皮膚の役割は、体を守り、生命を守ること
皮膚は「人体で最大の臓器」と言われ、自己と他者を区別する役割があります。
そのため、親子であっても皮膚を移植することはできません。
そして、皮膚の最も重要なはたらきとは「体を守る」こと、つまり「生命を守ること」なのです。
このように、皮膚は生命にとって極めて大切なものであることをまずご理解下さい。
皮膚の構造は、大別すると「表皮」と「真皮」の2層に分かれます。
胎児期は全く違う細胞からできていた表皮と真皮ですが、生まれる直前に基底層で表皮と真皮に分けられます。
そのため、表皮と真皮は、「仲が良くない」のです。
たとえば、化粧品のように外から補う成分は表皮までしか届きません。
一方、食事から摂った栄養や飲んだ水分が表皮まで届くことも難しいのです。
こうした皮膚の特徴を考えると、外側からスキンケアで成分を補うこと、内側から食事で栄養分や水分を摂ること、両方がともに大切です。
また、皮下脂肪のおかげで柔軟性があり、クッションのように外力を防いだり、皮膚には他にもさまざまな役割があります。
- ●柔軟性があり、クッションのように外力を防ぐ
- ●角質の肥厚により、慢性の刺激から守る(手掌、足底、膝など)
- ●水分の侵入を防ぐ
- ●体液の不必要な喪失を防ぐ
- ●病原菌の侵入を防ぐ
- ●物理的、化学的に有害な物質の侵入を防ぐ
- ●紫外線、熱線の侵入を防ぐ(メラニン沈着)
- ●体温調整作用(体熱喪失を防ぎ、外界熱の侵入を防ぐ)
- ●体温上昇時に発汗、 血管拡張によって熱を放散する
- ●寒いときに、血管、起毛筋収縮によって熱放散を防ぐ
- ●知覚作用(触感、痛覚、温覚、冷覚、痒み)
- ●分泌作用(汗、脂質)
- ●呼吸作用
- ●吸収作用
- ●抗体産生機能を有する
皮膚の状態を見れば、全身の状態もわかる
皮膚はアレルギー反応など体の状態を反映するサインを出します。
そのため、皮膚の状態を観察すれば、全身の健康状態がかなりわかります。
私が接しているトップアスリートたちは、日頃から注意して皮膚の状態を見ている方が多くいます。
それは、皮膚と全身の健康状態が関連していることを良く理解しているからです。
スキンケアは、自分自身とのスキンシップ
スポーツ選手のスキンケアは、スポーツ中およびスポーツ後の皮膚トラブルを予防し、パフォーマンスにも好影響をもたらします。具体的には、皮膚感染症の予防、皮膚疾患の発生予防、最良のパフォーマンスの発揮、皮膚のコンディションの維持、スキンシップによるメンタルケア、光老化の予防といった効果をもたらします。
光老化とは、紫外線を浴びることによる皮膚の老化のことです。光老化の予防は、スポーツをする人にとってとても重要です。また、皮膚の腫瘍を予防する側面から長寿社会の現代においてますます大切になってくるでしょう。
このお話を高校野球のチームにした際、監督さんから「3年で卒業する選手より、長期間続けている自分たちの方が危険ではないか?」と質問を受けました。まさにその通りで、長期間にわたって紫外線を浴び続けることは危険なので、すぐに紫外線ケアをすることをすすめました。
これらは、本格的にスポーツをする人だけでなく、スポーツを楽しむ一般の方にとっても役立ちます。
皮膚は身体全体のコンディションを反映しているので、良いコンディションに保つことで、「良いパフォーマンス」に繋がります。
整形外科の医師との研究で、皮膚のコンディションを良くすることで、皮膚のすぐ下の筋肉の動きが良くなるという研究もあります。
これは、ケガの予防や柔軟性の向上などのベネフィットとなります。スキンケアは、メンタルにも影響を与えます。たとえば、毎朝洗顔をすることで、元気が出ることもあります。私は、スキンケアとは、洗顔やひげを剃るといったことを含め、広い範囲で考えています。
つまり、スキンケアは、自分自身とのスキンシップであり、とても大切なことだと考えています。
スポーツ選手のスキンケアの基本は、清潔・保湿・紫外線ケア
スキンケアの基本は「清潔」「保湿」「紫外線ケア」の3要素の実践です。
この基本は、スポーツ選手だけには限りませんが、スポーツ選手特有のポイントがあります。
「清潔」とは、アレルゲン・微生物を落とすことです。擦り傷や切り傷は、しっかり水道水で洗うことで感染症の予防になり、練習後のシャンプーや足の指先までしっかり洗うことで頭部白癬・爪白癬の予防につながります。しかし、洗いすぎ・こすりすぎには注意しましょう。
7人制ラグビーはスクラムを組まないので大丈夫ですが、15人制のラグビーのように頭と頭の接触のある競技の選手は、頭部白癬を予防するためにシャンプーを丁寧にしましょう。
適度な「保湿」が皮膚の健康を守る基本です。保湿が適切であれば、皮膚の新陳代謝が高まり、きれいな皮膚になります。
保湿化粧品は、刺激を感じないなど、自分に合ったものを選んでください。
保湿がしっかりできていれば、野球や体操のように用具や石灰と接触のあるスポーツ選手でも肌荒れなど皮膚傷害の予防にも繋がります。
特に大切なのは紫外線ケア
紫外線による影響
紫外線ケアは、ラグビーをはじめ、屋外でするスポーツに大いに関係があります。
紫外線は、放射線に近いものなので、紫外線を浴びる量に比例して、疲労が大きくなります。また、免疫が落ちて、単純ヘルペスになったり、ひどい場合は皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての細菌による化膿性炎症である蜂窩織炎(ほうかしきえん)になることもあります。
紫外線ケアをすることで、ある程度体温上昇を防ぎ、熱中症の危険から回避することができます。
15人制の男子ラグビーの選手を対象に、練習量や水分補給などの条件を同じにして、日焼け止めクリームを塗った選手達と塗らない選手達で、熱中症の発生頻度を比較する研究があるのですが、塗った選手達の熱中症の発生頻度が少なかったのです。
紫外線ケアを考える場合、自分のスキンタイプを知っておくことも大切です。
日本人には、「赤くなるが、あまり黒くならないタイプ」、「赤くなって、数日後に黒くなるタイプ」、「あまり赤くならず、黒くなるタイプ」の3つがあります。日本人に一番多いのは、数日後黒くなるタイプです。
一番紫外線に弱いのは、赤くなるが、あまり黒くならないタイプです。このタイプは、色白でシミができやすい、目立ちやすい、皮膚癌になりやすいなどリスクが高いので、特に気を付ける必要があります。
もちろん、どのタイプであっても日焼け止めや紫外線ケアは、必要です。また、紫外線は、地域、季節、高度、場所によって強さが異なることも、知っておいたほうが良いでしょう。
紫外線の防ぎ方
紫外線防御の方法は、物理的防御、全身的防御、サンスクリーン剤など、さまざまあります。物理的防御としては、衣類による防御も大切です。デニムのジーンズは、0.1%しか紫外線を透過しないので、夏場などは素足を出さずに、ジーンズを穿くことをおすすめします。
日焼け止めクリームはPAやSPFの表示のある成分がしっかりと配合されたものを選びましょう。一番大切なのは、塗る量と塗り方です。
しっかり塗らないと効きませんので、しっかり塗りましょう。
全体に1回塗ったあっと、鼻などの日焼けしやすい部分にもう1度塗って下さい。そうすると、1時間程度プレーして汗をかいた後でも、日焼け止めが50%~60%残っているのです。このように日焼け止めの塗り方を工夫すれば屋外でプレーをする場合でも、ある程度効果が期待できるので、特に女子の選手は塗った方が良いでしょう。
アフターケアの決め手はビタミンA C Eと抗酸化物質
紫外線予防と同じぐらい大切なのは、アフターケアです。紫外線を浴びた後は、栄養、睡眠を十分にとって、スキンケアでスキンシップをして、心と体のケアを意識してください。
体のケアは、ビタミンA、C、Eをはじめ、抗酸化物質を摂取することが健康な皮膚へと回復させる鍵となります。こうした栄養素を日々意識して積極的に摂取することが大切です。また、皮膚への吸収を考えると、紫外線を浴びた後に、ビタミンACEを配合した化粧品を、スポーツのビフォー&アフターに使うこともおすすめします。
スキンケア製品を選ぶ基準は、しっかりとエビデンスのある成分であること、信頼できるメーカーの製品であることが大切です。ビタミンACEだけでなく、その他の抗酸化成分が含まれている製品を選ぶ場合も、しっかりした科学データのあるものが選択肢の1つになるのではないでしょうか。ビタミンAには、皮膚の新陳代謝を促進させ、角質をなめらかにしたり、真皮のコラーゲンを生成し、真皮の血流が良くなるといったはたらきがあります。また、ビタミンCとビタミンEを一緒に摂ることで、紫外線によるDNAのダメージを防ぐなどのはたらきもあります。
- ・表皮の新陳代謝促進(小じわがとれる)
→角質をなめらかにする、保湿、
紫外線損傷を修復 - ・メラニンの過剰生成を止める
(シミが薄くなる) - ・真皮のコラーゲンを生成する
(肌にハリがでる) - ・真皮の血流が良くなる
(血色が良くなる)
- ・抗酸化作用
- ・メラニンの生成を抑える(美白作用)
- ・紫外線から皮膚を守る
- ・ビタミンEをリサイクルさせる
- ・真皮のコラーゲンとエラスチンの
生成を促進する
- ・抗酸化作用
- ・脂質、細胞膜、コラーゲンを守る
(皮膚が柔軟になる) - ・紫外線から皮膚を守る
- ・皮膚内のビタミンAの濃度を高める
- ・血流が良くなる(血色が良くなる)
スポーツ選手に多くみられるトラブル
また、爪や髪の毛などのトラブルも多く、暑さ寒さなどの環境によるものもあります。
角層のトラブル ウオノメ、タコ |
皮膚の感染症 細菌感染症、真菌感染症、 |
皮膚の外傷 | アレルギー性皮膚疾患 じんましん、接触皮膚炎、 |
日焼け | 皮膚腫瘍 | 皮膚のアクセサリー (爪、髪、汗腺)のトラブル |
暑さ、寒さによる 皮膚のトラブル |
虫刺されについて
屋外でスポーツする選手にとっては、虫刺されも気になりますね。
人によっては、腫れがひどい場合もありますので、虫に刺されたら、その部分をできるだけ早く、絞るように洗って下さい。
この「絞る」ことで毒を出しますので、このポイントは覚えておいて下さい。
水虫について
水虫に関する質問も良く受けます。水虫の人が、マット、絨毯の上を裸足で歩くことで、水虫の菌を落とします。その跡を、他の人が裸足で歩くことで、菌を拾ってしまうのです。しかし、すぐに感染してしまうのではなく、24時間後くらいで感染するので、毎日、1回しっかり自分の足を洗えば、水虫に感染しません。
予防のためには、手足を十分に乾燥させることです。合宿など多くの人と入浴が一緒になる場合は、入浴後にヘアドライアーの冷風を使って乾かすことも1つの方法です。
家族に水虫の方がいる場合は、治療してもらってください。その方の靴下は、熱湯をかけてから洗濯することで感染を予防できます。運動靴は2足の靴を交互に使って、乾かすことが大切です。
靴擦れについて
靴ずれ対策も良く聞かれる質問です。靴選びは、自分にフィットするものを選ぶことが大切ですが、新しい靴を履く際は、靴または靴下にワセリンを塗って下さい。
また、足をなるべく乾燥した状態にすることも大切です。
少しでも痛みを感じた場合、できるだけ早く絆創膏を貼るなどの対策をしてください。
爪のケア
爪は、スポーツ選手のパフォーマンスにとっても重要です。
ボールを投げたり受け取ったりする際の感覚は、爪の状態で決まりますので、爪の切り方にも注意して、爪を大切にしてください。
爪の変形や
爪水虫は
皮膚科へ
アトピー性皮膚炎とスポーツ
アトピー性皮膚炎は、今や特別な病気でありませんが、良いプレーをするためには、管理が必要です。スポーツをして汗をかくことで、アトピー性皮膚炎が改善する選手も少なくありません。
スポーツと上手に付き合うためには、アトピー性皮膚炎のスキンケアも体のケアとして行って下さい。
強くて美しいアスリートを目指して
マスコミや女性誌などから、「スポーツで、美肌になれますか?」という質問を、たくさんいただきます。答えは、「Yes」です。
スポーツは、血行が良くなる、水分代謝が良くなる、ビタミンCの吸収率が高まる、女性ホルモン・成長ホルモン分泌の増加、便秘解消など、全身の体調が改善し、美肌にとっても良い影響を与えます。
最近では、選手をサポートするトレーナーやコーチ、監督さんなども、スキンケアの大切さを理解し、関心を持ってくれるようになってきました。
しっかり紫外線ケアをし、清潔、保湿を心掛ければ、スポーツを楽しみながら美肌になれるのです。
スキンケアを自分自身へのスキンシップとして実践していただき、良いパフォーマンスを発揮していただくとともに、是非、美しいアスリートを目指して下さい。
ナールスゲン®とは、
京都大学 化学研究所と大阪市立大学大学院 生活科学研究科の
共同研究により生まれた「アミノ酸誘導体」です。
コラーゲンの産生量などさまざまな実験で効果が実証された科学的根拠のある成分です。
安全性の面においても、化粧品原料として必要な所定の試験を完全にクリアし、毒性や副作用がないことが認められています。
ナールスゲン®のメカニズムは、「グルタチオン※1の代謝分解を抑え、抗酸化ストレス応答※2を誘導する」ことです。簡単に言えば、
お肌が持っている本来の力を引き出すことをサポートするのです。
※1 抗酸化作用があり、体を錆びつきから守ってくれる代表的な物質
※2 体に与えられた酸化ストレスに対する細胞の反応
「コラーゲン」「エラスチン」「ヒートショックプロテイン(HSP) 47」を増やします。
ナールスゲン®は、肌の弾力やハリ、ツヤを保つ「コラーゲン」を2~3倍に増加させます。
ナールスゲン®は、弾性線維「エラスチン」を約1.5倍に増加させます。
ナールスゲン®は、コラーゲンの質を高める「HSP47」を約1.3倍に増加させます。
ナールスゲン®は、ビタミンCと一緒に用いると、コラーゲンをさらに増やす効果があります。
細胞を保護します。
ナールスゲン®は、
紫外線を当てても細胞の生存率が高く、
光老化を軽減します。
すべてのエイジングケアの基本である乾燥肌の対策として
「乾燥肌の改善対策|正しいスキンケアとエイジングケア」も合わせてお読み下さい。
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