア機能が低下します。
乾燥肌を招く原因は、「乾燥肌とは?原因は12の要素!メカニズムを知ることで対策」で説明していますので、参考にしてください。
年齢を重ねてお肌が薄くなること、女性ホルモンの分泌の低下、乱れた食生活、病気やよくない生活習慣などを解説しています。
また、バリア機能の正常化は、乾燥肌の改善と深く関わっています。
乾燥を防ぐ保湿は「お肌の保湿とは?本当にわかるスキンケアの基本と保湿成分」や「乾燥肌のスキンケアは、優しい洗顔・クレンジングと保湿!」をご覧ください。
4)不摂生な生活
偏った食生活、運動不足、睡眠不足、喫煙などもバリア機能低下の原因になります。
不摂生な生活を送ることで肌荒れの原因となって、バリア機能が低下してしまうのです。
特に、喫煙は肌の老化だけでなく、体の酸化や、がん、心臓病、呼吸器の病気などの原因にもなるので、吸わないほうが賢明です。
喫煙者と非喫煙者を比較した試験では、喫煙者のほうが、角層細胞の剥離量が多いことがわかりました(日本禁煙学会雑誌 2009; 4: 109-115)。
つまり、喫煙者は非喫煙者よりもバリア機能が低下していることが証明されているのです。
5)紫外線がバリア機能を低下させる
紫外線のダメージによる酸化もバリア機能の低下をもたらします。
紫外線を浴びると、細胞が紫外線から体を守ろうとして活性酸素を発生します。
活性酸素は、本来、自分の身を守ろうとしてつくられるものですが、体内で処理できる以上に活性酸素が溜まってしまうと、細胞に悪影響を及ぼし、バリア機能も低下してしまうのです。
それは、活性酸素がもつ殺菌能力が強力すぎるからです。
活性酸素は皮膚がんを引き起こす要因にもなる程強い作用があるのです。
皮膚で活性酸素を発生すると、皮膚の脂質が酸化します。
真皮にまでダメージがおよぶと、お肌の中にあるヒアルロン酸やセラミドにまでダメージが与えられ、お肌が乾燥し、バリア機能も低下してしまいます。
さらに、活性酸素は、お肌の弾力をささえているコラーゲンや線維組織なども酸化しますので、みずみずしさがなくなりほうれい線やシワの原因もなります。
最近では、加齢よりも光老化のほうが、皮膚の老化の大きな要因だともいわれ、米国皮膚科学会では、老化の約80%が、加齢以外の紫外線による光老化など外部環境に影響していると発表しています。
紫外線対策はエイジングケアの基本として、夏も冬も季節に関係なく1年中日焼け止めクリームなどで対策を心掛けましょう。
6)その他の原因
①皮膚疾患
アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患もバリア機能を低下させてしまいます。
また、逆にバリア機能の低下がアトピー性皮膚炎を悪化させてしまいます。
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、角層の水分保持能力やバリア機能が、そうでない人に比べて、著しく低下していることがわかっています。
さらに、バリア機能に関連の深いセラミドが減少していることもわかってきました。
水分保持能力の低下と角質のバリア機能の低下は関連があり、セラミドの減少もバリア機能の低下に影響を与えています。
日本皮膚科学会や厚生労働省研究班による「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」では、炎症に対する治療法として、医薬品(外用薬)と並んで、保湿剤のスキンケアの重要性を唱っています。
水分保持機能と角質のバリア機能の低下といった皮膚の生理学的な異常に対して、保湿剤を使用することをすすめているのです。
つまり、アトピー性皮膚炎は、医薬品による治療も大切ですが、日常のスキンケアによる保湿を行ってバリア機能を正常化させることも大切であるということです。
ほかにも、乾皮症や老人性乾皮症、乾燥性皮膚炎などでボディが乾燥するとバリア機能が低下します。
手肌でも乾燥肌は問題です。
手荒れ、手湿疹、進行性指掌角皮症などもバリア機能が低下した状態です。
保湿の重要性は、アトピー性皮膚炎などの病気だけでなく、エイジングケアであっても同じことですから、いかにスキンケアにおける保湿がバリア機能を正常に保つために大切であるか、おわかりいただけるのではないでしょうか?
②花粉などのアレルギー源
花粉症とは、体に付着した花粉に反応して起こるアレルギー現象です。
目や鼻の症状が有名ですが、花粉がお肌に付着して、痒みがでたり、赤くなったりすることもあります。
これは、花粉症皮膚炎と呼ばれます。
また、目や鼻を擦ったり、鼻のかみ過ぎによる摩擦で肌にダメージを与え、肌荒れを起こしている状態はバリア機能が低下し、さらに症状が悪化してしまいます。
バリア機能が低下した状態が続くと、水分を保持する力が弱まり、乾燥肌の状態になってしまいます。
③大気中の化学物質
PM2.5などの大気中の汚染物質もバリア機能にダメージを与えます。
PM2.5は花粉よりも粒子が細かく、吸い込むと肺に入り呼吸器系に疾患を発症する可能性がありますが、お肌にも影響を与えます。
アレルギーのある方は、花粉アレルギーのようにお肌にも痒みや炎症を起こしますが、バリア機能が低下している方も、外部刺激に弱い状態になっているので、同じようなダメージを受けることがあります。
④お風呂や温泉
意外かもしれませんが、お風呂や温泉はバリア機能低下の原因になることがあります。
リラックスできて血行がよくなることで冷え性の改善などにメリットのあるお風呂や温泉ですが、熱いお湯につかり過ぎると皮脂膜を溶かし、セラミドやNMFが流出してしまうリスクがあります。
また、酸性やアルカリ性などの温泉はお肌を柔らかくするメリットはありますが、角質層を溶かしてバリア機能を低下させるリスクもあるのです。
乾燥肌や敏感肌の方は、特に注意しましょう。
詳しくは、「乾燥肌、敏感肌の方のためのお風呂・温泉の入り方」をご覧ください。
5.間違ったスキンケアは危険
間違ったスキンケアもバリア機能を低下させる原因の1つです。
1)間違ったクレンジング、洗顔がバリア機能を低下させる
①クレンジングは優しく、しっかり落とす
間違いの多いスキンケアの1つに「クレンジング」あげられます。
そもそもクレンジングはメイクを落とすものです。
毛穴に詰まった汚れをクレンジングで落とそうと、時間をかけたり、ゴシゴシとこする方が多いようですが、これは間違いです。
クレンジング料には、メイクを落とすために界面活性剤が使われています。
最近では、くずれにくいメイクを落とすために、かなり強い界面活性剤を使用したクレンジング料も販売されているようです。
この強い界面活性剤がお肌にダメージを与え、バリア機能を低下させてしまいます。
クレンジングには優しいものを使い、40秒~60秒程度ですますようにしましょう。
お肌をゴシゴシと擦るのではなく、くるくるとメイクを浮かせるようなイメージでやさしくクレンジング料をお肌になじませるようにします。
クレンジングがスキンケアの中でお肌にいちばんダメージを与え、バリア機能を低下してしまうことを覚えておきましょう。
バリア機能の回復や改善のためには、クレンジングを正しく使うことが大切です。
おすすめはアミノ酸界面活性剤を使った乾燥肌や敏感肌向けのクレンジング料です。
また、タイプとしては、クレンジングジェル、クレンジングミルク、クレンジングクリームがオススメです。
エイジングケア世代では、できれば濃いメイクを控えたり、ダブル洗顔が不要のクレンジング料を使いましょう。
一方、毛穴に汚れが残ってしまうこともバリア機能の正常化のためにはマイナスです。
鼻の毛穴にメイクや汚れが詰まると、いちご鼻になってしまいます。
毛穴の汚れをしっかり落とせるクレンジング料を使うことも大切です。
②洗顔も優しく汚れを落とす
また、同様に洗顔時の擦りすぎもバリア機能を低下させます。
洗顔はたっぷりな泡でお肌を包み込むようにやさしく洗い上げましょう。
時間は1~2分程度を目安とし、すすぎはぬるま湯で(33~35℃程度)で行いましょう。
体温より少し低い温度のぬるま湯の方がお肌への負担が少ないからです。
熱いお湯は皮脂膜を落としすぎてバリア機能を低下させてしまうので、ぬるま湯ぐらいがベストです。
また、エイジングケア世代や乾燥肌、敏感肌の方は、洗顔料もアミノ酸系や弱酸性がオススメです。
優しい洗顔でバリア機能の正常化や改善を目指しましょう。
酵素洗顔などは、角質肥厚でくすみがある場合などに適度に行うことはよいのですが、やりすぎるとターンオーバーの促進が過度になり、バリア機能低下のリスクになります。
スクラブ洗顔やピーリング洗顔も同じです。
バリア機能を守るためには過度な回数にならないようにしましょう。
<参考記事>
*洗顔の正しい方法と洗顔料の使い方10選!乾燥肌なら特に注意!
2)誤った毛穴ケアでバリア機能が低下
他にもピンセットで角栓を摂ったり、刺激の強い毛穴ケアはバリア機能を低下させます。
オロナインH軟膏を使ったパックも本来の使い方でないのでNGです。
3)お肌に合わない化粧品を使い続けるとバリア機能は低下する
①バリア機能の回復や改善のために注意したい成分
刺激の強い化粧品や自分に合わない成分が入った化粧品を使い続けることで、バリア機能の低下をもたらします。
化粧品の中で、刺激のリスクがある成分にはさまざまなものがあります。
まず、アルコール(エタノール)が注意したい成分です。
収れん化粧水やふき取り化粧水などには高濃度で配合されることがあるので、バリア機能が正常でない場合は、控えることをおすすめします。
ほかの基礎化粧品でもエイジングケア世代になるとノンアルコール化粧品やアルコールフリー化粧水を使いましょう。
濃度が低いとさほど心配はありませんが、化粧箱などの全成分表示の上位にこれらの成分の記載がある化粧品は避けることをおすすめします。
また、合成香料や合成着色料などにも刺激のあるものがあります。
エイジングケア世代になると、バリア機能を守るためにこれらが無添加の化粧品を選ぶことをおすすめします。
一方、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤は低濃度であり、最近では処方技術も向上しているのでそれほど心配する必要はありません。
②エイジングケアによい成分でも注意が必要
抗酸化作用、美白作用、コラーゲンを増やす作用があり、エイジングケア化粧水でも人気の高いビタミンC誘導体には刺激があります。
だからバリア機能が低下している方は注意が必要です。
水溶性ビタミンC誘導体は油溶性ビタミンC誘導体より刺激が強いので、濃度が高いビタミンC誘導体化粧水は、バリア機能が正常でない方にはオススメできません。
また、しわ対策やほうれい線対策で使われるレチノールも刺激性があるので、やはりバリア機能が弱っている場合は、控えたほうがよいでしょう。
レチノールにビタミンE誘導体を加えたレチノイン酸トコフェリルは刺激性が少ないタイプです。
バリア機能を守る視点からは、こちらがベターです。
③エイジングで今まで大丈夫だった化粧品が合わないことも
今まで使っていた化粧品に刺激を感じたり、「お肌の調子が悪いな」と感じた時は、お使いの化粧品を一度見直してみましょう。
刺激を感じるということは、お肌が荒れてバリア機能が低下している可能性があるので、一時ストップして様子をみることが大切です。
何を使ってもよくならないと、手当たり次第にいろいろなアイテムを使うこともバリア機能をさらに低下させ、悪循環に陥ってしまうことがあるので、注意しましょう。
「お肌の調子が悪いな」と感じた時は、スキンケアの原点「保湿」に立ち返り、今の自分の肌に必要なものは何かを検討してみましょう。
さらに、加齢とともに肌は変わってきますので、10代の頃や20代前半と同じスキンケアでは改善しないこともあります。
通常の化粧品ではなく、エイジングケア化粧品などに切り替えてみることも検討してみましょう。
しかし、お肌の調子は化粧品だけで決まるものではありません。
睡眠不足が続いていたり、不摂生な生活をしている方は、生活習慣やライフスタイルを改めてみることからはじめてみましょう。
なお、バリア機能低下の際のエイジングケア化粧品の選び方の基本は、「敏感肌化粧品はこれがオススメ!ランキング不要の選び方」や「おすすめの敏感肌化粧水!選び方はランキングより刺激成分を避ける」の考え方で選べば失敗はありません。
6.バリア機能の低下を防ぐスキンケアとは?
バリア機能の低下を防ぎ、健やかな美肌維持するプロセスは、自分にとってよい化粧品を選び、正しく使うことです。
1)肌質とバリア機能
バリア機能の低下を防ぐためには、ご自身の肌質(肌タイプ)に合った化粧品を選ぶことが大切です。
肌質(肌タイプ)は、主に次の5タイプに分かれます。
①普通肌(ノーマルスキン)
皮脂量と水分量のバランスがよく、角層の状態が健やかなお肌。
バリア機能が比較的よい肌質です。
②乾燥肌(ドライスキン)
皮脂量、水分量も少なめで、バリア機能が低下しているので外的刺激を受けやすいお肌。
乾燥肌がひどくなると、さらにバリア機能が低下して敏感肌へ傾いてしまいます。
③脂性肌(オイリースキン)
皮脂量が多くて水分量も多いお肌。
比較的バリア機能が高い肌質です。
脂性肌のスキンケアは、油分を与えすぎないことが大切です。
④乾燥性脂性肌(インナードライ肌)
皮脂量が多くて水分量が少ないお肌。
誤ったスキンケアでバリア機能低下が起こるケースの多い肌質です。
乾燥性脂性肌の方は、脂性肌だと勘違いして誤ったスキンケアを行うリスクがあります。
必要以上に皮脂を落としてしまい、お肌が乾燥を防ごうとして余計に皮脂を分泌させてしまうのです。
⑤混合肌(コンビネーションスキン)
目元や口元のOゾーン、頬などのUゾーンはカサつくのに、Tゾーンはベタつくなど、顔の中に乾燥肌や脂性肌が混在しているお肌。
乾燥しているパーツは、バリア機能の低下を防ぐための乾燥肌のスキンケア、テカりを感じる箇所には脂性肌のスキンケアが必要です。
肌質(肌タイプ)は「肌質(肌タイプ)の診断と改善のコツは?」に詳しく説明がありますので、こちらを参考ください。
肌質診断方法も紹介していますので、ご自身の肌質(肌タイプ)をチェックしてみてください。
ご自身の肌質(肌タイプ)に合った化粧品を使うことで、健やかなお肌が育ち、バリア機能の低下を防ぎます。
2)保湿成分セラミドで、しっかりバリア機能のケア
セラミドとは、ヒトが自分の肌に持っている成分です。
冒頭の表皮で説明しましたように、セラミドは「細胞間脂質」を構成する成分の1つでバリア機能を担っています。
だから、セラミドが不足すると、バリア機能が低下してしまいます。
そして、肌のセラミドは年齢とともに減少します。
50歳代では20歳代の約半分にまで減少するといわれています。
そうなると、化粧品成分のセラミドなどを補うことでバリア機能の低下を防ぐことが必要になるのです。
<セラミドの量と年齢の関係>
①セラミドは「ヒト型セラミド」がオススメ
セラミドとは、ヒトが自分の肌に持っている成分でバリア機能に深い関わりがあるとお伝えしましたが、ヒトの肌にあるセラミドにもたくさんの種類があります。
そして、化粧品成分に使われるセラミドにもいくつか種類があります。
そんな多数ある中でも、「ヒト型セラミド」がオススメです。
なぜなら、「ヒト型セラミド」はヒトの肌に存在しているセラミドとほぼ同等の構造を持ち、他の合成セラミドなどに比べて保水力が高く、比較的刺激が少ないというメリットもあるからです。
化粧品の成分として、ヒト型セラミドは以下のような成分名で表示されています。
- セラミド2
- セラミドNP
- セラミドAP など
いずれもバリア機能の維持にためにはたらきますが、少しずつ特徴があります。
バリア機能のはたらきを正常化させるセラミドについては以下のページを参考ください。
②セラミドは化粧水ではなく美容液や保湿クリームがオススメ
セラミドは「脂溶性」の成分なので、「水」でできている化粧水にはやや溶けにくい性質があります。
セラミドは、親水性も備えている珍しい成分なので他の油溶性成分よりは水になじみやすいのですが、保湿力をより発揮させるには、エイジングケア美容液や保湿クリームからセラミドを取り入れることをオススメします。
美容液や保湿クリームにセラミドが配合されたものを使う方が保湿効果を高めることができるため、バリア機能のはたらきも正常に保つことが期待できます。
保水力の高いヒト型セラミドが配合された保湿クリームなどを使って、乾燥を防ぎ、バリア機能の低下を予防しましょう。
オススメの美容液、フェイスクリーム、選び方は、こちら
*3種のヒト型セラミドを配合した保湿クリーム ナールス ユニバ
3)セラミドだけに頼らない保湿ケア
セラミドは、確かに高い保湿力のあるエイジングケア化粧品成分ですが、これでバリア機能のすべてが解決するわけではありません。
さまざまな作用のあるプラセンタエキス、NMFの元であるアミノ酸成分やアミノ酸誘導体のナールスゲン、あるいは水分を抱えむタイプのヒアルロン酸やプロテオグリカンなどの保湿成分を一緒に使うこともよい選択肢です。
最近では、プロテオグリカン化粧水、プロテオグリカン美容液、ナールスゲン化粧水などが化粧水ランキングや美容液ランキングで人気です。
また、湿度が低い冬の季節には、水分の蒸発を防ぐシアバター、スクワラン、ワセリンなどのエモリエントなども補って、お肌表面に蓋をすることでお肌のバリアを守りましょう。
ホホバオイルやアルガンオイルなどの美容オイルも冬の乾燥肌対策におすすめです。
4)化粧品の役割を知ってトータルなバリア機能のケア
バリア機能の低下を防ぐためには、「保湿」が重要であることをお伝えしました。
その保湿は、「水分を与える」、「水分を保持する」、「水分の蒸発を防ぐ」の3つのプロセスで成り立っています。
化粧水、美容液、乳液、保湿クリームのそれぞれの役割を理解して、上手な使い方でバリア機能を維持しましょう。
高い保湿力を持ち、適切な水分(20~30%)が保持されているお肌は、自らのお肌の力が高められ、バリア機能やターンオーバーを正常化することが可能です。
そして、そのような状態を持続させるためには、下の図のように化粧品のアイテムごとの役割を知って、使うことが大切です。
<トータルなバリア機能のケアのための化粧品の役割>
つまり、化粧品はアイテムごとにその役割が違うので、使う順番を正しく知っておかないと、その効果を最大限にいかすことができなくなってしまう恐れがあるのです。
洗顔後のお手入れの最初は「化粧水」で水分を与え、次に「美容液」でお肌に水分を保持させます。
そして、最後に「乳液」や「保湿クリーム」の油分で蓋をすることで、保湿効果が高まり、乾燥を防ぐことができるのです。
乾燥を防ぐことができれば、バリア機能も正常にはたらきます。
なお、オールインワン化粧品だけでは季節や肌質によっては、バリア機能が十分に維持できない場合もあることも知っておきましょう。
なお、年代別のエイジングケア化粧品の選び方は次の記事を参考にしてください。
*60代・70代も大切!エイジングケア化粧品の選び方と使い方
7.体のパーツ別のバリア機能の回復・改善の対策
顔だけではなく、ボディ全体のバリア機能を意識しましょう。
ボディケアの一環として、手肌、唇(リップ)、デコルテ、ひじ、ひざ、かかと、頭皮のバリア機能の正常化や改善のポイントを簡単にご紹介します。
1)手肌
手肌は角質層が厚いのですが、水洗いや洗剤などの外部刺激にさらされやすくバリア機能が低下しやすいパーツです。
バリア機能が低下すると、手荒れ、手湿疹や進行性指掌角皮症などになります。
ひどい場合は、ひび割れ・あかぎれにまで至ります。
そんな手肌は、手肌はハンドクリームで保湿ケアをしっかり行ったり、水を使う場合は、手袋などで乾燥を防ぐことも大切です。
なお、症状が改善しない場合は、早めに皮膚科などを受診してドクターと相談しましょう。
2)唇
唇は角質層が数枚程度ととても薄く、乾燥しやすいパーツで粘膜のような性質があります。
だから、バリア機能が元から低く、乾燥で唇の縦線が目立つこともあります。
そんな唇のバリア機能を守るためには、リップクリームなどでこまめに唇を保湿することが大切です。
また、乾燥がひどい場合は、マスクなどを利用して、バリア機能の改善を心がけましょう。
3)デコルテ
デコルテの皮膚は、皮脂が少ないことが特徴です。
また、洋服やアクセサリーによる摩擦や刺激を受けやすいため、バリア機能も低下するリスクが高いのです。
特に夏の季節などは汗も溜まりやすいことから、デコルテのニキビもできやすくなります。
だから、デコルテのケアは、保湿をしっかり行うなど、乾燥肌の予防や改善が大切です。
また、汗などをこまめに拭くこともバリア機能の維持に役立ちます。
4)ひじ・ひざ・かかと
ひじやひざ、かかとは、皮膚が厚いことが特徴です。
また、顔のお肌などに比べて皮脂腺が少なく、皮脂の分泌が十分ではありません。
特に、かかとは、立ったり歩いたりするたびに物理的な刺激が加わる部位でもあります。
かかとは、そんな物理的な刺激によるダメージでバリア機能が低下しやすいのです。
そのため、かかとはバリア機能を守るため急いで新たな角質細胞をつくります。
この細胞は、未熟であることに加え、ターンオーバーも遅いために積み重なって、厚く硬くなっていきます。
ひどくなると、カサカサが大きくなってひび割れに至ります。
かかとのバリア機能を改善するには、ターンオーバーを正常化させることが必要です。
そのため、尿素配合のボディクリームを使ったり、ピーリングで角質ケアを行うことも必要です。
5)頭皮
頭皮は、外気の乾燥、ストレス、シャンプーなどによる洗いすぎ、紫外線ダメージがバリア機能を低下させる主な原因です。
バリア機能が低下すると、フケ、乾燥によるかゆみ、薄毛や抜け毛などのトラブルの原因になります。
そんな頭皮は、頭皮ケアのために保湿力の高いシャンプー、リンス、トリートメントなどで保湿を行うことが大切です。
頭皮の老化が招くたるみは、おでこのしわやまぶたのたるみなどの原因になるので、頭皮ケアにも十分に気をつけましょう。
8.アンチエイジングを意識した日常生活でバリア機能の正常化を
バランスのよい食事、適度な運動、質のよい睡眠がバリア機能を正常に保つためには何よりも大切です。
アンチエイジングを意識した生活習慣を身につけましょう。
特に食べ物は大切です。
たとえば、タンパク質は、皮膚の細胞をつくる原料となるためバリア機能の正常化にはかかせません。
タンパク質を多く含む食材は、卵、肉、魚、大豆、牛乳、ヨーグルトなどがあります。
また、ビタミンA・B2・B6・E・12、亜鉛には、ターンオーバーの周期を整えるはたらきがあるので、バリア機能にとっても良いはたらきがあります。
ビタミンAは、ニンジンや小松菜、ホウレンソウ、レバーなどに含まれます。
ビタミンB2は納豆、モロヘイヤなど、ビタミンB6はニンニク、マグロ、鶏むね肉など、ビタミンEはホウレンソウ、パプリカなど、亜鉛は蟹や牡蠣などに多く含まれています。
ほかにも、皮脂の原料となる必須脂肪酸も大切です。
必須脂肪酸は植物性油に多く含まれています。
バリア機能を正常に保つためのライフスタイルに関する記事は、以下を参考にしてください。
*スーパーフードはアンチエイジング・美容・ダイエットに効果!
*美肌は質の高い睡眠中に作られる!3つのホルモンを活かす4つの対策
9.皮膚科でもバリア機能は回復・改善できる!
多くの皮膚の病気では、バリア機能が低下している場合が多くみられます。
健やかな美肌のためには、まずはバリア機能を回復させることが基本です。
バリア機能が低い状態を放置すると、外界から異物やウイルス、細菌などの病原微生物が侵入して、湿疹や蕁麻疹などを発症することにもなりかねません。
また、ヒスタミンが発現して痒みがひどくなったり、慢性の皮膚疾患に至ってしまうこともあります。
セルフケアでスキンケアやエイジングケアを行なってもバリア機能が改善せず、お肌の状態がよくならない場合は、皮膚科で治療を受けましょう。
保湿剤としては、ワセリンやヘパリン類似物質(ヒルドイド)、尿素などが処方されます。
炎症があればアラントインやグリチルリチン酸2K、ステロイド外用薬などが処方されます。
また、ヒスタミンを抑える内服薬などが処方されることもあります。
10.まとめ
バリア機能とは何か、低下の原因、正常化の方法を幅広く解説しました。
いかがだったでしょうか?
「加齢」「乾燥」「紫外線」「生活習慣」など身の回りには、お肌のバリア機能の敵がたくさんあります。
ライフスタイルを見直すなど、化粧品を使う前にできることが多いことがおわかりになったのではないでしょうか?
バリア機能が正常な健やかなお肌はスキンケアやエイジングケアだけではつくることはできません。
健康やアンチエイジングを意識した規則的な毎日を送り、健康に気を配ることが大切です。
スキンケア、エイジングケアはその一助であることを意識しましょう。
エイジングケアの基本は、バリア機能の低下を防ぎ、健やかなお肌を持続させることが1つのゴールです。
そのためには、清潔、保湿、紫外線対策の3つが大切です。
乾燥や外部の刺激に強い、バリア機能のはたらきが正常なお肌をつくりましょう。
この記事「お肌のバリア機能とは?低下の原因を知って対策で美肌へ!」が、ナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
ぜひご登録をお待ちしております。
▶キレイと健康のお役立ち情報が届く、ナールスのメルマガ登録はこちらから
nahlsエイジングケアアカデミーを訪れていただき、ありがとうございます。nahlsエイジングケアアカデミーでは啓発的な内容が中心ですが、ナールスコムでは、ナールスブランドの製品情報だけでなく、お客様にご参加いただいた座談会やスキンケア・エイジングケアのお役に立つコンテンツが満載です。きっと、あなたにとって、必要な情報が見つかると思います。下記から、どうぞ。ナールスゲン配合エイジングケア化粧品なら「ナールスコム」
SNS Share
\ この記事をシェアする /