最近SNSで話題になっている「化粧水不要論」に関連して、お肌に水分は入らないという話を聞きます。塗っても表面だけですぐに蒸発するとのこと。さて、本当なのでしょうか?
今回は、論文データを元にお肌への水分の浸透の真偽と化粧水の保湿効果についてご紹介します。
1.化粧水不要論の根拠「お肌の中に水分が入っていかない??」
「化粧水不要論の根拠「をお肌の角層に水分は浸透しない!」は本当?」をお届けします。
ここ最近、有名人が「化粧水不要論」を唱え、SNSを中心に大変話題となっています。スキンケア・エイジングケアとして化粧水を使っているとお肌が荒れるので、ワセリンのみを使う方が良いといった話です。
また、これに関連して、そもそもお肌にはバリア機能があるので、「お肌の中に水分は入っていかない」から、90%が水の化粧水は不要という話もあちらこちらで取り上げられています。
お肌の中に水分が入らない、塗ってもお肌から蒸発するから…、だから化粧水は使う必要はない。
本当に、お肌の中に水分は浸透しないのでしょうか?
今回の編集部ニュースでは、エビデンスをご紹介しながら、この「お肌の中への水分の浸透」の真偽と、化粧水不要論について考えたいと思います。
<動画で学ぶ基礎化粧品の役割>
化粧水は不要?必要?基礎化粧品の役割をしっかり知れば答えが!
2.角層の水分は保持が大切
全身を覆っている角層が人のからだを強くして、水分を保持し、外部からの異物侵入を防ぐという役割しています。だから、もし角層がなくなってしまうと、水分を喪失することになり、24時間も生きることができないといわれています。
また、肌質(肌タイプ)は、角層の水分量と皮脂量のバランスによって決まり、普通肌、脂性肌、乾燥肌、乾燥性脂性肌(インナードライ肌)、混合肌、敏感肌、乾燥性敏感肌などにわけられます。
もちろん、真皮に存在するプロテオグリカンやヒアルロン酸でも水分は保持されていて、お肌内部のうるおいを保つ役割があります。
その水分が真皮から表皮へ届けられるのです。
3.化粧水でも水を与えることができる
1)水は肌の角質層へ入る
入浴後の角層の水分量の変化について、2018年、東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉氏らのグループの研究結果が日本健康開発雑誌に報告されました。
この研究では、皮膚病変のない健康な20歳~49歳の女性14人にメイクや日焼け止めは落としてもらって、40度のお風呂に7分間つかってもらい、入浴前と入浴後1分、5分、10分、15分、20分、30分、60分に前腕の角層水分量を測定しています。
その結果、入浴直後は、角層水分量は急速に増加した後、10分後まで角層の水分量は多く維持されており、統計学的有意差も認められています。ですが、15分~20分後には、角層の水分量は入浴前と同程度までに低下し、30分~60分後には入浴前と比べて有意に減っていました。
このことから、お風呂に入った人では、お肌の内部の角層に水分が浸透していることがわかりますよね。
つまり、外からも水はお肌へ入ることがわかりました。だから、化粧水で水を補うことも意味があるのです。
<図 入浴前後の角層水分量の変化>
(早坂信哉ほか. 日本健康開発雑誌 39: 1-5, 2018より)
2)入浴後は保湿が大切
お風呂から上がった後、お肌の乾燥を感じる人は多いと思いますが、これは入浴によって皮膚から皮脂が洗い流されたり、保湿成分の角質細胞間脂質(セラミドやコレステロールなど)や天然保湿因子(NMF)が流れてしまうことが原因と言われています。
だから、角層の水分量がアップしても、入浴後は早めに保湿化粧水や保湿美容液などをつけることがおすすめです。
また、水分の蒸散を防ぐには保湿クリームも必要です。
ただし、人の角層で保水できる量には限界がありますから、お風呂に長い間浸かっていたからといって角層の水分量がたくさん増えるわけではありません。
お風呂につかる時間に比例して、心臓や肺への負担が大きくなりますし、30分以上つかっていると脱水症状を起こしたり、お肌が乾燥しやすくなりますので、気をつけましょう。
なお、この研究を実施した早坂氏ですが、ナールスエイジングケアアカデミー書籍レビューでも紹介した、『「たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法」で美肌へ!』の著者でもあります。
温泉療法専門医として、長年研究してきたお風呂の効果や健康、美肌のための入浴法を医学的な視点から解説しています。ぜひこちらもご参考にしてみてくださいね。
<お肌に効果的な入浴法を知りたい方への参考記事>
4.化粧水不要論は誤り?
1)なぜ化粧水が必要?
化粧水は約9割が水で、残りの約1割が美容成分や保湿成分で構成されています。
だから、「水はお肌の中に入っていかない」、「水をお肌に塗ったところで蒸発する」、「つまり、化粧水はつけなくてよい」、ということは違うと言えます。
化粧水の役割は、「水をお肌に入れる」ことが主なものではありません。化粧水に含まれる「美容成分や保湿成分を角層に届ける」ために使うものです。
今回ご紹介した結果から、水がお肌の中に入ることがわかりましたから、当然、化粧水もお肌の中に入ります。
そして、化粧水に含まれる多くの美容成分や保湿成分も角層まで届いています。だから、美肌のキープに役立つわけです。
美肌にとって必要な保湿成分には、ヒューメクタント(水分を吸着する水溶性の保湿成分)とエモリエント(水分の蒸発を抑える油溶性の保湿成分)があります。
化粧水には、水になじみやすいヒューメクタントのナールスゲン、BG、グリセリン、アミノ酸などが使われます。
また、水を抱えて保湿するコラーゲンやエラスチン、プロテオグリカンも水になじみやすく化粧水に適した成分です。
さらに、最近出てきた、お肌が本来持つセラミドを増やす両親媒性ビタミンC誘導体の3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(セラミドプロモーター)や、ビタミンB群の1種のナイアシンアミドも水になじみやすく化粧水におすすめの成分です。
このように、化粧水に配合される成分もさまざまなものがあり、水分量を増やしたり、セラミドを増やす優秀な美容成分があります。
ほかにもコラーゲンを増やす成分や酸化を抑える成分などもあります。
こうした点を考えると、少なくとも「化粧水は不要」と言い切ることは間違いではないでしょうか。
2)こんな場合は化粧水が不要!
私たちは、「化粧水不要論」を100%否定するわけではありません。
スキンケア化粧品を選ぶ場合は、自分の肌質や肌状態に合ったものを使うことが大切です。
たとえば、角質の水分は十分で皮脂が不足している方などは必ずしも化粧水を使う必要はありません。
そんな場合は、セラミド、フィトスフィンゴシンなどのスフィンゴ脂質、コレステロールといった水分を挟み込む成分がはいったものがおすすめです。
特に、セラミド入りのものを使うときは、保湿力が高いヒト型セラミドの入ったものを選ぶとよいです。
セラミド美容液やセラミドクリームなどのエイジングケア化粧品で保湿ケアをするのが効果的です。
また、スキンケアに対する価値観で自分が不要と思う方も無理やり使う必要はありません。
美容液なら、水溶性成分と油溶性成分が両方配合されているので、これ1つでスキンケアやエイジングケアも可能です。
また、経済性を重視したり、手間を無くしたい場合なら、オールインワン化粧品を使うことも良い方法です。
入浴後に化粧水を使うなら、タイミングとしてはお風呂上りの10分くらいまでの間、角層の水分量が高い時がより効果的です。
<保湿に効果的な化粧水について、もっと知りたい方への参考記事>
*ナールスゲン配合の化粧水の選び方で失敗しない5つのポイントとは?
*化粧水にピッタリの美容成分で美肌になれる保湿とエイジングケア!
*おすすめ&人気のセラミド化粧水11選ご紹介!これでエイジングケア
*アミノ酸化粧水で美肌になる!効果とエイジングケアのメリットは?
5.編集後記
「化粧水不要論の根拠「お肌の角層に水分は浸透しない!」は本当?」をお届けしました。
YouTubeなどを中心に、例えば海外の学会の情報のある一部を切り取って正しくない情報が発信されていたり、それが独り歩きしたりしていることに危惧を感じます。
あの有名人が言っているからや、海外の学会の情報だからとやみくもに信じるのではなく、研究結果などのエビデンスを正しく解釈して発信されているものなのか、本当に正しく翻訳されたものなのか見極める力が必要だと思います。
例えば、海外学会の情報やニュース等は、誰かが翻訳したものは参考程度にしておいて、自分でGoogle翻訳などを使って一次情報を翻訳すれば、ある程度の確度で内容を把握できるのではないでしょうか。
ナールスエイジングケアアカデミーでは、正しい情報を発信するために、医師等の専門家による論文や原典をあたって記事を作成しています。今後もこの姿勢を変えることなく、美容や健康関連の情報提供に努めたいと思っています。
この「化粧水不要論の根拠「お肌の角層に水分は浸透しない!」は本当?」がナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様にとって、お役に立てれば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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