日本人は慢性的にビタミンDが不足していますが、新型コロナウイルス感染予防で外出自粛を余儀なくされ、紫外線を浴びる時間が減り、さらに体内のビタミンD量が不足していることが懸念されます。
この記事では、紫外線とビタミンDの関係、ビタミンDを増やす方法などを中心にご紹介します。
1.心配されるビタミンD不足。長引く外出自粛が影響?!
「ビタミンD不足は紫外線を短時間浴びて解決!」をお届けします。
日光に含まれる紫外線を浴びることで、からだで作ることができるビタミンD。別名「太陽のビタミン」とも呼ばれています。
いま、このビタミンD不足が深刻になっているのではないかと懸念されます。
そもそも日本人は、このビタミンDの摂取量が慢性的に不足しています。
そこに加えて、新型コロナウイルス感染拡大予防のための外出自粛や休校、テレワークの導入などで家にこもる生活を送っていることで日光を浴びる機会が減っているため、体内のビタミンDがさらに減っているのではないかと考えられます。
ビタミンDには、血中のカルシウム濃度を高めて丈夫な骨を作って、骨の健康を維持するはたらきがあります。その他にも、最近の研究で免疫作用を高めたり、さまざまな病気予防の効果があることがわかっています。
つまり、ビタミンDが不足すると、骨折や骨粗しょう症、高血圧、がん、歯周病、冬季うつ病、末梢動脈疾患などのリスクが高まる可能性があります。
特に最近の研究で、若い女性や寝たきりの高齢者、乳幼児や妊婦を中心にしてビタミンDが不足していることが指摘されています。
他にも、女性アスリートを対象にした研究でも、疲労骨折の経験がある人はない人よりもビタミンD不足が認められ、屋外競技よりも屋内競技のアスリートのビタミンD不足が報告されています。
また女性は、美肌をキープするためのエイジングケアやスキンンケアの一環として、紫外線ダメージによる光老化で起こるシミやしわ、顔のたるみ、ほうれい線予防のために日焼け止め化粧品などで対策をしている人も多いと思います。
さらに、エイジングケア化粧品だけでなく、紫外線対策のためのサングラスをかけていたり、UVカット効果のある服や帽子、手袋などでの予防にも気をつけていますよね。
これらのことも、過度にやりすぎると必要な量の紫外線を浴びれなくなって、ビタミンD不足につながっているといわれています。
さらに、40代以上の女性は更年期にさしかかり、女性ホルモンも減少してきます。女性ホルモンが減少すると、頭痛やめまい、のぼせ、動悸、発汗、便秘などの更年期障害の症状が現われ、動脈硬化や骨粗鬆症などにもなりやすくなります。
実は、ビタミンDはホルモンの一種であるとことがわかっていて、女性ホルモンと近いはたらきをするのです。
そういう点でも、ビタミンD不足にならないようにするのが大切です。
<参考>
- Holick MF. Vitamin D deficiency. N Engl J Med. 357; 266-281, 2007.
- Ono Y, et al. Seasonal changes of serum 25-hydroxyvitamin D and intact parathyroid hormone levels in a normal Japanese population. J Bone Miner Metab. 23; 147-151, 2005.
- 金子晴香, 他. 日本臨床スポーツ医学会誌 (1346-4159)25(4); S296, 2017.
2.ビタミンDの1日の必要量
ビタミンDを得る方法としては、先に述べた日光に含まれる紫外線によって皮膚でビタミンDをつくる方法と、食べ物から摂る方法の2通りがあります。
ビタミンDの1日の目安量については、厚生労働省が2019年に、実現可能な摂取目安量を策定して見直しを行いました。
1)日光に含まれる紫外線から作られるビタミンDの目安量
厚生労働省は、国立環境研究所が行った研究結果に基づいて、日光浴でつくるビタミンDの目安量を1日10μgと示しています。
2)食べ物からのビタミンD の目安量
食べ物から摂取するビタミンDの1日の目安量は、18歳以上の男女ともに8.5μgとしています(日本人の食事摂取基準(2020年版)より)。
ですが、1日の平均摂取量は成人で7.0μgと目安量よりも不足していることが、「平成30年 国民健康・栄養調査報告」で明らかとなっています。
<参考>
- Miyauchi M, Hirai C, Nakajima H. The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan. J Nutr Sci Vitaminol. 2013; 59, 257-263.
- 国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 厚生労働省「平成30年 国民健康・栄養調査報告」
3.紫外線からビタミンDをつくる
1)ビタミンDをつくる紫外線の種類
地上に届く紫外線にはUVAとUVBがあります。
UVAや波長の長いロングUVAを浴びすぎると真皮がダメージを受け、しわやたるみ、ほうれい線の原因になります。
UVBを浴びすぎるとメラニンが生成されて、シミやそばかす、日焼け、紫外線による免疫の低下によって皮膚がんの原因となります。
一方、UVBは、からだにとって大切なビタミンD3をつくるという一面もあります。
皮膚にUVBが照射されると、7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)になり、これが体温によってビタミンD3となります。
2)1日10μgのビタミンDをつくるのに必要な日光浴の時間
日光を浴びるときは短時間で、顔と手だけで十分です。短時間であれば皮膚にも有害な影響はありません。
5月のような季節の時は、日中に約15分紫外線を浴びれば必要なビタミンD量を得ることができます。
ただ、日本は南北に長いので、地域によって太陽高度や気候が違うので、必要な日光の照射時間も違ってきます。
図の時間をご参考にしてください。
<図 10 μgのビタミンDをつくるための日光浴の時間>
国立環境研究所「ビタミンD生成に必要な紫外線照射時間と人体に有害となる紫外線照射時間(気候値)」http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/climatology.html
3)日光浴はこんな風にしてみましょう
家にいるときは、お天気の良い日にベランダに出たり、窓を開けて窓際でひなたぼっこをするなどしてみましょう。
ですが、日焼け止めなしで紫外線にさらされるのはイヤという人は、日陰での日光浴でも大丈夫です。UVBは地面にも反射するためです。
また、紫外線の弱い朝や夕方に、30分程度のウォーキングなどの運動をするのもオススメです。
その際は、目を紫外線から守るためにサングラスやつばの広い帽子などでしっかり対策してくださいね。
日光浴の時間を短縮させたいときは、顔と手だけではなく、足や腕など紫外線が当たる部分を増やせばよいです。
ナールスエイジングケアアカデミー編集部としてオススメする紫外線を浴びる時間帯は、朝10頃までです。
紫外線を浴びてビタミンDが補給できるだけでなく、日光に含まれるブルーライトも一緒に浴びれば、すっきり目覚めて、体内時計もリセットできるので、質の良い睡眠がとれます。
だからといって安心して、寝る前までスマホやテレビ画面などブルーライトが出るものを見るのはNGです。体内時計が狂いますよ。
4)紫外線は過度に浴びないようにしましょう
いくらビタミンDをつくるからといって、紫外線を過度に浴びるのはやめましょう。
紫外線によるビタミンDの生成は調節されており、必要以上のビタミン Dが作られないようになっています。
だから、必要以上に浴びると、光老化によるお肌の老化を招いたり、日光角化症や皮膚がんなどの原因につながりかねません。
ビタミンDをつくるのに必要な時間だけ紫外線を浴びて、それ以外の長時間の外出やレジャーなどの時には、しっかりと紫外線対策をしてくださいね。
紫外線対策について詳しく知りたい方はコチラを参考にしてください。
*外出時の紫外線による日焼けのアフターケアはビタミンACEで!
*紫外線対策こそエイジングケア!日焼けダメージの肌老化を防ぐ対策
*春の紫外線対策。しっかりブロックして日焼けの無い美肌をキープ!
*夏の紫外線対策はエイジングケアの要!UVカットで美肌キープ
*秋も紫外線対策は大切!斜め横からの光線を日焼け止めでブロック
*コラーゲンの敵!紫外線による光老化から肌を守るコラーゲンペプチド
*コラーゲンを毎日食べて、紫外線による光老化や肌老化を予防しよう!
*紫外線対策の食べ物と飲料!日焼けや肌老化を防ぐ7つの栄養素とは?
<参考>
4.食べ物からビタミンDを摂る
1)ビタミンDが豊富な食べ物と食べ方は?
ビタミンDは紫外線からだけでなく、食べ物からも摂るようにします。
人に大切なのは6種類あるビタミンDの中でも、ビタミンD2とビタミンD3です。ビタミンD2は植物由来、ビタミンD3は動物由来になりますが、ビタミンDの総摂取量の約80%がビタミンD3(魚介類)からとなります。
ビタミンD3が豊富に含まれている食材としては、さけ、さんま、トロ、めかじき、あんこう肝、いくら、かずのこ、うなぎ、さば、卵黄、バター、チーズなどです。
ビタミンD2が豊富なのは、干しシイタケ、きくらげ、まいたけ、エリンギなどです。
食べ方は、ビタミンDは脂溶性なので、炒めたりドレッシングであえるなどして、油と一緒に摂ると吸収がよくなるのでオススメです。
2)ビタミンDを毎日摂れない人は?
普段の食生活で必要な量のビタミンDが摂れなかったり、食欲がないときなどは、「ビタミンDサプリメント」を利用するのもオススメです。
5.編集後記
「ビタミンD不足は紫外線を短時間浴びて解決!」をお届けしました。
私自身、4月7日に緊急事態宣言が出てから約1か月間テレワークで、買い物などの必要最低限の外出以外はずっと室内にこもっていました。
たまたまデスクが窓際にあるため、おこもりを続けていても、紫外線によるビタミンD補給ができていたようです。
じゃあ、食べ物で必要な1日のビタミンD量を摂れているのかと考えてみました。
鮭の切り身100gでビタミンD量は38μgなので、スーパーで売られている切り身(平均70~80g)の半身を食べただけで、約13μg摂れちゃいますね。
そんなに難しくなさそうです。
エイジングケア世代にとって、ビタミンD不足は将来の骨粗しょう症や骨の老化を早めるリスクが高まるだけです。
毎日少しの時間だけ日光浴をして、1日のうち1食、魚介類やきのこ類を取り入れてみましょう。
「ビタミンD不足は紫外線を短時間浴びて解決!」がエイジングケア世代の女性の健康のお役に立てれば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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