使いかけのメイクアイテムは増殖した細菌によって汚染しており、特にスポンジではそのレベルがひどいという研究論文が発表されました。
メイクアイテムをはじめとする化粧品は、女性にとってはなくてはならない存在です。
この研究結果の概要をご紹介します。
CONTENTS
1.イギリスで実施された「メイクアイテムの病原性細菌による汚染」の研究の概要
口紅やマスカラ、リップグロスなどのメイクアイテムは、一度封を切って空気に触れると劣化(もしくは品質の低下)したり、目に見えない細菌が付着し増えていくので、人によっては肌荒れなどのトラブルを引き起こす原因にもなります。
だから、なるべく早くに使う、友人や家族など他の人とは共有しない、使いかけでも定期的に買い換えた方が良いといった話は、多くの女性はご存じのことと思います。
でも、メイクアイテムってそうそうすぐには使い切れないものが多いですし、結構長いあいだ使い続けているかも・・・という人は多いのではないでしょうか?
また、メイクの時に使うスポンジやブラシを最後に洗ったのがいつか覚えていますか?
あるいは、実は洗ったことがないという人も中にはいるのではないでしょうか?
今回のナールスエイジングケアアカデミー編集部ニュースでは、使いかけのメイクアイテムのほとんどが「病原性細菌によって汚染されている」という研究結果が発表されたのでご紹介します。
これは、英国バーミンガム市にあるアストン大学(Aston University)School of Life and Health Sciencesの生物医学者であるアムリーン・バシール氏(Dr. Amreen Bashir)とピーター・ランバート氏(Prof. Peter Lambert)が率いるチームによって行われた研究で、Journal of Applied Microbiology誌に発表されました。
この研究では、使用済みの化粧品476個(口紅96本、リップグロス107本、アイライナー92本、マスカラ93本、ビューティーブレンダー(メイク用スポンジ)79個)について、微生物による汚染の性質とその程度を調査し、潜在的リスクを明らかにしています。
Microbiological study of used cosmetic products: highlighting possible impact on consumer health.
First published: 09 October 2019 | https://doi.org/10.1111/jam.14479
https://sfamjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jam.14479
2.「メイクアイテムの病原性細菌による汚染」の調査結果
調査では、研究用に寄付された使用済み化粧品の微生物を培養して生菌数(培養液中の生存細胞数)を測定しました。
その結果、生菌数は平均102〜103CFU/mlで、ビューティーブレンダーは106CFU/ml以上という結果で、調査対象のアイテムの70〜90%が細菌に汚染されていたことがわかりました。
腸内細菌科細菌と真菌は全てのアイテムにあり、黄色ブドウ球菌や大腸菌、シトロバクター・フロインデイも検出されています。
最近流行りのビューティーブレンダーでは、腸内細菌科細菌は26.58%、真菌は56.96%検出されています。
イギリスでは、化粧品は「製造時に病原性の生物が含まれてはならない」と法的に規制されていますが、実際に調査するとこれだけ汚染されていたという実態が浮き彫りになったわけです。
そこで、汚染された理由を探るため、研究チームは化粧品の提供者に化粧習慣についてアンケート調査を実施したところ、メイクのアイテム自体に問題があるのではなく、「ユーザーの使い方に問題があったために化粧品が細菌に汚染されていた」ということが判明しました。
特にビューティーブレンダーは、ユーザーの93%が「一度も洗ったことがない」と回答しており、また64.4%が「スポンジを床に落としても使い続けた」と回答しています。
研究チームは論文の中で、「使用済みのメイクアイテムは、かなりのレベルで病原性細菌の汚染が発生しており、これは健康を損なう潜在的リスクになる」と警鐘を鳴らしています。
また、「特にスポンジは細菌に汚染されやすく、調査対象のスポンジでは4分の1以上が汚染されていたが、ぬるま湯と洗剤を使って洗うことができる。
ただし、しっかり乾かさないと、かえって微生物の増殖を促進することになる」とも述べています。
3.日本でもあった!化粧用パフの微生物汚染状況と効果的な洗浄方法
日本でもメイクの汚染に汚染と洗浄について「化粧用パフの微生物汚染状況と効果的な洗浄方法の検討 (自然科学編 第39号)」という研究論文がありました。
この論文は、タイトルの通り化粧用パフの微生物汚染状況と効果的な洗浄方法について検討した結果を報告したものです。
まず、化粧用スポンジパフの微生物汚染状況を調査した結果、全てのパフから一般細菌とブドウ球菌が検出されました。
このことは、イギリスで実施された「メイクアイテムの病原性細菌による汚染」の研究とも同じでした。
こちらの日本の研究では、洗浄剤による除菌効果についても検討されました。
その結果、台所用洗剤(除菌成分配合)と液体石けんの除菌効果が高いことがわかりました。
一方、メイク落としに使うクレンジング(オイルタイプ)は効果が低いことがわかりました。
また、どちらの場合でも、菌の残存率の測定結果から、除菌成分を含む洗剤でパフを洗浄しても菌数はゼロにはならないことがわかりました。
他では、洗浄効果に関しては、台所用洗剤とパフ専用洗剤が高いことがわかりました。
また、洗浄後の肌触りは、台所用洗剤とパフ専用洗剤で高いことがわかりました。
この研究では、衛生面、経済性、パフ利用者の利便性を考えた場合、台所用洗剤で洗浄することが悠揚としています。
4.メイクアイテムや化粧品の細菌汚染によるトラブルをどう防ぐ?
細菌に汚染されている使いかけのメイクアイテムは、化粧品かぶれや接触皮膚炎のリスクとなります。
多くの化粧品は、細菌による汚染を防ぐために、パラベンやフェノキシエタノール、ヒノキチオールなどの防腐剤が配合されています。
それでも今回の調査で分かった通り、使い方や扱い方で細菌に汚染されてしまうのです。
では、どうすればメイクアイテムや化粧品の細菌汚染によるトラブルを防ぐことができるでしょうか?
1つ目は、しっかり使用期限を守ることです。
日本の化粧品の場合は、基本的には製造から約3年間ですが、これは「未開封」の場合です。一度開封すると、半年から1年以内に使い切ることが目安となります。
先にも述べましたが、化粧品は空気に触れると劣化していきますし、今回の研究結果からも、細菌が増殖することがわかりました。
もし、使い始めて半年以上経過しているようなら、もったいないですが、捨てるという勇気も必要ですね。
一方、欧米のコスメは、裏面に「6M」や「12M」などの数字が書かれています。
Mは、month=月の意味で、「開封後6ヶ月」や「開封後12ヶ月」が使用期限ということです。
日本製でも欧米製でも使用期限を守ることが細菌汚染されたメイクアイテムを使うことを避ける方法です。
もう1つは、他人が使ったメイクアイテムを使わないこと。
メイクアイテムをシェアしたり、最近ではメルカリなどで、使いかけの化粧品が売買されていますが、メイクアイテムそのものに増えた細菌だけでなく、使っていた人がもっていたウイルスに感染する可能性も否定できないので、他の人が使ったメイクアイテムを使うのはNGです。
さらに3つ目が、メイクアイテムのキャップをきちんと閉めること。
中身が固くなるだけでなく、空気中の雑菌が混入することもあります。
他にも、直射日光のあたる場所、高温多湿の場所、温度変化の激しい場所を避けて、常温で保管することも大切です。
メイクアイテムは、使い方と期限、保管場所を考えて細菌汚染から守りましょう。
5.編集後記
イギリスで実施された「メイクアイテムの病原性細菌による汚染」の研究結果をレポートしました。
メイクアイテムは使い方で肌トラブルの原因になってしまうことがおわかりいただけたでしょうか。
わたしたちエイジングケア世代は、少しでも若々しく美しいお肌を求めている人が多いと思います。
そのために、日々エイジングケア化粧品などを使ってケアを頑張っている方もおおいでしょう。
でも、ついメイク道具のお手入れを忘れたり、気がつくとこのマスカラ長い間使ってるわ・・・といったことってありますよね。
こういうことも、細菌汚染のリスクを増やしてお肌がトラブルを起こして肌悩みや肌老化を深めることになる原因の一つになるわけなので、一体何やってんだろ・・・ということだけは避けたいですね。
その他にも、メイクアイテムをシェアしたり、最近ではメルカリなどで、使いかけの化粧品が売買されていますが、メイクアイテムそのものに増えた細菌だけでなく、使っていた人がもっていたウイルスに感染する可能性も否定できないので、他の人が使ったメイクアイテムを使うのはNG!だと思います。
「メイクアイテムの病原性細菌による汚染」の研究結果を参考に清潔に化粧品を使いましょう。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
ナールスエイジングケアアカデミー編集長
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ
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